きょうゆうせいちく
竹は竹かんむりの字が多いことからも、さまざまな用途をもった植物として親しまれてきたことがわかる。まず筆がそうだし、竿、箒、箸、箱、籠、笛、笠、節や筋もそうである。また竹はそのたたずまいを愛されて、詩画としても数多くの名品が残されている。
北宋時代の四川に文与可という竹の画に秀でた人がいた。ことのほか窓外の竹を愛でて、春秋、朝夕、晴雨といった自然の変化の中での竹を仔細に観察して描いた。同時代の文学者晁補之は「胸中に成竹あり」と称賛している。描く前に画が胸中に完成しているのだから上手なはずである。
ことをなす前にすでに胸中にしっかりした結果が見えている(成算がある)例として用いられる。
折りしもTPPへの加入問題に対する野田首相の態度について、「人民網」は「賭博かそれとも胸有成竹?」の見出しを付けた。賭博ということはないだろうが、といって国民を納得させる「成竹」が胸中に描けているのかどうか。
晁補之『鶏肋集・八』から