現代シニア用語TODAY 「長寿時代」のライフサイクル「賀寿期五歳層」のステージ「体志行」三つのカテゴリー

「長寿時代」のライフサイクル 
これまでライフサイクルというと「乳幼児期」「少年期」「青年期」「壮年期」「老年期」という五つのステージ(年齢階層)として説明されてきました。だれもが経験的に知って納得していることですから間違いというわけにはいきません。しかしこの階層の分け方は二五歳までに三つの階層があることからも知れるように、「発達心理学」からの階層分けであって、高齢期を暮らす人に配慮したライフサイクルではありません。高齢時代には「加齢学」的な観点から、逆に高齢期に三つを配するといった階層分けを考慮する必要があります。ここでは二五年間ずつ三つのステージを「三世代」に等しく割り振りながら、高齢期を暮らす人の実感に配慮したライフサイクルを提案しています。学問的にうんぬんするつもりはなく、実感として納得していただければいい。
青少年期   〇歳~二四歳 自己形成期
バトンゾーン 二五~二九歳 選択期
中年期    三〇~五四歳 労働参加・社会参加期
パラレルゾーン 五五~五九歳 高年期準備・自立期
高年期    六〇~八四歳 地域参加・自己実現期
長命期    八五歳~   ケア・尊厳期
(自立・参加・自己実現・ケア ・尊厳の五つは国連の「高齢者五原則」)
上の階層分けが、高齢者がみずからを顧みて納得できる「長寿時代のライフサイクル」といえるでしょう。
「バトンゾーン」というのは個人の特性によって生じる幅であり、青少年期にいれるか中年期にいれるか、モラトリアム期として過ごすかは個人が選択すればいい。
「パラレルゾーン」というのは「パラレル・ライフ」(ふたつの人生)期にあることで、「高年準備期」です。窓際族なんかでヒマつぶしをしている時期ではなく、二五年の高年期を自分らしく生きる(自己実現)のための模索(自立志向)期でけっこう多忙なはずなのです。
「定年後は余生」などとぼんやり考える旧時代の「老成」タイプの高齢者意識が、長寿時代にはいっているこの国の「高齢社会」形成に自然渋滞をもたらしているのです。「高年期」での地域参加・自己実現の二五年をどう体現して暮らすかの工夫が人生の豊かさの差をつくることになります。と同時に社会を活性化させることになります。もちろんその活動は高齢世代みずからのものであるとともに次世代のためのものであり、可能な範囲でなお中年・青少年を支援するものとなります。別のところでも引用しいていますが、「自分がその木陰で憩うことがない樹を植える」(W・リップマンのことば)という配慮は常に意識して暮らすことが肝要です。
「賀寿期五歳層」のステージ
これは「長寿時代」を前向き(パイオニア)に暮らすための指針であり、本稿の創見のひとつです。知ると知らないとでは高齢期人生に雲泥の差が生じますs。 本稿が提案している「長寿時代のライフサイクル」の「高年期」(60歳~)と「長命期」(85歳~)を、ひとつひとつの「五歳層」に分けて、その年齢階層らしく迎えて過ごす。なだらかな丘を同年層の仲間といっしょにゆっくりとマイペースでトレッキングするような爽快感があればいい。
「定年退職」のあとを「余生」と決めて、孤独な不安にも耐えて生きるのが男の美学というならそれでもよい。いつかは訪れる死はひとりのものだからです。中年期のしごとがつらかったから遊んで暮らしたい、人間関係に疲れたからひとりになりたいという人の自由を奪うことなどできません。
先人は見定めえない人生の前方に次々に「賀寿」を設けて個人的長寿のプロセスを祝福して楽しんできました。いまも「何何先生の米寿の会」「おばあちゃんの卆寿の会」は個人の「賀寿の会」としてそれぞれに祝われています。しかし六〇歳以上の約三九〇〇万人(六五歳以上の約三〇〇〇万人)の高年者が多くの仲間とともに暮らしているのだから、同年齢同士が励まし合いながら百寿期を目ざすのもいいのではないでしょうか。
還暦期(六〇歳~六九歳) 昭和二七年~昭和一八年
古希期(七〇歳~七四歳) 昭和一七年~昭和一三年
喜寿期(七五歳~七九歳) 昭和一二年~昭和八年
傘寿期(八〇歳~八四歳) 昭和七年~昭和三年
米寿期(八五歳~八九歳) 昭和二年~大正一二年
卆寿期(九〇歳~九四歳) 大正一一年~大正七年
白寿期(九五歳~九九歳) 大正六年~大正二年
百寿期(一〇〇歳以上)  大正元年以前
2011年には日野原重明さんが百寿期に達して話題になりました。2012年は新藤兼人さんが到達しましたがゴールして亡くなりました。卆寿期には瀬戸内寂聴・水木しげる・鶴見俊輔さんがいます。傘寿期には樋口恵子・堂本暁子・岸恵子さん、石原慎太郎・五木寛之・仲代達矢さんと多士済々です。そして古希には小泉純一郎・小沢一郎・松方弘樹・松本幸四郎・青木功・尾上菊五郎さん。七〇歳になったからといって老成することはないでしょう。仲間といっしょに人生の新たな出会いを楽しむ日々が待っているのですから。
「体志行」三つのカテゴリー
高年期にある人ならだれにもこれまで過ごしてきた「青少年期」と「中年期」の五〇年余の間に積み重ねてきた経験や知識や健康や有形・無形の資産があります。
それらを六〇歳からの「高年期」を意識した「からだ(体・健康)」と「こころ・こころざし(心・志・知識)」と「ふるまい(行・技術)」のそれぞれにしっかりとバランスよく活かして暮らすこと。
この三つ以外に人間(人生)としての存在はないというのが、東洋の哲学が持つ人間(人生)観なのです。そういう意味合いが納得できるのは、やはり「からだ(体)」のどこかに故障を生じる高年期になってからのことで、ここから「体・志・行」に配慮した「高齢期の人生」が始まります。人生を通じて右片上がりの能力をたいせつにする「丈人(別項)」であることを意識して、この三つをバランスよくすごすことによって、外面的に「老人」としてではなく「丈人」としての「健康・知識・技術」に配慮した暮らしが表現されることになります。この三つをバランスよく働かせた暮らしをしている人が、敬愛すべき「現代丈人」のみなさんです。スポーツ界では「心技体」として認識されているのは、スポーツでは心の構えが技・体の差をつくるからです。

