丈人論―「強い高齢社会」へのイベントづくり<4>―

◎「エキスポS65+出展社説明会」から(1)
11月開催を2カ月後にひかえて、9月13日(火)午後、東京国際フォーラムB5ホールで「エキスポS65+出展社説明会」が開かれました。昨年7月27日の記者発表から1年余になります。その間、3月11日の大震災に遭遇して開催すら危ぶまれましたが、被災地復旧へむけた全国からの献身的な活動や各業界の努力が効を奏して国内経済への影響を最小限に食い止めることができ、本イベントも当初の9月実施を11月に延期して実現にこぎつけたということになります。憂慮しつつ開催にむけた主催者側の並みならぬ努力はいうまでもなく、出展各社・関係各位の積極支援を受けて成立したことに、本イベントの持つ意味と可能性、日本社会の再生への願いを聞きとることができます。想定外だったM9の大地震は、安泰と思えた大戦後の日本社会を深部まで揺さぶり、これまでとはちがう強度をもつ全国民参加型の新たな社会構造と生き方が模索されているのです。
シニアとシニア、シニアと企業をダイレクトに結びつけ、元気な65歳以上の人びとの素敵なシニアライフを実現し、社会全体に活力を還元することを目的とする「エキスポS65+」は、その要請に応え、成果を内外に示す重要なイベントのひとつとして出現しようとしているといえるでしょう。
主催者側の感触では、メーカーの関心は高いものの出展製品までは間に合わないなかで、来場高齢者(ユーザー)の暮らしの動向に、より近い総合小売業各社がそろってブースをかまえるといった現状認識の差が見られるといいます。大震災後でもあり、初回開催でもある展示会場の総合的な展開という意味では、出展企業側の対応に差がみられる現状はいたしかたないところです。
併催イベントの「MAKUHARIウオーク」(千葉県ウオーキング協会と共催)では幕張メッセ周辺の自治体すべてが後援することになったこと、すでに7万部のパンフレットが配布されて関心が高いこと。また当日あいさつに立った「シニアライフを語り合うフォーラム」プログラム作成委員会の吉田成良委員長(共催のエイジング総合研究センター専務理事)からは、「人類恒久の願望である長寿」を短い期間に30数歳のばした稀有の経験をもつわが国の高齢者は元気でけっこう楽しくやっている、これだけの客がいるのに何で良いものを提供してくれないのかという不満もある、65歳以上の元気な高齢者が必要とするモノやサービスにまとめて接することができる展示会にはおおいに期待しているといった激励の発言がありました。激励を受けながらも、20歳ほど若い出展企業の現役社員にとっては、頭ではわかっていてもというもどかしさが共通してあるようです。50歳代を中心としたホール満席の参加者は、運営事務局からのきめ細かな開催概要の説明に熱心に耳を傾けていましたが、エンドユーザーである高齢者の生活意識やニーズをつかむむずかしさを実感した説明会であったようです。(次回つづきは10月5日)
「S65+」ジャーナル 
堀内正範(カンファレンス・スーパーバイザー)