四字熟語-掩耳盗鈴

掩耳盗鈴
えんじとうれい

「耳を掩いて鈴を盗む」というのは、盗もうとした鈴(鐘)が音をたてたので聞かれるのを恐れて自分の耳をふさいで実行したというもの。だれにも知られている自己欺瞞にいう。古くは鐘だったが、現今は「掩耳盗鈴」でよく使われる。 日本政府が「尖閣国有化」をしておいて中国と交渉する態度もその例とされる。
この「故事成語」を子どもたちが古装を身につけて寸劇として演じていた。いま各地で七歳から一四歳の小中学生が出演者となって「中国成語故事」(一千集)の撮影に臨んでいる。五年余をかけて撮影して全国のTV局から放送し、伝統文化教育の補助教材として出版されるという。
先人がなした事跡(故事)を後人が人生の糧として記憶し記録し用いてきた「故事成語」は、漢字の特徴を活かして四字に整えられており、歴史文化の精髄なのである。中国の子どもたちは小学校教材で二八〇項目、中学校教材で四六〇項目ほどの「故事成語」を学んでいる。

沈徳符『万暦野穫編二』など

高齢者の潜在力(知識・技術・資産)を日本再生の援軍に

2012総選挙・2013参院選への提案

高齢者の潜在力(知識・技術・資産)を日本再生の援軍

「国民分断」論争でなく「住民総和」構想を

○このたびの総選挙そして2013年の参院選は、わが国が自力浮揚するために、どの道を選ぶかの正念場です。持続する経済成長をなしとげる新たな道へ踏み出さねばならないからです。

○国民の暮らしを守る「社会保障」の財源を確保する「消費税増税」法案は、2012年6月衆院、8月参院で採択されましたが、実態を論じる場はありませんでした。「医療」「介護」「年金」「少子化対策」の議論は「国民会議」の有識者に委ねられましたが、決めるのは国民です。

○総選挙は全国の選挙区で、「高齢社会」と「社会保障」の姿を住民が候補者と話し合い、具体策の実現を付託する場だったはず。そしてその実現には3000万人に達した高齢者(65歳以上)の潜在力を呼び起こして地域の力を結集する「住民総和の政治参加」が必要だったはずです。

○にもかかわらず、各党の公約や各種メディアの関心は、原発・TPP・尖閣・憲法など「国民分断」の論争ばかり。地域住民の声は届かず、「住民総和」によって達成にむかう「日本長寿社会」(健全な社会保障)を構想できる国会議員がどれほど選出されたのでしょうか。

現役シニアの参画で健全な「社会保障」を堅持

○際立った増税論議の一方で、目立たずに有識者と内閣官僚によって11年ぶりに新「高齢社会対策大綱」が閣議決定(9月7日)されました。すべての高齢者が知るべき重要な指摘がなされています。これまでの「人生65年時代」の「支えられる高齢者」像を改めて、「人生90年時代」の「支える側の高齢者」(現役シニア)を登場させて、課題解決の要件としていることです。
○長寿として享受している65歳からの高齢期(65+25年)を、旧来のままの「余生」として送るのではなく、保持している知識・技術・資産を活用して、地域・職域に新たな「モノ・居場所・しくみ」をこしらえること。一つひとつは小さくとも、これが総体として「日本長寿社会」の達成に寄与するという将来像を納得して、一人ひとりの現役シニアがどこまで存在感を示せるかです。
○医療・介護で「支えられる高齢者」は2割ほどおりますが、大多数は安心して暮らせる「高齢社会」形成への参加を望んでいます。国会が将来構想を掲げ、現役シニアが積極的に参画して応分の存在感を示すこと。こうして健全な「社会保障」の現場が堅持されることになります。

