四字熟語-来日方長

来日方長
らいじつほうちょう

「来日まさに長し」というのは、これからやってくる未来の日々が長く豊かであること、前途に希望があること。国会論議が「消費税増税」で財政の帳尻あわせをし、その先も増税。これでは国の将来像をイメージできないし、国民の活力を呼びさますことはむずかしい。みんなが納得して参加できる展望を示してこそ「来日方長」なのである。

実際の使い方ではもっと軽く、たとえばスポーツ競技で新記録にわずか及ばなかったり、球技で惜敗したりしたときに、機会はある他日を期そうといった意味合いで用いられている。

山東省の臨海都市日照市(室蘭市の友好都市)は、わが市にくれば人は健康で長寿になり、投資企業は末長く発展しますと「来日方長」を市の紹介に援用している。こんな「来日」の読み方なら、わが国は滞在が長い知名の親日家を数多く有している。ハンソンさん、ニコルさん、キーンさんなどの姿が思い浮かぶが、国別トップの中国からの老朋友は枚挙にいとまがない。

汪由敦『瓯北初集序』など

セミナー資料 「丈人のススメ 高齢期の生き方」

地域シニア大学校 セミナー資料
「丈人のススメ 高齢期の生き方」

  長い高齢期を安心して
  充実して暮らすために

講師 堀内正範 ほりうちまさのり
ジャーナリスト・朝日新聞社社友
セミナー成田丈人力のススメpdf
セミナー八重洲20120725pdf
◎1 わたしのこと。本のこと。セミナーのこと。
・自己紹介   ・丈人の拍手(持てるもの)   ・大丈夫(丈人の気慨)
・丈人力と老人力   ・長寿社会と高齢社会   ・平和団塊の世代
『丈人力のススメ 日本型高齢社会 「平和団塊」が国難を救う』
(武田ランダムハウスジャパン 2010・7・1 1500円税別)
◎2 高年期をどう生きる
・超高齢社会   ・高年期ライフサイクル(別掲)   ・賀寿期5歳層ステージ(別掲)
・年次別人口・流行語・流行歌(別掲)
◎3 個人と家庭(くらし)
・シニア文化圏   ・マイホーム・マイチェア   ・家庭内高年化自己認定
・三世代同等同居(住宅)
◎4 ものと企業(しごと)
・途上国の日本化と日本の途上国化   ・百均商品   ・派遣社員
・やや高安心の国産優良品    ・高年社員(技術者)温存   ・日本企業再リストラ
・高齢商品展示会    ・高齢商品経済圏
◎5 四季のあるくらし
・双暦   ・百季人生(百季丈人)   ・季節小物   ・床の間春秋
・四季カレンダー  ・自作五句   ・八方時刻   ・祭事・歳事・催事
◎6 地方特性
・均衡ある発展と地域特性    ・地産品    ・土中の地(知)   ・三世代会議
・四季型中心街   ・シニア生活圏
◎7 自治体・国家(人民・市民・国民として)
・被扶養者   ・福祉・医療・介護   ・平成市町村合併   ・自治体高齢社会憲章
・地域大学校   ・高齢社会政策担当大臣(専任)   ・1999年国際高齢者年
・国蓮高齢者5原則(・自立・社会参加・ケア・自己実現・尊厳)   ・高齢者用品
・日本型高齢社会   ・平和憲法100年
◎8 高年期はこう生きる
・健康(・からだ・食・睡眠 )   ・知識(・こころざし・こころ・自分史・考えること )
・技術(ふるまい・自作用品・散歩・話すこと )   ・賀寿期の友人
・多重型三世代同等社会(つりがね型)   ・白寿期をめざして
自己紹介(わたしの課題=アジアの共生・日本型高齢社会)
堀内正範 ほりうちまさのり
千葉県長生郡一宮町在住。1938年11月1日、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学文学部卒業。朝日新聞社社友。元『知恵蔵』編集長。55歳で早期退社して古都洛陽市へ。洛陽外国語学院外籍教授を経て同学院日本学研究中心研究員。国際龍門石窟研究保護学会本部顧問。高連協オピニオン会員。著書:『洛陽発「中原歴史文物」案内』(新評論)、『中国名言紀行・中原の大地と人語』(文春新書)、『人生を豊かにする四字熟語』(武田ランダムハウスジャパン)など。日中友好協会『日本と中国』に「四字熟語ものがたり」(2011年~)を連載中。地元の九十九里浜の自然を守る住民活動にも参加。
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「丈人」「丈人力」とは・・

