セミナー資料 「丈人のススメ 高齢期の生き方」

地域シニア大学校 セミナー資料
「丈人のススメ 高齢期の生き方」

  長い高齢期を安心して
  充実して暮らすために

講師 堀内正範 ほりうちまさのり
ジャーナリスト・朝日新聞社社友
セミナー成田丈人力のススメpdf
セミナー八重洲20120725pdf
◎1 わたしのこと。本のこと。セミナーのこと。
・自己紹介   ・丈人の拍手(持てるもの)   ・大丈夫(丈人の気慨)
・丈人力と老人力   ・長寿社会と高齢社会   ・平和団塊の世代
『丈人力のススメ 日本型高齢社会 「平和団塊」が国難を救う』
(武田ランダムハウスジャパン 2010・7・1 1500円税別)
◎2 高年期をどう生きる
・超高齢社会   ・高年期ライフサイクル(別掲)   ・賀寿期5歳層ステージ(別掲)
・年次別人口・流行語・流行歌(別掲)
◎3 個人と家庭(くらし)
・シニア文化圏   ・マイホーム・マイチェア   ・家庭内高年化自己認定
・三世代同等同居(住宅)
◎4 ものと企業(しごと)
・途上国の日本化と日本の途上国化   ・百均商品   ・派遣社員
・やや高安心の国産優良品    ・高年社員(技術者)温存   ・日本企業再リストラ
・高齢商品展示会    ・高齢商品経済圏
◎5 四季のあるくらし
・双暦   ・百季人生(百季丈人)   ・季節小物   ・床の間春秋
・四季カレンダー  ・自作五句   ・八方時刻   ・祭事・歳事・催事
◎6 地方特性
・均衡ある発展と地域特性    ・地産品    ・土中の地(知)   ・三世代会議
・四季型中心街   ・シニア生活圏
◎7 自治体・国家(人民・市民・国民として)
・被扶養者   ・福祉・医療・介護   ・平成市町村合併   ・自治体高齢社会憲章
・地域大学校   ・高齢社会政策担当大臣(専任)   ・1999年国際高齢者年
・国蓮高齢者5原則(・自立・社会参加・ケア・自己実現・尊厳)   ・高齢者用品
・日本型高齢社会   ・平和憲法100年
◎8 高年期はこう生きる
・健康(・からだ・食・睡眠 )   ・知識(・こころざし・こころ・自分史・考えること )
・技術(ふるまい・自作用品・散歩・話すこと )   ・賀寿期の友人
・多重型三世代同等社会(つりがね型)   ・白寿期をめざして
自己紹介(わたしの課題=アジアの共生・日本型高齢社会)
堀内正範 ほりうちまさのり
千葉県長生郡一宮町在住。1938年11月1日、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学文学部卒業。朝日新聞社社友。元『知恵蔵』編集長。55歳で早期退社して古都洛陽市へ。洛陽外国語学院外籍教授を経て同学院日本学研究中心研究員。国際龍門石窟研究保護学会本部顧問。高連協オピニオン会員。著書:『洛陽発「中原歴史文物」案内』(新評論)、『中国名言紀行・中原の大地と人語』(文春新書)、『人生を豊かにする四字熟語』(武田ランダムハウスジャパン)など。日中友好協会『日本と中国』に「四字熟語ものがたり」(2011年~)を連載中。地元の九十九里浜の自然を守る住民活動にも参加。
**************
「丈人」「丈人力」とは・・

「丈人」は、日ごろ自らを励ます「大丈夫!」ということばに含まれる。自己力古典には、「四体勤め、五穀分かつ」(身体を使って労働をし、五穀を収穫する)ことをよしとする健丈な老者として現れる(『論語「微子篇」』)。ここでは、古語の意味合いを援用して、いまそれぞれの活動によってわが国の「高齢社会」を引き受けつつあるみなさんを「老人」よりも丈人と呼ぶことに納得がえられるように思える。これまで積み上げてきた知識や技術やさまざまな能力をどこまでも発展・熟成・深化させようとして働く力、ふつふつと涌いて出る強い生活力あるいは生命力を、本稿では丈人力(joujin-ryoku)と呼んでいる。青少年や中年層からも敬愛される昭和生まれの高年者「昭和丈人」層によって「日本長寿社会(高齢社会)が達成される。

