四字熟語-乱点鴛鴦

乱点鴛鴦
らんてんえんおう

「鴛鴦」はオシドリのこと。鴛がオスで鴦がメスという(雌雄が逆の説も)。つがいで行動するようすはほほえましく、古来、「おしどり(愛し鳥)夫婦」といえば仲のいい夫婦の例えとされている。実際に水辺でみる姿は「相思」を思わせる。

そういう一般人の評価を崩すのが、群れている夜のうちにお互いの相手を取り替えて、昼間は何事もなくむつまじいという実見者の説である。人の世にも夫婦を交換する例があって、その過程が人生模様としておもしろいことから、演劇化した馮夢龍「喬太守乱点鴛鴦譜」(三組の未婚者)が人気になって、「乱点鴛鴦」の話がよく知られた。

ほんものは鳥取県の県鳥であり五〇円切手で親しいが、絶滅危惧種のレッドリストに指定している県もある。「乱点鴛鴦」の実態がどうなのかは、人工繁殖をしたり調査をしている人に聞けばわかるが、せっかく古来から「鴛鴦」が伝えてきた「相思相愛」や「連理之枝」の意味合いを崩すこともないだろう。

馮夢龍『醒世恒言』から