 

現代シニア用語事典(全)

『現代シニア用語事典』(全)編集制作・堀内正範
制作中

現代シニア用語事典
「人生90年時代」を生きることば
◎目次
 #1 「人生65年時代」の「二世代+α型社会」をどう生きる https://jojin.jp/382
#2 高齢者(昭和丈人)と高齢社会
https://jojin.jp/398
#3 個人の幸せと家庭内高年化
https://jojin.jp/399
#4 家庭用品の「途上国化」と「国産化」
https://jojin.jp/400
#5 新スグレモノと企業再リストラ
https://jojin.jp/401
#6 日本再生と地域の四季 
https://jojin.jp/403
#7 人民・市民・国民・国際人
https://jojin.jp/405
#8 「人生90年時代」の「三世代現役型社会」をこう生きる  https://jojin.jp/407

制作中
 
*高齢者ケア
――意思決定プロセス
高齢者ケアの意思決定プロセスに関するガイドライン
~人工的水分・栄養補給の導入を中心として~
日本老年医学会
意思決定プロセス・ガイドライン【PDF 628KB】
日本老年医学会
日本老年医学会とは
日本老年医学会は昭和34年11月7日(1959年)に第1回日本老年医学会総会が開催され、任意団体としての日本老年医学会が発足し、以来毎年1回学術集会を開催いたしております。平成7年3月9日(1995年)には文部省(現文部科学省)の設立許可により社団法人日本老年医学会が設立され今日に到っております。本学会は、成人病、老年病の領域における医療ならびに研究従事者、専門家からなり、成人老年医学に関する諸問題に総合的に関わって参りました。この間会員数も増大し、現在6,200人を数え、国内でも有数の学会に成長して参りました。現在の高齢化社会においては、高脂血症、高血圧症、糖尿病に伴う血管病変により生じる心臓、脳における虚血性疾患の医療、予防が医学的にも社会的にもさらに重要性を増してきています。本学術集会では、心疾患、脳血管病変の基礎にある血管病変、脂質代謝、糖尿病、老年医学、神経疾患等に関する専門研究者の研究成果の報告に加え、介護保険が2000年4月から開始されたことも視野に入れ、福祉と医療の連携をはかるようにしております。又、海外の研究者を可能な限り多数招聘し、高齢化社会における疾患の治療、病態解明及び、福祉の向上を目的とした先端的研究の成果が発表されます。
日本老年医学会は老年医学に関する学理及びそのの応用の研究についての知識の普及、会員相互及び内外の関連学会との連携協力を行うことにより、老年医学の進歩を図り、もって我が国における学術文化の発展に寄与する事を目的とします。この目的を達成するために次の事業を行っています。