・高年期のライフ・サイクル
青少年期    ~二四歳  自己形成期
(二五歳~二九歳  バトンゾーン)
中年期  三〇歳~五四歳  社会参加期
(五五歳~五九歳  バトンゾーン)
高年前期 六〇歳~七四歳  社会参加とともに自己実現期
高年後期 七五歳~八四歳  自己実現期 (三世代同等社会)
長命期  八五歳~     自己実現期 (無為自化期)
・高年期5歳層(賀寿期)ステージ 
還暦期  六〇歳~六九歳  昭和二六年~昭和一七年
古希期  七〇歳~七四歳  昭和一六年~昭和一二年
喜寿期  七五歳~七九歳  昭和一一年~昭和 七年
傘寿期  八〇歳~八四歳  昭和 六年~昭和 二年
米寿期  八五歳~八九歳  昭和 元年~大正一一年
卆寿期  九〇歳~九四歳  大正一〇年~大正 六年
白寿期  九五歳~九九歳  大正 五年~大正 元年
百寿期  一〇〇歳以上   明治四四年以前
・体志行の3つのカテゴリー
・体=からだ(・健康・食・スポーツ・睡眠 )
・志=こころ・こころざし(・知識・自分史・考えること )
・行=ふるまい(・技術・自作用品・散歩・話すこと )
・生年別の60歳以上の人口(男女)、流行語、流行歌
「高年期(還暦期)」(六〇~六九歳) 人口は平成21=2010年10月1日推計。総務省統計局
生年      干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九五二 昭和二七 壬辰 六〇還暦89・6 91・6 黄変米。ワンマン。「芸者ワルツ」
一九五一 昭和二六 辛卯 六一   94・9  97・3 逆コース。「高原の駅よさようなら」
一九五〇 昭和二五 庚寅 六二 101・8 105・0  特需。金へん糸へん。「白い花の咲く頃」
一九四九 昭和二四 己丑 六三 111・5 115・1  ニコヨン。「青い山脈」「長崎の鐘」
一九四八  昭和二三 戊子 六四 110・3 114・4 斜陽族。ノルマ。「湯の町エレジー」「異国の丘」
一九四七  昭和二二 丁亥 六五 104・4 108・7  不逞の輩。ゼネスト。「鐘の鳴る丘」
一九四六  昭和二一 丙戌 六六   65・0   68・5  象徴。タケノコ生活。「東京の花売娘」
一九四五  昭和二○ 乙酉 六七   69・2   74・2  敗戦。ピカドン。一億総ざんげ。「リンゴの唄」
一九四四  昭和一九 甲申 六八   83・9   90・8 鬼畜米英。学童疎開。「同期の桜」「お山の杉の子」
一九四三  昭和一八 癸未 六九   81・3  88・2  撃ちてし止まん。学徒出陣。「若鷲のうた」
「高年期(古希期)」(七〇~七四歳)
生年     干支 年齢    人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九四二  昭和一七 壬午 七〇古希82・9  90・6  欲しがりません勝つまでは。「南から南から」
一九四一  昭和一六 辛巳 七一  80・1 88・1  八紘一宇。国民学校。「めんこい仔馬」「里の秋」
一九四〇  昭和一五 庚辰 七二    72・3  80・3  月月火水木金金。「暁に祈る」「紀元二千六百年」
一九三九  昭和一四 己卯 七三    62・2 69・8  複雑怪奇。靖国の母。「上海の花売り娘」
一九三八  昭和一三 戊寅 七四    65・3 74・8 相手とせず。大陸の花嫁。「麦と兵隊」「支那の夜」
「高年期(喜寿期)」(七五~七九歳)
生年      干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九三七  昭和一二 丁丑 七五   66・3  76・6  国民精神総動員。「別れのブルース」「海ゆかば」
一九三六  昭和一一 丙子 七六   65・1  76・6  今からでも遅くない。「ああそれなのに」
一九三五  昭和一○ 乙亥 七七喜寿60・9  73・4 人民戦線。暁の超特急。「二人は若い」「野崎小唄」
一九三四  昭和 九 甲戌 七八  56・0  69・2  明鏡止水。「赤城の子守唄」「国境の町」
一九三三  昭和 八 癸酉 七九   54・3  68・9  転向。ファシスト。「東京音頭」「島の娘」
「高年期(傘寿期)」(八〇~八四歳)
生年          干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九三二  昭和 七 壬申八〇傘寿51・4   66・7  話せば判る。欠食児童。「影を慕いて」
