「現役世代よりもわれわれが」という思いからの行動である。6月16日(木)に参議院議員会館の一室に集まった80人ほどの高齢者。福島原発での被ばくを覚悟したうえでの現場作業を申し出た「原発シニア隊」(福島原発暴発阻止プロジェクト)のみなさんである。
呼びかけたのは山田恭暉(やすてる。72。株式会社ニュークリエイト)さん。かつて60年安保を経験し、その後、企業のエンジニアとしてすごした。60歳以上で体力・経験のある人という参加条件で志願者を募ったところ、300人を超える同調者をえた。心意気だけで参加できるわけではない。即戦力の技術・経験の裏付けがいる。
参加者から「これは戦争」という発言もあって、海外メデイアからは「suicide corps」や「自組敢死隊」という評価もみられるが、「神風特攻隊のような無謀なことはしない、安全に帰ってくることが課題」と山田さんはいう。かなり汚染された環境でのしごとが必要になる。東芝の原発技術者であった折井祥一(68)さんは、「つくったものに責任があるというエンジニアリングシップ」から参加を決めた。家族も納得しているところがいい。
このニュースは6月19日「テレビ朝日」からだが、今後ニュースになることは少ないだろう。福島原発の過酷な現場に、覚悟を固めた高齢技術者の営為(エンジニアシップ)が加わったことを見落とすわけにはいかない。