  1. (1) 学術集会などの開催
  2. (2) 学会誌、その他の出版物の刊行
  3. (3) 学会認定、指導医、教育施設の認定
  4. (4) 研究の奨励、研究業績の表彰
  5. (5) 内外の関連学術団体との連絡及び協力
  6. (6) その他、目的を達成するために必要案事業

一般社団法人日本老年医学会
理事長 大内 尉義
会員数
2014年3月現在

会員数

6,566

賛助会員

18

発足年月日
1959年11月7日

日本老年医学会 役員名簿(2013年7月現在)

役職名

氏名

常勤・非常勤

所属

職名

理事長

大内 尉義

非常勤

国家公務員共済組合連合会 虎の門病院

院長

理事

荒井 啓行

非常勤

東北大学加齢医学研究所 老年医学分野

教授

犬塚 貴

非常勤

岐阜大学大学院医学系研究科 神経内科・老年学分野

教授

岩本 俊彦

非常勤

国際医療福祉大学塩谷病院 高齢者総合診療科

教授

大庭 建三

非常勤

大洗海岸コアクリニック

院長

葛谷 雅文

非常勤

名古屋大学大学院医学系研究科 地域在宅医療学・老年科学

教授

神﨑 恒一

非常勤

杏林大学医学部 高齢医学

教授

下門 顕太郎

非常勤

東京医科歯科大学大学院 血流制御内科学分野

教授

下濱 俊

非常勤

札幌医科大学附属病院 神経内科

教授

髙栁 涼一

非常勤

九州大学大学院医学研究院 病態制御内科学

教授

土居 義典

非常勤

社会医療法人 近森病院

理事

鳥羽 研二

非常勤

国立長寿医療研究センター

院長

橋爪 潔志

非常勤

松本歯科大学

教授

松林 公蔵

非常勤

京都大学 東南アジア研究所

教授

三木 哲郎

非常勤

愛媛大学大学院医学系研究科 老年・神経・総合診療内科学

教授

森本 茂人

非常勤

金沢医科大学 高齢医学

教授

山口 修平

非常勤

島根大学医学部 内科学講座 内科学第三

教授

横出 正之

非常勤

京都大学医学部附属病院 臨床研究総合センター 早期臨床試験部

教授

横野 浩一

非常勤

神戸大学

名誉教授

樂木 宏実

非常勤

大阪大学大学院医学系研究科 老年・腎臓内科学

教授

監事

荒井 秀典

非常勤

京都大学大学院医学研究科 人間健康科学系専攻

教授

横手 幸太郎

非常勤

千葉大学大学院医学研究院 細胞治療内科学

教授

 
*日本老年学会
日本老年学会を構成する学会
日本老年学会会則【PDF 203KB】

本学会は、他の6学会と共に日本老年学会を構成しています

日本老年学会は、1959年(昭和34年)11月7日、それぞれ独立した日本老年医学会、日本老年社会科学会の連合体として、発足しました。

会則に基づき日本老年学会総会は昭和34年より1年おきに開催することとなり、その中間の年次は日本老年医学会および日本老年社会科学会が、それぞれ別個に独立して開催することとし、今日に及んでいます。

その後、日本基礎老化学会、日本老年歯科医学会、日本老年精神医学会、日本ケアマネジメント学会、日本老年看護学会が加盟しました。

日本老年学会 加盟学会

※各学会の最新情報は各学会ホームページをご覧下さい。

日本老年医学会
The Japan Geriatrics Society

会員数:6,404名

発足年月日:1959.11.7

加盟した年月日:1959.11.7

日本老年社会科学会
The Japan Socio-Gerontological Society

会員数:1,493名

発足年月日:1959.11.7

加盟した年月日:1959.11.7

連絡先:
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4-1-1 オザワビル2F
(株)ワールドプランニング内
TEL:03-5206-7431 FAX:03-5206-7757
E-mail:world@med.email.ne.jp
URL:http://www.rounenshakai.org