「活力ある長寿社会」が持続する経済成長の要

○わが国の高齢者は、この10年、史上初・国際的に新たな社会を体験できないでいます。1999年の「国際高齢者年」に国連が提唱した高齢者五原則「自立、参加、ケア、自己実現、尊厳」のうち「ケア」には成果が認められますが、一人ひとりの高齢者が自立意識をもって参加し、目標である「みんな(all ages)のための社会」の実現をめざす活動を展開してこなかったからです。
○多事多難な課題に苦闘している青少年・中年の現役世代とともに、現役シニア層が加わった三世代協働による新たな「活力ある長寿社会」の形成こそが、持続する経済成長の要です。
○代表である国会議員が最重要の政策とし、各地各界のリーダーがそれぞれの立場で対応し、現役世代と高齢者一人ひとりが暮らしの中で持続可能な自己目標を掲げて実現に踏み出すとき、「長寿社会」の先行モデルとしての成功事例を案出しつつ、自力浮揚する確かな道が見えてきます。
2012年12月8日~13年1月9日
***提案者 「活力ある長寿社会」を推進する有志の会
尾崎美千生(元毎日新聞社政治部記者 michio1@jcom.home.ne.jp
岡本憲之(高連協理事・JTTA理事長 okamoto@npo-jtta.jp
堀内正範(朝日新聞社社友・「月刊丈風」     https://jojin.jp 編集人 mhori888@ybb.ne.jp
(事務局)tel&fax 0475-42-5673 〒299-4301 千葉県長生郡一宮町一宮9340-8

四字熟語-気吞山河

気吞山河
きどんさんが

意気さかんにして山河も呑むほどの勢いがあることを「気は山河を呑む」といいます。意気さかんである度合いはさまざま。大きいところでは雲夢(楚にあった大沢)の八つや九つを呑んでやろうという「気呑雲夢」となり、はては牛斗(牽牛星と北斗星)を呑む「気呑牛斗」や宇宙まで呑んでしまう「気呑宇宙」となったりします。中国史上で稀有の意気さかんな人物として知られる英傑、漢の劉邦と天下を争った楚の項羽は「抜山蓋世」(力は山を抜き、気は世を蓋う)であったと伝えられています。
平成不況が長引いている上に「消費税増税」では気勢はあがらず「気息奄々」ですが、要は人。景気も気のうちですから「気呑山河」の勢いがほしいところ。年齢を問わず、ひとりひとりが保持する知識、技能、資産を活かして地域・職域に活力を呼び起こす以外にありません。みなさんの「気吞・・」がなにを吞むかによります。力づよい・・を入れて、みずからの気勢をさかんにしてください。

金仁傑「蕭何月下追韓信」など

四字熟語-牛角掛書

牛角掛書
ぎゅうかくかいしょ

「牛角に書を掛く」というのは、ゆったりとして忍耐づよく歩を運ぶ牛にまたがって、その角に書を掛けて読んだという故事からいわれる。隋代の李密が路を行きながら『漢書』を読んだ姿からで、瞬時を惜しんで勉学に励む例とされる。
角に書を掛けられて、路すがら耳元で「項羽伝」を聞かされた牛のほうは迷惑だったろう。牛にちなむ成語には「対牛弾琴」があって、正調の琴曲を聞かされてもいっこうに反応を示さなかったことから、意の通じない人物にいわれる。さらには会盟の際に牲(牛偏)にされ、血の誓いのために「牛耳」を執られては喘ぎ声を発せざるをえない。
この成語をとりあげたのは、移動途中の電車のなかで、瞬時を惜しんで書ならぬ電子機器をあやつる若者たちの姿をみるからで、将来は計り知れない質と量の電子世界が成立するのだろう。想像を絶する未来に牛のように喘ぐばかり。さりとて「牛角掛書」の意味あいが解らなくなることはないだろう。

『新唐書「李密伝」』より

 

 

四字熟語-明日黄花

明日黄花
みょうにちこうか

「明日」は重陽(旧暦九月九日・今年は一〇月二三日)の後の日のこと。「黄花」は菊の花。重陽節には菊を観賞するならわしがあり、その日にむけて盛りを迎えるよう栽培される。節日を過ぎて萎れていく姿を「明日黄花」という。重陽節を終えて盛りになる花なら「役たたず」ということになる。
普及のはじめに独占状態だった人気商品が売れなくなる。女子バレーで日本が中国を破って金星を挙げると、中国では「明日黄花」(昔日の影もなし)という評価を受けることになる。
重陽の長寿を寿ぐ意味合いから、この節日を「敬老日」にあて、一〇月を「敬老月」として「崇尚敬老」の伝統の継承がはかられている。上海市の高齢化率は全国一で、一九八八年に「敬老節」を設けて今年二五回。新聞にも敬老・愛老・助老の記事が目立つ。わが国では「敬老の日」をハッピーマンデー(九月第二月曜日)にしたために存在感をなくしてしまっている。新聞をみても関連記事を見い出すのがむずかしい。

