挙世皆濁
きょせいかいだく
二〇一二年の世相を示す「今年の漢字」は日本は二度目の「金」だったが、中国の「漢語盤点二〇一二」は「夢」(字)と「釣魚島」(詞)で、尖閣列島の国有化による日本批判がいかに根強いかを示している。
「今年の四字熟語」では、住友生命の「創作四字熟語」(五十選)に「税途多難」「党奔政争」「共存競泳」などが登場。そして韓国の大学教授六〇〇人余が選んだのが楚の愛国詩人屈原の「挙世皆濁」。世の中が皆濁っているという意味。
忠臣屈原が国の将来に絶望して世俗の塵埃を避けて去る際に残したことば「挙世皆濁」は「漁父辞」に出てくる。「挙世皆濁我独清、 衆人皆酔我独醒」(世の中が皆濁っている中で私ひとりが清らかである、人々が皆酔っている中で私ひとりが醒めている)
李明博大統領実兄の収賄疑惑などが背景にあり、清より濁に傾く世相を見据えての選定であろうが、その学者たちこそ「皆濁皆酔」の世を改める責務があるのではないだろうか。
『楚辞「漁父辞」』から