学会について:
日本老年医学会とともに日本老年学会を構成する単位学会として設立されました。経済学、社会学などの社会科学にかぎらず、社会福祉学、心理学、建築学、保健学、看護学、精神医学などからの老化と老人問題、サービスに関わる研究を取りあげる学際的な学会として発展してきました。会員は社会・行動科学、健康科学の研究者のほか、医師、看護婦、社会福祉・介護の専門職など多岐にわたっています。機関誌『老年社会科学』(年4回発行)は、投稿論文を主とする学術誌として高く評価されています。一般研究報告とシンポジウムを主とする学術集会(大会)を年1回開催するほか、2002年度からはワークショップ、シンポジウム等を年1回開催します。

日本基礎老化学会
The Japan Society for Biomedical Gerontology

会員数:330名

発足年月日:1981.5.15

加盟した年月日:1981.10.16

連絡先:
〒173-0015 板橋区栄町35-2
東京都老人総合研究所加齢臓器障害研究グループ内
TEL:03-3964-3241(内線3032) FAX:03-3579-4776
E-mail:maruyama@center.tmig.or.jp
URL:http://www.tmig.or.jp/jsbg/index.html

学会について:
老化とその影響の解明や老化予防の開発につながる研究を培養細胞から線虫、ショウジョウバエ、さらに高等動物までを対象として行う幅広い学会です。

日本老年歯科医学会
The Japanese Society of Gerodontology

会員数:1,728名

発足年月日:1990.9.29

加盟した年月日:1991.11.3

連絡先:
〒170-0003 東京都豊島区駒込1-43-9 駒込TSビル4F
財団法人口腔保健協会内
日本老年歯科医学会事務局
TEL:03-3947-8891 FAX:03-3947-8341
URL:http://www.gerodontology.jp/

学会について:
高齢社会の中で歯科に関する医療と福祉、さらに口腔の加齢に対する問題を総合的に研究し、その成果を他学会との共同研究や発表を通じて理解し、高齢者の医療に貢献することを目的としています。

日本老年精神医学会
The Japanese Psychogeriatric Society

会員数:2,504名

発足年月日:1986.6.1

加盟した年月日:1999.6.17

連絡先:
〒162-0825 東京都新宿区神楽坂4-1-1 オザワビル2F
(株)ワールドプランニング内
TEL:03-5206-7431 FAX:03-5206-7757
E-mail:rouseijim@nqfm.ftbb.net
URL:http://www.rounen.org/

学会について:
今日、老年精神医学に対する期待は急速に大きくなっており、老年精神医学に携わる者にとって、それに十分応えられる態勢を整えることが急務となっています。
老年精神医学の緊急かつ最大の課題として痴呆の問題があり、また、老年精神医学が対象とすべきものとして身体疾患に伴う精神障害や老年期にみられやすいうつ病、神経症、妄想症などもあります。これら老年期の精神障害の発現には、社会心理的な要因や身体因などが複雑に関わりあっていることが多く、症状の理解や治療の面でも、一般の精神医学の単なる延長ではなく、老年精神医学からの視点が必要とされています。
このような状況を踏まえ、この領域に関心の深い人たちが集い、日頃の研究の成果を発表し互いに情報を交換しあう目的で、1986年に日本老年精神医学研究会が発足し、1988年に日本老年精神医学会として改組され、現在に至っています。

『丈人力のススメ 人生90年時代をこう生きる』

『丈人力のススメ 人生90年時代をこう生きる』
堀内正範 
朝日新聞社社友 元『知恵蔵』編集長
一過性の「アベノミクス」が去ったあと、国難を救うのは
現役シニアによる「成長+成熟社会」の達成のほかにない.
第一章 世相 「現役人生65年」をすごし終えて
『人生90年時代』za1pdf
第二章 家族 「マイホームパパとママ」の憂鬱
『人生90年時代』za2pdf
第三章 モノ・職場 途上国産の中流品に囲まれて
『人生90年時代』za3pdf
第四章 和風回帰 四季と特性が息づく地域に
『人生90年時代』za4pdf
第五章 高齢期・居場所 「エイジング・イン・プレイス」
『人生90年時代』za5pdf
第六章 高齢者 住民・・国際人として
『人生90年時代』za6pdf
第七章 新時代 「人生90年時代」をこう生きる
『人生90年時代』za7pdf
「人生90年時代」をこう生きる 目次
『人生90年時代』目次z
のち出版予定。
 