一九三一  昭和 六 辛未 八一  47・7   63・8  生命線。酒は泪か溜息か。「サムライニッポン」
一九三〇  昭和 五 庚午 八二   43・3   59・9 エロ・グロ・ナンセンス。「祇園小唄」「酋長の娘」
一九二九  昭和 四 己巳 八三   40・2  57・6  大恐慌。大学は出たけれど。「東京行進曲」
一九二八  昭和 三 戊辰 八四   36・8   54・6 狭いながらも楽しい我が家。「波浮の港」「君恋し」
「長命期(米寿期)」(八五~八九歳)
生年          干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九二七  昭和 二 丁卯 八五   33・2  51・5  何が彼女をさうさせたか。「ちゃっきり節」
一九二六  昭和 一 丙寅 八六   30・0  49・4 文化住宅。モガ・モボ。「ヨサホイ節」「この道」
一九二五  大正一四 乙丑 八七   25・4  45・0  軍教。ラジオ放送。円タク。「あの町この町」
一九二四  大正一三 甲子 八八米寿20・4  39・4  憲政の常道。メートルデー。「からたちの花」
一九二三  大正一二 癸亥 八九   16・2  36・0  大震災。流言蜚語。「船頭小唄」「復興節」
「長命期(卒寿期)」(九〇~九四歳) 人口は平成21=2010年10月1日推計。総務省統計局
生年          干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九二二  大正一一 壬戌 九〇卆寿13・4 32・3 恋愛の自由。民衆芸術。赤化。「馬賊の唄」「砂山」
一九二一  大正一○ 辛酉 九一   11・0   28・3  悪家主。プロレタリア。「七つの子」「赤とんぼ」
一九二〇  大正 九 庚申 九二    9・8  26・4 国調。示威運動。「聞け万国の労働者」「叱られて」
一九一九  大正 八 己未 九三   6・7  18・8  デモクラシー。サボ。「背くらべ」「靴が鳴る」
一九一八  大正 七 戊午 九四   5・8  17・0 平民宰相。米騒動。赤い鳥。「浜辺の歌」「宵待草」
「長命期(白寿期)」(九五~九九歳)
生年         干支 年齢  人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九一七  大正 六 丁巳 九五    4・7  14・6  きょうは帝劇、あすは三越。「さすらひの唄」
一九一六  大正 五 丙辰 九六   3・8  12・5 民本主義。是々非々。「サンタルチア」
一九一五  大正 四 乙卯 九七  2・9  10・1 御大典。ナッチョラン。「恋はやさし」「乾杯の唄」
一九一四  大正 三 甲寅 九八  2・2   8・4  大正琴。「カチューシャの歌」「朧月夜」
一九一三  大正 二 癸丑 九九白寿1・6   6・4  薩閥。新しい女。「鯉のぼり」「海」「早春譜」
これより「百寿期」
生年         干支 年齢  人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九一二  大正 一 壬子一〇〇  1・1   4・8  大正維新。閥族打倒。「都ぞ弥生」「春の小川」
一九一一  明治四四 辛亥一〇一   0・7   3・3  元始、女性は実に太陽であった。「二宮金次郎」
一九一〇  明治四三 庚戌一〇二   0・5   2・4  主義者。小学唱歌。「春が来た」「われは海の子」
一〇〇歳以上   0・7   4・1 4・8万人
一九〇九 明治四二 己酉一〇三     ―     ―  馬鹿な奴じゃ。マラソン。「ローレライ」「菩提樹」
一九〇八 明治四一 戊申一〇四     ―     ―  浮華軽佻。耽美派。「人を恋うる歌」「ハイカラ節」
一九〇七 明治四○ 丁未一〇五     ―     ―    自然主義。美顔術。キリン。「旅愁」「故郷の廃家」
一九〇六 明治三九 丙午一〇六       ―     ―    黄禍論。成り金。無政府主義。「青葉の笛」
一九〇五 明治三八 乙巳一〇七       ―     ―    天気晴朗なれど波高し。二○三高地。「戦友」
一九〇四 明治三七 甲辰一〇八       ―     ―    軍神。君死にたまふことなかれ。「日本陸軍」
一九〇三 明治三六 癸卯一〇九     ―     ―    アジアは一つなり。人生不可解。魔風恋風。
・   改元 明治45=大正元 1912. 7.30  大正15=昭和元 1926.12.25  昭和64=平成元 1989. 1. 8
 