「丈人」は、日ごろ自らを励ます「大丈夫!」ということばに含まれる。自己力古典には、「四体勤め、五穀分かつ」(身体を使って労働をし、五穀を収穫する)ことをよしとする健丈な老者として現れる(『論語「微子篇」』)。ここでは、古語の意味合いを援用して、いまそれぞれの活動によってわが国の「高齢社会」を引き受けつつあるみなさんを「老人」よりも丈人と呼ぶことに納得がえられるように思える。これまで積み上げてきた知識や技術やさまざまな能力をどこまでも発展・熟成・深化させようとして働く力、ふつふつと涌いて出る強い生活力あるいは生命力を、本稿では丈人力(joujin-ryoku)と呼んでいる。青少年や中年層からも敬愛される昭和生まれの高年者「昭和丈人」層によって「日本長寿社会(高齢社会)が達成される。

・高年期のライフ・サイクル
青少年期    ~二四歳  自己形成期
(二五歳~二九歳  バトンゾーン)
中年期  三〇歳~五四歳  社会参加期
(五五歳~五九歳  バトンゾーン)
高年前期 六〇歳~七四歳  社会参加とともに自己実現期
高年後期 七五歳~八四歳  自己実現期 (三世代同等社会)
長命期  八五歳~     自己実現期 (無為自化期)
・高年期5歳層(賀寿期)ステージ 
還暦期  六〇歳~六九歳  昭和二六年~昭和一七年
古希期  七〇歳~七四歳  昭和一六年~昭和一二年
喜寿期  七五歳~七九歳  昭和一一年~昭和 七年
傘寿期  八〇歳~八四歳  昭和 六年~昭和 二年
米寿期  八五歳~八九歳  昭和 元年~大正一一年
卆寿期  九〇歳~九四歳  大正一〇年~大正 六年
白寿期  九五歳~九九歳  大正 五年~大正 元年
百寿期  一〇〇歳以上   明治四四年以前
・体志行の3つのカテゴリー
・体=からだ(・健康・食・スポーツ・睡眠 )
・志=こころ・こころざし(・知識・自分史・考えること )
・行=ふるまい(・技術・自作用品・散歩・話すこと )
・生年別の60歳以上の人口(男女)、流行語、流行歌
「高年期(還暦期)」(六〇~六九歳) 人口は平成21=2010年10月1日推計。総務省統計局
生年      干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九五二 昭和二七 壬辰 六〇還暦89・6 91・6 黄変米。ワンマン。「芸者ワルツ」
一九五一 昭和二六 辛卯 六一   94・9  97・3 逆コース。「高原の駅よさようなら」
一九五〇 昭和二五 庚寅 六二 101・8 105・0  特需。金へん糸へん。「白い花の咲く頃」
一九四九 昭和二四 己丑 六三 111・5 115・1  ニコヨン。「青い山脈」「長崎の鐘」
一九四八  昭和二三 戊子 六四 110・3 114・4 斜陽族。ノルマ。「湯の町エレジー」「異国の丘」
一九四七  昭和二二 丁亥 六五 104・4 108・7  不逞の輩。ゼネスト。「鐘の鳴る丘」
一九四六  昭和二一 丙戌 六六   65・0   68・5  象徴。タケノコ生活。「東京の花売娘」
一九四五  昭和二○ 乙酉 六七   69・2   74・2  敗戦。ピカドン。一億総ざんげ。「リンゴの唄」
一九四四  昭和一九 甲申 六八   83・9   90・8 鬼畜米英。学童疎開。「同期の桜」「お山の杉の子」
一九四三  昭和一八 癸未 六九   81・3  88・2  撃ちてし止まん。学徒出陣。「若鷲のうた」
「高年期(古希期)」(七〇~七四歳)
生年     干支 年齢    人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九四二  昭和一七 壬午 七〇古希82・9  90・6  欲しがりません勝つまでは。「南から南から」
一九四一  昭和一六 辛巳 七一  80・1 88・1  八紘一宇。国民学校。「めんこい仔馬」「里の秋」
一九四〇  昭和一五 庚辰 七二    72・3  80・3  月月火水木金金。「暁に祈る」「紀元二千六百年」
一九三九  昭和一四 己卯 七三    62・2 69・8  複雑怪奇。靖国の母。「上海の花売り娘」
一九三八  昭和一三 戊寅 七四    65・3 74・8 相手とせず。大陸の花嫁。「麦と兵隊」「支那の夜」
「高年期(喜寿期)」(七五~七九歳)
生年      干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九三七  昭和一二 丁丑 七五   66・3  76・6  国民精神総動員。「別れのブルース」「海ゆかば」
一九三六  昭和一一 丙子 七六   65・1  76・6  今からでも遅くない。「ああそれなのに」
一九三五  昭和一○ 乙亥 七七喜寿60・9  73・4 人民戦線。暁の超特急。「二人は若い」「野崎小唄」
一九三四  昭和 九 甲戌 七八  56・0  69・2  明鏡止水。「赤城の子守唄」「国境の町」
一九三三  昭和 八 癸酉 七九   54・3  68・9  転向。ファシスト。「東京音頭」「島の娘」
