ちほうはんぽう
女子FIFAワールドカップ(ドイツ)で、「なでしこジャパン」がアメリカを制してついに世界一になった。長年辛苦して得た勝利だけに喜びもひとしお。国民栄誉賞受賞も快い。
男子に比べてパワー、スピード、テクニックなどどれも及ばないが、「美しさ」だけは女子のものである。美しさにはフェアな精神的強さといったものもこめられている。
なぜここで「知法犯法」(法を知りて法を犯す)かというと、フェアプレーが前提とされるスポーツの世界なのに、男子サッカーのトップレベルの試合をみていると、反則の犯しあいが勝敗を左右する場面に出くわすからだ。観客も「イエロー・カード」や「レッド・カード」のプレーを了解しながら観戦しているのだから、紳士的なスポーツといえるのかどうか。女子サッカーにはそれがない。試合の快さはそこにある。
法を知って法を犯すこと。小さなそれが常態となっていく風潮に馴らされていくのが恐ろしい。
『儒林外史「四回」』など
『日本と中国』「四字熟語ものがたり」2011・9・15号
堀内正範 ジャーナリスト