現代シニア用語事典#4 新スグレモノと企業再リストラ

!!!『現代シニア用語事典』分載#4pdf
現代シニア用語事典#4
「人生90年時代」を生きることば
新スグレモノと企業再リストラ
*9割が「中流」と感じる社会が消えた
*新・日本型マネジメントの展開
*「窓際パアレル・キャリア族」の模索

攻めの「リストラ」による企業再生
*わが社が誇る「高年化製品」
*社内ミドル化と社内シニア化
*「新・日本型企業」の成立
*「SWIT会議」に新・家族主義の芽
 

「人生90年時代」を生きることば#3

現代シニア用語事典 #3
「人生90年時代」を生きることば #3
家庭用品の「途上国化」と「国産化」
!!!『現代シニア用語事典』連載#3
 
*・*日本製「高年化優良品」に活路
*・*優れたモニターとしての日本高齢者
*・*造る者と使う者の出会い
*・*「(仮)日本高年化用品展示会」の開催
 

シニア用語today-「大正生れの歌」「三浦雄一郎」「木村次郎右衛門」「合計特殊出生率」「なだいなだ」「老人党」「高連協」ほか

高齢者意識と家庭内の高齢化対応
『現代シニア用語事典』#2
「大正生れ」の歌
「大正生れ」の歌
三浦雄一郎
木村次郎右衛門
合計特殊出生率
なだいなだ
老人党
Topics 2013年5~6月
東大がつくった高齢社会の教科書
東大がつくった高齢社会の教科書a
高連協
高連協(上中下)
高齢社会イベント月(季)間
高齢社会イベント月間(季間)
人生65年時代の「二世代+α型社会」
をどういきる
『現代シニア用語事典』#1
高齢社会パラダイムシフト
特集パラダイムシフトa

現代シニア用語TODAY--「成長戦略」と「成熟戦略」

TODAY「成長戦略」と「成熟戦略」
堀内正範 朝日新聞社社友・「月刊丈風」編集人 「国民の活力」には、これまでのように青少年・中年者の「成長活力」とともに、高齢化が進み3000万人に達した高年者が保持する「成熟・継承活力」があることを、ほかならぬ高齢者自身が体験的に率直に認識することが何より必要です。わが国に活力を与える将来構想には「成長戦略」と「成熟戦略」とがあって、後者は高齢者によって新たに展開されることになります。

新編集『現代シニア用語事典「人生90年代」を生きることば』が完成公開

新編集『現代シニア用語事典「人生90年代」を生きることば』が完成公開。 212ページ 580KB
!!『現代シニア用語事典』丈風用 pdf
堀内正範著のペーパー版 『丈人のススメ 日本型高齢社会 「平和団塊」が国難を救う』 (武田ランダムハウスジャパン・2010年7月刊)を項目別に編集しなおし補足しました。
◎高齢者みんなが安心してくらせる社会をどうこしらえるか。
◎まずは家庭内の高齢化をどうするかに具体的な提案。
◎経済の活性化のための高齢者起業(国産化)へのアドバイス。
◎日本再生は「地域と四季」の再生であること。
◎新「高齢社会対策大綱」を活かす官民事業の展開。
◎どうすれば国際的に先行し、将来モデルとなる高齢社会にできるか。
「丈人」=「三世代多重型社会」を達成する「支える側」の高齢者。
「丈人力」=丈人層が保持する生活力(生命力)。大丈夫!の気慨。
「平和団塊」=平和時代の証としての「日本高齢社会」達成の中心になる戦後(一九四六~五〇年)生まれの一〇〇〇万人の若き高齢者層。