 
 

四字熟語-目迷五色

目迷五色
もくめいごしき

色や香は五感を刺激して脳を活性化すると有名化粧品の宣伝にあったが、そうだろうか。先人は逆に「目は五色に迷う」という。

色はいまでは人為的につくれるからその数は無限といっていい。人為的色彩による感覚のマヒを予見しているようなことばである。老子は「五色は人の目を盲ならしむ」といい、荘子も「五色は目を乱す」という。さまざまな色彩に迷わされていると、色を失っていく夕暮れの風景が目にやさしい。モノクロ写真や映画や夢が伝える情感には捨てがたい味がある。

古来、伝統の五色は青赤(朱)白黒(玄)黄で、これがいわゆる正色。正色の朱に対して間色の紅や紫が際立って正色の朱を乱すことを「紅紫は朱を乱す」(紅紫乱朱)といった。たしかに誰の目にも朱衣よりも紫の袈裟や紅裙(紅いもすそ)のほうが目立つ。人びとが好む衣装の色は時代表現のひとつだが、正統というものはワンポイント目立たないところにあるものだと知る例証でもある。

沈徳符『万暦野獲編』など

四字熟語-単刀赴会

単刀赴会
たんとうふかい

三国時代の蜀の英傑関羽の豪胆さを伝える故事成語といえば「単刀にして会に赴く」であろう。「単刀」は一刀あるいは単身の意味。交渉のため単身で敵陣に乗り込むこと。関羽は呉の魯粛との交渉のためにわずかな供の者をつれただけで赴き、堂々の対論を果たして無事にもどったのだった。

会社を代表してひとり資料を抱えて敵陣ともいうべき相手会社や監督官庁に赴く者を、胸の中で支えてくれる強いことばである。

また「言笑自若」は、毒矢がひじを貫き毒が骨に及んだため、名医華佗に手術をまかせた関羽が、肉をほおばり酒を飲み、平然として諸将と談笑しつづけていたというもの。この激痛に平然としている関羽を思えば、少々のピンチにあわてることもない。

世界中の中国商人を支えているのが中華街の「関帝廟」。関羽と商人の出会いの原型は、曹操が手厚く葬った洛陽の関羽首塚とそれを守るため商人に身をやつして訪れて市をつくった蜀の武人たちにあるという。

『三国演義「六六回」』から

四字熟語-如座春風

如座春風
じょざしゅんぷう

「春風に座すが如し」というのは、春の情景ではなく、恩恵を受けた教師に対する賛辞にいう。小・中学校の教場を明るくしてくれていたこういう先生の記憶は、いつまでも暖かく新しい。人生の静かな追い風であったように思える。

後世にまで影響をなす学派や流派というのは、こういう和気をたたえた人物を中心にした一団から生まれるにちがいない。

兄弟が中心の場合が、宋代の二程子(兄が程顥で明道先生、弟が程頤で伊川先生)で、弟が兄を「時雨の潤いのごとし」とその温和さをたたえている。のちの程子学流の興隆をみるとき、このことばが生まれたふたりの師と居合わせた人びとの「春風」の暖かさを思うのである。

伊川先生に教えを求めてやってきた学生が、師が瞑座しているので、一尺を越すほどの大雪の門外で先生が目覚めるのを待ったという「立雪程門」からは、師を敬い教えを求めるとともに、きびしく処する学生の姿がしのばれる。

『二程集「外書一二」』から

現代シニア用語事典--支えられる高齢者(消費税増税)と支える高齢者(内需創出) 