「高年期(傘寿期)」(八〇~八四歳)
生年          干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九三二  昭和 七 壬申八〇傘寿51・4   66・7  話せば判る。欠食児童。「影を慕いて」
一九三一  昭和 六 辛未 八一  47・7   63・8  生命線。酒は泪か溜息か。「サムライニッポン」
一九三〇  昭和 五 庚午 八二   43・3   59・9 エロ・グロ・ナンセンス。「祇園小唄」「酋長の娘」
一九二九  昭和 四 己巳 八三   40・2  57・6  大恐慌。大学は出たけれど。「東京行進曲」
一九二八  昭和 三 戊辰 八四   36・8   54・6 狭いながらも楽しい我が家。「波浮の港」「君恋し」
「長命期(米寿期)」(八五~八九歳)
生年          干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九二七  昭和 二 丁卯 八五   33・2  51・5  何が彼女をさうさせたか。「ちゃっきり節」
一九二六  昭和 一 丙寅 八六   30・0  49・4 文化住宅。モガ・モボ。「ヨサホイ節」「この道」
一九二五  大正一四 乙丑 八七   25・4  45・0  軍教。ラジオ放送。円タク。「あの町この町」
一九二四  大正一三 甲子 八八米寿20・4  39・4  憲政の常道。メートルデー。「からたちの花」
一九二三  大正一二 癸亥 八九   16・2  36・0  大震災。流言蜚語。「船頭小唄」「復興節」
「長命期(卒寿期)」(九〇~九四歳) 人口は平成21=2010年10月1日推計。総務省統計局
生年          干支 年齢   人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九二二  大正一一 壬戌 九〇卆寿13・4 32・3 恋愛の自由。民衆芸術。赤化。「馬賊の唄」「砂山」
一九二一  大正一○ 辛酉 九一   11・0   28・3  悪家主。プロレタリア。「七つの子」「赤とんぼ」
一九二〇  大正 九 庚申 九二    9・8  26・4 国調。示威運動。「聞け万国の労働者」「叱られて」
一九一九  大正 八 己未 九三   6・7  18・8  デモクラシー。サボ。「背くらべ」「靴が鳴る」
一九一八  大正 七 戊午 九四   5・8  17・0 平民宰相。米騒動。赤い鳥。「浜辺の歌」「宵待草」
「長命期(白寿期)」(九五~九九歳)
生年         干支 年齢  人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九一七  大正 六 丁巳 九五    4・7  14・6  きょうは帝劇、あすは三越。「さすらひの唄」
一九一六  大正 五 丙辰 九六   3・8  12・5 民本主義。是々非々。「サンタルチア」
一九一五  大正 四 乙卯 九七  2・9  10・1 御大典。ナッチョラン。「恋はやさし」「乾杯の唄」
一九一四  大正 三 甲寅 九八  2・2   8・4  大正琴。「カチューシャの歌」「朧月夜」
一九一三  大正 二 癸丑 九九白寿1・6   6・4  薩閥。新しい女。「鯉のぼり」「海」「早春譜」
これより「百寿期」
生年         干支 年齢  人口(男・女)万人       流行語・流行歌
一九一二  大正 一 壬子一〇〇  1・1   4・8  大正維新。閥族打倒。「都ぞ弥生」「春の小川」
一九一一  明治四四 辛亥一〇一   0・7   3・3  元始、女性は実に太陽であった。「二宮金次郎」
一九一〇  明治四三 庚戌一〇二   0・5   2・4  主義者。小学唱歌。「春が来た」「われは海の子」
一〇〇歳以上   0・7   4・1 4・8万人
一九〇九 明治四二 己酉一〇三     ―     ―  馬鹿な奴じゃ。マラソン。「ローレライ」「菩提樹」
一九〇八 明治四一 戊申一〇四     ―     ―  浮華軽佻。耽美派。「人を恋うる歌」「ハイカラ節」
一九〇七 明治四○ 丁未一〇五     ―     ―    自然主義。美顔術。キリン。「旅愁」「故郷の廃家」
一九〇六 明治三九 丙午一〇六       ―     ―    黄禍論。成り金。無政府主義。「青葉の笛」
一九〇五 明治三八 乙巳一〇七       ―     ―    天気晴朗なれど波高し。二○三高地。「戦友」
一九〇四 明治三七 甲辰一〇八       ―     ―    軍神。君死にたまふことなかれ。「日本陸軍」
一九〇三 明治三六 癸卯一〇九     ―     ―    アジアは一つなり。人生不可解。魔風恋風。
・   改元 明治45=大正元 1912. 7.30  大正15=昭和元 1926.12.25  昭和64=平成元 1989. 1. 8
 
