入郷随俗
にゅうきょうずいぞく
T・S エリオットの詩集をミュージカル化した「キャッツ」(音楽劇「猫」)といえば、一九八一年にロンドン初演以来二六カ国三〇〇余都市を巡回しており、日本でも「劇団四季」が演じて親しい。中国でも人気で、昨年暮れからの北京公演では、開幕の歌「ジェリクルソング」(傑里科之歌)にいくつもの四字成語を巧みに織り込んだ演出が評判になっている。
エリオットの英詩の押韻による美しい語感も詩意も、直訳の歌詞で伝えるのはむずかしい。そこで伝来の四字成語を重ねることによってリズム感と意味合いとの「入郷随俗」(郷に入って俗に随う。その地の風俗習慣に随う)に成功したという。貴族猫の食譜には烤鴨や三十年ものの茅台酒も出てくる。
歌詞には、語尾がnの四字熟語「威風八面」(威風堂々として)「智勇双全」(智勇そろって)「詭計多端」(だましあって)「風雲变幻」(何が起きても)「左右逢源」(どっちみち同じ)ほかが散りばめられている。
『続伝灯録・七』など