創業守成
そうぎょうしゅせい
「創業」は新たに業を起こすこと、「守成」はそれを守り通すこと。ひとつの事業を成功させ持続させるのは易しいことではない。
唐の太宗李世民からどちらがむずかしいかと問われた時、房玄齢は群雄と力して争うゆえ「創業は難し」といい、魏徴は安逸にして失うゆえ「守成は難し」と答えた。創業期から守成期にかけての課題をみていた太宗は、事業は創業より守成がさらにむずかしいという魏徴のことばに納得したようである。
魏徴は「述懐」に「中原また鹿を逐い、筆を投じて戎軒(戦いの車)を事とす」と詠んで出征している。「人生意気に感ず、功名誰かまた論ぜん」で知られるこの詩は『唐詩選』の冒頭を飾って、むしろ後世の創業者を鼓舞してきた。
「創業百年、敗家一天」も守成のむずかしさをいう。先の大戦後に創業した企業はいま半世紀を過ぎて守成期にある。百年企業として残るには、時代がおもむく安逸への流れにしっかり対処する人材が必要だろう。
『唐書「房玄齢伝」』など