支えられる高齢者(消費税増税)と支える高齢者(内需創出)
高齢者はだれでもいずれは医療や介護を受ける「支えられる高齢者」になります。その数は年々増えており、約1兆円の財政増が見込まれています。それを保持しつづけるのは国の善意の政策であり、だれもが認めざるをえません。財政難を理由に、安定した財源を得るための「増税」論議になります。一方、年々増加して、高齢者(65歳以上)の数は3000万人に達しました。そのうち医療や介護を受ける高齢者は2割ほどいますが、7~8割は元気な高齢者です。いまこういうアクティブ・シニア(アダルト)は、「支える高齢者」なのです。長命な父母を支え、子どものローンを支え、孫の物品を用意します。退職したあとも長い間につちかった知識・技術そして資産も保持していて、「支えられる高齢者」になるまでにはまだ間があります。経緯からみて、いま国政の場からはその存在が見えなくなっています。このすぐれた民力を理解せず、参加を呼びかけもせず、野田・谷垣党首討論での口裏を合わせた「消費税増税」をすすめているのです。増税だけを押し付けて、国民の活力を呼び起こすことはできません。
そのために命を懸けるという宰相とは何者なのでしょう? 近づく破綻を予見して、国会が「国難」をいい、超1000兆円の財政赤字を、担保している超1400兆円の家計黒字から補填するため、「消費税」ほか増税の前倒しによって調達しようとしているのを、国民は醒めた目でみているのです。「増税支持」という世論は本意ではないでしょう。

緊急情報 増税と亡国――消費税増税による平成亡国から救うみち

増税と亡国――消費税増税による平成亡国から救うみち
新世紀以降の国政の経緯からみて、民主党「増税反対」議員の活動に敬意を表します。それが民意だからです。
増税を重ねて栄えた国がありますか。増税だけを押し付けて、国民の活力を呼び起こすことができますか。消費税をあげて消費を活性化できますか。
そのために命を懸けるという宰相とは何者ですか?
いまや国政の場からは国民の本意が見えなくなっています。野田・谷垣党首討論での口裏を合わせた「消費税増税」を納得するほどには国民意識の振り子は国のほうには振れていないのです。
近づく破綻を予見して、国会が「国難」をいい超1000兆円の財政赤字を担保している超1400兆円の家計黒字から補填するため、「消費税」ほか増税の前倒しによって調達しようとしているのを、国民は醒めた目でみているのです。「増税支持」という世論は本意ではないでしょう。
先の衆院選で、国民は消費税増税に命を懸ける党首のいる民主党に期待したのではありません。「官僚主導から国民主導の政治へ」を訴えた民主党に期待し、480議席のうち308議席を与えて「政権交代」をなしとげたのでした。
自治体による「地域の公助」には、これまでの「均衡ある発展」に重ねて「個性ある地域の発展」へと変わる素地があります。「地域生活圏」での互助や共助、知人同士や地域住民同士の助け合いはモノ・場・しくみそれぞれに身近で機能しています。
国民としてよりも市(町村)民として地域主導の政策を求めているのです。地方首長の動向はその表出であり証でもあります。ここに国民の活力を呼び起こす可能性があり、それに期待しているのです。
時流は「平成維新」(橋下徹氏など)を中心のひとつにして動いています。しかし新世紀の本流(潮流)は、高齢者3000万人のひとりひとりが保持・温存している知識・技術・経験・資産を駆使して地域特性を掘り起こし再生する「地域再生・平成掘起」なのです。その活動が「みんな(三世代)が住みやすい生活圏」の達成につながり、地域の活力を呼びさまし、内需を拡大し、増税に勝る増益を産み出し、将来への希望を与えてくれるからです。
増税をいう前に(少なくとも訴えるとともに)、アクティブ・シニア(支える高齢者)に向かって「国難」救済への参画を呼びかけることです。
(2012・3・28 堀内正範 記)
 
 

四字熟語-花花世界

花花世界
はなばなせかい

春の野に見渡すかぎり一面に咲き誇る花々の世界。梅のあと杏、桃、櫻と季を追って各地に展開する。中国で「最も美しい郷村」と称しているのは江西省婺源で、金黄の菜の花と紅い桃と白い梨の花が特徴のある黒い屋根、白壁の建物を包んでひとしきり別世界を現出する。櫻だと鎮海(韓国)、吉野(日本)、無錫(中国)といったところ。

