四字熟語-走馬看花

走馬看花
そうばかんか

馬を走らせて花を看ることが「走馬看花」で、難関の科挙に通った高揚した気分で、馬を走らせて長安の街中の花を看てまわったという晴れやかな実景として唐の孟郊の詩に詠われている。明の于謙の場合は、任地でのしごとを無事におえて、都へもどる得意な心情を表現している。

後にはそういう高揚する心情での走馬の姿を離れて、清の呉喬になると、事物の観察が粗略である例えに引かれる。そこで仔細に観察する「下馬看花」が登場する。こうなるともう孟郊が走馬して看た花の実景の世界にはもどれない。

いまは移動が多くて風物はちょっと見ですますパック旅行や、観察がおおまかだったり、多用で仔細なしごとができなかった言い訳にも用いられる。聞くほうも印象が悪くないので納得しやすいせいだろう。高速道路を走るドライバーのよそ見運転にもいわれる。

そんな来歴を知るのも一興だが、日々を「走馬看花」に送る多忙なビジネスマンには無縁であろう。

『孟東野集「登科後」』から