現代シニア用語today-「 社会保障制度改革国民会議」「平均余命」ほか

現代シニア用語TODAY pdf
 社会保障制度改革国民会議 平均余命  国際高齢者年(1999)   長寿時代のライフサイクル 他
 「和して同ぜず」(和而不同)
衆議院選挙に一〇余党が乱立し、それぞれの公約を掲げて、この国の将来を決定づける一つの政権をめざすこととなりました。こういう時、「和して同ぜず」(『論語「子路」』から)が、君子(政治リーダー)の要諦とされてきました。「和」するけれども「不同」であるというのはどういうことなのか。
自分の主体的な立場や意見を保ちながら、相手の主体的な意見や立場を認めて「和」の姿を示すことにあります。主要課題である原発、TPP、社会保障・財政、憲法、外交・防衛などでどういう「和」の姿をつくれるのか。もちろん「不和不同」で政権はつくれません。
どの課題によって「和」の姿をつくるかで、この国の将来が決まることになります。
重要でも国論を分断するような課題ではありません。国論を一つにし、国民の活力を呼び起こす課題は何なのかを正確に見極めることにあります。わたしは国民みんなが力を合わせて形成する「長寿社会」(社会保障・財政)の姿が「和」の基盤と考えています。ですから「不動」であり「不同」の政策としてそれを掲げている党と人物を選びます。それで自分たちと後人の将来がきまることになるからです。(二〇一二年一二月一日)
時流は「平成維新」、本流は「平成掘起」

この国の政治基盤が揺れています。マグニチュードはかなり大きい。

明治維新、大戦後に継ぐ今世紀初頭の「第三の国難」に立ち向かう変革者あるいは救済者として、憂国高齢議員が政治生命を賭けて国民にたちあがりを求めているし、地方首長・議員が市民に決起を促しています。既成政党の内部でも、もちろん市民の間でも議論は渦を巻いています。

しかし「三・一一大震災」後もなお多くの国民は、「そんなに深刻ぶることはない」「世の中はどうなっても自分は大丈夫」と思って暮らしているし、TV画面ではエンタテイナー(楽しませる人)が明るくバカ騒ぎをしているし、放射能を気にしながらも日々の食卓にモノを欠くこともない。気づかない人びとが気づいたときにしか時代は動きません。
二〇〇九年八月三〇日の衆院選では、女性高齢者層の動向(オカン・パワー)が左右したといわれます。
結果は「官僚主導から国民主導の政治へ」を訴えた民主党が圧勝し、四八〇議席のうち三〇八議席をえて「政権交代」をなしとげたのでした。が、その勢いの裏で何が際立ったかといえば、時代の変化に反応しない高齢オジン議員に替わって、三〇~四〇歳代の新人議員が数多く呼集されて国会内が若返ったことでした。
「小泉チルドレン」が「小沢ガールズ」に変衣変性したにせよ、選挙戦略としては「若年化」を演出したことに変わりはありません。また大敗した自民党内からも総裁選で「世代交代」が声高に叫ばれて、「政界の若年化」をさらに進めようとする気配も濃厚でした。
本稿は、若い人びとのなかに単純な「世代交代」を求める風潮がこれ以上に強まるのを憂慮しています。なぜなら高齢者層をないがしろにすることで、社会全体のパイを小さくしてしまうからであり、年長者に敬意をもたない社会が長つづきするはずがないからです。そしてそのことに若い人びとが気づきようがないからです。
「先輩のみなさんが先の大戦後に苦労して築いてくれた社会を安定させるために努めますから力を貸してください」
こういうふうに時代を広く読むことができる若手政治家なら、高齢者は求めに応じて支援に向かうでしょう。
時流は「平成維新」(橋下徹氏など)を中心のひとつにして動いていますが、本流(潮流)は高齢者ひとりひとりが保持・温存している知識・技術・経験・資産を駆使して、地域特性を掘り起こし再生する「地域再生・平成掘起」なのです。その活動が「みんな(三世代)が住みやすい生活圏の達成につながるからです。
そして何より人生の「尊厳」(dignity)を大切にして暮らしている高齢者は、これ以上に不安が増し、自分たちの肩身が狭くなるような社会を許すわけにはいかないでしょう。
「次の国政選挙はわれわれが左右します」と明確な意思表示(オジン+オトン・パワー)をして、高齢者の意思が活かせる代表を選び出すこと。頼れるオカン・パワーを合わせて三〇〇〇万人(票)の「衆志成城」のときなのです。
安心して暮らせる長寿社会をつくるために、もっともふさわしい候補に一票を投じること。それが地域基盤をつくり直し、国民主導の政治をさらに一歩進めることになるからです。今度こそ、まったなしの「日本長寿社会」のために「参加」せねばならないのです。 (まったなしの「日本長寿社会」への展開 二〇一二年三月一一日)