かつて「花花世界」といえば、宋代に都を追われて南遷した人びとが奪回しようとしてはたせず、夢にみた北方の東京(開封)や西京(洛陽)のことで、「中原花花世界」と呼んで慕った。

繁華な都市の爛熟する文化が生みだす戯れの花が「花花公子」(プレイボーイ)である。富家の出で正業に就かず、着飾って酒を飲み遊びに時を費やした若者たち。新中国には無縁だろうが、「花花公子」(アメリカの雑誌『PLYBOY』の中国名)は北京や上海の若者にも人気があり、性感美女の卡卡(ガガ)から捷豹(ジャガー)まで、現代都市を彩る花々は魅惑的である。

『説岳全伝「一五回」』など

四字熟語-走馬看花

走馬看花
そうばかんか

馬を走らせて花を看ることが「走馬看花」で、難関の科挙に通った高揚した気分で、馬を走らせて長安の街中の花を看てまわったという晴れやかな実景として唐の孟郊の詩に詠われている。明の于謙の場合は、任地でのしごとを無事におえて、都へもどる得意な心情を表現している。

後にはそういう高揚する心情での走馬の姿を離れて、清の呉喬になると、事物の観察が粗略である例えに引かれる。そこで仔細に観察する「下馬看花」が登場する。こうなるともう孟郊が走馬して看た花の実景の世界にはもどれない。

いまは移動が多くて風物はちょっと見ですますパック旅行や、観察がおおまかだったり、多用で仔細なしごとができなかった言い訳にも用いられる。聞くほうも印象が悪くないので納得しやすいせいだろう。高速道路を走るドライバーのよそ見運転にもいわれる。

そんな来歴を知るのも一興だが、日々を「走馬看花」に送る多忙なビジネスマンには無縁であろう。

『孟東野集「登科後」』から

 

四字熟語-三更半夜

三更半夜
さんこうはんや

年度末の東京の夜は明るい。とくに霞が関界隈では深更までしごとをしているからだといわれた。

旧暦では日暮れから日の出までを五つの刻みにわけて初更~五更と呼ぶ。すると三更が真夜中であり半夜でもあることから「三更半夜」といわれ、いわゆる午前さまである。

宋の塩鉄税の徴収官であった陳象輿と財政官であった董儼らは、夕方から趙昌言の屋敷に会して、深更まで熱心に談議していたという。それで都の連中からは「陳三更、董半夜」といわれた。

晩唐の詩人李商隠の「半夜詩」にあるように、「三更三点萬家眠る」という寝静まった長安と違い、宋都の東京開封(「清明上河図」に画かれる)は深夜まで夜市で賑わった。それでも能吏に三更まで税徴収の談議などされたら、おちおち眠れない者もあったであろう。

冬の夜の霞が関。かつての国土発展の予算配分ではなく、増税や予算を減らす「三更半夜」の明かりだと思うと寒さがつのる。

『宋史「趙昌言伝」』から

 

 

 

四字熟語-「雪中高士」

「雪中高士」
せっちゅうこうし

ご存じ松竹梅の三つを「歳寒三友」という。多くの植物が厳冬のさなかに息をひそめても、松と竹は姿あせずに過ごし、梅は寒中に花を咲かせる。三品の格を日中ともに高位の松から梅にいたるとするが甲乙はつけがたい。

「歳寒三友」は詩画はもちろん、磁器や織物の意匠としても好まれて名品を生んできた。だれもが親しい三友を持って暮らしている。

「雪中高士」というのは、雪中の梅の木を高潔の士に見立ててのもの。雪中の梅はたたずまいも花も香もよく、とくに寒に耐えて命を保つ風情は節を持する高士と呼ぶにふさわしい。

「梅花」九首のうちにこう詠じた明初の詩人高啓は、のち「十の行人去りて九は還らず、自ら知る清徹もとより愧じるなし」と覚悟して連座の死に赴いた。

高啓と花といえば、よく吟じられる「水を渡り復た水を渡る、花を看還た花を看る」(「胡隠君を尋ぬ」から)が有名だが、この花は春風江上の路でなので、江南の桃李であろう。

『高青邱詩集「梅花」』から