 
 

四字熟語-目迷五色

目迷五色
もくめいごしき

色や香は五感を刺激して脳を活性化すると有名化粧品の宣伝にあったが、そうだろうか。先人は逆に「目は五色に迷う」という。

色はいまでは人為的につくれるからその数は無限といっていい。人為的色彩による感覚のマヒを予見しているようなことばである。老子は「五色は人の目を盲ならしむ」といい、荘子も「五色は目を乱す」という。さまざまな色彩に迷わされていると、色を失っていく夕暮れの風景が目にやさしい。モノクロ写真や映画や夢が伝える情感には捨てがたい味がある。

古来、伝統の五色は青赤(朱)白黒(玄)黄で、これがいわゆる正色。正色の朱に対して間色の紅や紫が際立って正色の朱を乱すことを「紅紫は朱を乱す」(紅紫乱朱)といった。たしかに誰の目にも朱衣よりも紫の袈裟や紅裙(紅いもすそ)のほうが目立つ。人びとが好む衣装の色は時代表現のひとつだが、正統というものはワンポイント目立たないところにあるものだと知る例証でもある。

沈徳符『万暦野獲編』など

四字熟語-単刀赴会

単刀赴会
たんとうふかい

三国時代の蜀の英傑関羽の豪胆さを伝える故事成語といえば「単刀にして会に赴く」であろう。「単刀」は一刀あるいは単身の意味。交渉のため単身で敵陣に乗り込むこと。関羽は呉の魯粛との交渉のためにわずかな供の者をつれただけで赴き、堂々の対論を果たして無事にもどったのだった。

会社を代表してひとり資料を抱えて敵陣ともいうべき相手会社や監督官庁に赴く者を、胸の中で支えてくれる強いことばである。

また「言笑自若」は、毒矢がひじを貫き毒が骨に及んだため、名医華佗に手術をまかせた関羽が、肉をほおばり酒を飲み、平然として諸将と談笑しつづけていたというもの。この激痛に平然としている関羽を思えば、少々のピンチにあわてることもない。

世界中の中国商人を支えているのが中華街の「関帝廟」。関羽と商人の出会いの原型は、曹操が手厚く葬った洛陽の関羽首塚とそれを守るため商人に身をやつして訪れて市をつくった蜀の武人たちにあるという。

『三国演義「六六回」』から

四字熟語-如座春風

如座春風
じょざしゅんぷう

「春風に座すが如し」というのは、春の情景ではなく、恩恵を受けた教師に対する賛辞にいう。小・中学校の教場を明るくしてくれていたこういう先生の記憶は、いつまでも暖かく新しい。人生の静かな追い風であったように思える。

後世にまで影響をなす学派や流派というのは、こういう和気をたたえた人物を中心にした一団から生まれるにちがいない。

兄弟が中心の場合が、宋代の二程子(兄が程顥で明道先生、弟が程頤で伊川先生)で、弟が兄を「時雨の潤いのごとし」とその温和さをたたえている。のちの程子学流の興隆をみるとき、このことばが生まれたふたりの師と居合わせた人びとの「春風」の暖かさを思うのである。

伊川先生に教えを求めてやってきた学生が、師が瞑座しているので、一尺を越すほどの大雪の門外で先生が目覚めるのを待ったという「立雪程門」からは、師を敬い教えを求めるとともに、きびしく処する学生の姿がしのばれる。

『二程集「外書一二」』から