蘇軾「九日次韻王鞏」など

 

 

2012総選挙各党公約と高齢社会政策

各党選挙公約 pdf
2012総選挙各党公約(政権公約)と高齢社会政策(主要8党)
ここでの「高齢社会政策」は、①新「高齢社会対策大綱」(2012・9・7閣議決定)が指摘した「支える側の高齢者」を意識し対応する政策、②国連が提唱する「自立・参加・ケア・自己実現・尊厳」(高齢者五原則)を基本とする意識変革と社会参加をめざす政策、③地域・職域の高齢者がもつ知識・技術・資産を活用する政策をいう。
上記の三つの「高齢社会政策」に対応する公約を掲げたのは、自民党・みんなの党・維新の会だけで、多くの政党はなお旧来の高齢者は介護・医療などの対象(支えられる高齢者)とする政策の域をでていない。とくに左翼系の政党が推進してきた施策だが、いまや3000万人に達した高齢者の多くは現役シニア指向なのである。にもかかわらず、①高齢社会対策大綱を軽視、②国際的活動への遅滞、③「全員参加型社会」をいいながら高齢者(支える側の高齢者)には言及しないなど、現役シニアの潜在力への対応の不在が顕著である。
 

四字熟語-濫竽充数

濫竽充数
らんうじゅうすう

成語の意味は、竽(竹製の管楽器)の合奏者の中にうまく吹けない者が混じっているというもの。
斉の宣王は竽の合奏を聞くのを好んだ。三百人の吹き手を集めて合奏させたという。そこで南郭先生が吹き手を集めて演奏したところ王は喜んで、国費で楽員を抱えた。南郭先生は吹き手ではないが吹奏者から慕われていただろう。問題は宣王が死んで湣王が立ち、個々の演奏を好んだことにある。そこで演奏者として実力のない南郭先生が去ったのはいうまでもない。
この成語はさまざまな意味合いでよく使われる。無能なのにいい地位にいる、実力以上の待遇や声価をえている、全員のレベルを乱している・・もちろん手ぬき品やニセのブランド品などモノにも言われる。
楽団がいい演奏をするには、全体の調整を図る指揮者やコンサートマスターが必要である。後者は演奏の名手だが、必要な指示を出していた南郭先生は指揮者に近い役割をしていたという解釈はあっていい。

『韓非子「内儲説上」』から

 

 

新編集『現代シニア用語事典「人生90年代」を生きることば』が完成公開

新編集『現代シニア用語事典「人生90年代」を生きることば』が完成公開。 212ページ 580KB
!!『現代シニア用語事典』丈風用 pdf
堀内正範著のペーパー版 『丈人のススメ 日本型高齢社会 「平和団塊」が国難を救う』 (武田ランダムハウスジャパン・2010年7月刊)を項目別に編集しなおし補足しました。
◎高齢者みんなが安心してくらせる社会をどうこしらえるか。
◎まずは家庭内の高齢化をどうするかに具体的な提案。
◎経済の活性化のための高齢者起業(国産化)へのアドバイス。
◎日本再生は「地域と四季」の再生であること。
◎新「高齢社会対策大綱」を活かす官民事業の展開。
◎どうすれば国際的に先行し、将来モデルとなる高齢社会にできるか。
「丈人」=「三世代多重型社会」を達成する「支える側」の高齢者。
「丈人力」=丈人層が保持する生活力(生命力)。大丈夫!の気慨。
「平和団塊」=平和時代の証としての「日本高齢社会」達成の中心になる戦後(一九四六~五〇年)生まれの一〇〇〇万人の若き高齢者層。