「高年化社会」を支える
モノと場の創出に乗り出す
健丈な高年層の人びと。
「昭和丈人層」の姿が
なお見えにくいが、
しかし優れた生活感性を持っている
この国の高年層の人びとが、
このまま途上国製品(百均商品)に
埋もれてしまうことはないだろう。
すぐれたノウハウと技術を蓄積している
活力のある「日本中小企業」が、
社員・社友をふくめた成員全員の力を結集して、
「やや高くとも、丈夫で長持ち」する
良質な 「高年者向け(超人生)用品」 を製作する。
丈夫で長持ちする手作りの製品は、
50歳代から使うとしての一生ものだから、
およそ30~40年の利用が目安だ。
ものによっては遺産となるような耐久性をもつもの。
引退した社友も現役社員も、みんなで資産としての
製品と会社を愛着をもって支えあい、
社会と会社をともに成熟させていくことで、
高年者が暮らしやすい社会が形成されていく・・。
百季人生
福祉・介護
の方面では
75歳以上を後期高齢者
と呼んでいるが、
ここでは50歳以上を二分して、
高年前期(50~74歳)
高年中期(60~84歳)
高年後期(75~99歳)
とし、それぞれの25年に属する
春夏秋冬の100季を、
暮らしの基準にすえている。
ひとつひとつの季節を ていねいに迎えては送る人生。
さまざまに季節小物を配して、 わが 「百季人生」 の日また一日を、
繊細に個性的に過ごすのは、 いささかささやかともいえる目標であるが、
人生の味わいはおおいに深まるだろう。
密室でぶんぶんクーラーを回して過ごす 無季節無機質な「常温」指向にかわって
「地域の四季」を家庭内にふんだんに取り込むこと。
忘れ去られていた床の間を折り折りの「四季花軸」が飾り、
しゃれたデザインの「四季カレンダー」が季節を伝える。
和洋折衷の住空間に、 豊饒な「わが百季人生」が刻まれる。
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らうんじ・茶王樹・南九十九里から
主人・堀内正範
高齢者のための国連五原則
二〇世紀末の
一九九九年は、
「国際高齢者年」だった。
その年の一〇月一日が 「国際高齢者の日」。
いま高年期を迎えている人びとのうち、
どれほどの人がみずからが参加する機会として
理解していただろうか。
国際活動は「国連中心」でといいながら
ここにも「分担金は多く実践は少なく」の姿がある。
国連は、21世紀に先進国から迎える「高齢化社会」への
熱い願いを込めて、
自立・・・・・(independence)
参加・・・・・(participation)
ケア・・・・・・・・・(care)
自己実現・・(self-fulfilment)
尊厳・・・・・・・・(dignity)
という「高齢者のための国連五原則」を
新世紀を前に採択して、(九一年)
毎年一〇月一日を「国際高齢者の日」と定めたのである。
「高年化」の成果を、この日に国際発信するのも、
高齢化先進国として期待されるわが国の 高年者の役割なのである。
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らうんじ・茶王樹・南九十九里から
主人・堀内正範
「三世代同等同居型」住宅
「実現目標
2020 +
世紀の夢2100」
のひとつ。
そう遠くない2020年を
当面の目標時点としながら、
さらに世紀へむかっての生活空間。
高年世代からみて「隠居型同居」住宅ではなく、
三世代が同等にプライベートな空間を持ち、
三世代が同等に共有空間を利用して暮らせるのが
「三世代同等同居型」 住宅。
時代の変容のなかでそれぞれに身につけた
ライフ・スタイルの異なる三世代が、
青少年期、中年期、高年期をそれぞれに
お互いに工夫して住みなして、
「わが家三代の暮らしの知恵」 を共有し享受し継承していく。
そんなどっしりと安定した住宅が、 「日本標準住宅」として実現される。
家族の態様や経年変化に応じた改造を、 同居するみんなで相談して加えながら
「わが家」の姿を形成していく。
やがては家並みも町並みも次第にどっしりと 安定した姿になっていくだろう。
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らうんじ・茶王樹・南九十九里から
主人・堀内正範
「マイ・ちえあ」
まずは
みんなが
その気になるだけで
実現可能なものから。
それでいて世紀を貫く夢のひとつ。
この国の高年者みんなが、
高年期のためにそれぞれに、
座り心地がよい特選のイスをわが家に据える。
自作できればなお素晴らしい。
家庭内の「わたしのモノと場」の拠点として、
存在感のある 「マイ・ちえあ」 である。
どうだろう、家の内と外、国中どこにでも
座り心地のよいイスが据えられていたら、
立ち疲れることもないし、
優先されない優先席などいらない。
各地にチェア工房が形成され、毎年の「ちえあ・コンペ」には、
各国からも腕よりの職人がやってきて技を競いあう。
高齢化先進国の姿として、
この国はそのまま 「ちえあ博物館」となる。
先々代、先代が使い込んだ「マイ・ちえあ」に腰を据えて、
愉快な座談が楽しめれば、 21世紀末の高年者たちは
「昭和丈人」の夢に 何よりも感謝するだろう。
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らうんじ・茶王樹・南九十九里から
主人・堀内正範
古希の祝いに[古希杖]を贈る
七〇歳が
稀でなくなった稀な時代。
七〇歳を「古希」と呼んできたのは、
唐代に詩人杜甫が詠んだ、
「人生七十古来稀なり」という詩句からとされている。
四七歳の時にこう詠った杜甫だったが、
本人は「古希」にはほど遠い五九歳で、
旅先で、貧窮のうちに、
長安へ帰る日を思いながら死を迎えている。
奇しくも同じ七七〇年に異郷の長安で、
「三笠の山に出でし月」を思いながら
阿倍仲麻呂が生涯を終えた。
仲麻呂は七〇歳を迎えていたから、
稀な長寿をまっとうしたことになる。
七〇歳のことを「杖国」というのは、
国事に当たる大夫が七〇歳になって、
国中どこででも使える杖を賜ったことからいわれる。
さて、唐の長安で七〇歳を迎えた仲麻呂は、
どんな杖を賜ったのだろう。
だれもが杖を贈られて「七十古希」を祝うえる現代こそが
「古来稀なり」なのであり、それ故に「丈人」ということばが、
装い新たに登場することになる。
「丈人」であるために持つのが杖。
いつまでもお元気でという思いをこめて、
お祝いに 「古希杖」 を贈るのもいい。
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らうんじ・茶王樹・南九十九里から
主人・堀内正範
老人力と丈人力
人生の晩期を、
巧みにクールダウンしてゆく
自己認識の能力を「老人力」という。
先の大戦後,働きづめにきた高年者を
癒してくれることばとして、
世紀末の列島不況時に納得された。
それに対して 「丈人力」 というのは、
人生の高年期の日また一日を、
目標を定め到達をめざして暮らしている
高年者の内側から、どこまでも発展・熟達・深化させる力、
ふつふつと涌いて出る強い生活力あるいは生命力をいう。
ここでは人生の「青少年期」「中年期」をすごしてきて、
個人的には「人生の第三期」である「高年期」を迎えて、
後半生を充足させる自己目標をめざして暮らす人びとであり、
社会的には存在感のある「高年化社会」を現役として担う人びと。
五〇歳~の健丈な高年者を「丈人」と呼んでいる。
個人の内面的なプロセスとして、
「老人モード」(もう歳だなあといった)か
「丈人モード」(まだやれるなといった)かが、
交互にか混在して実感されるときに、
「丈人」に意識的であることによって、
外面的には「丈人タイプ」の行動として
表現されることになるだろう。
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らうんじ・茶王樹・南九十九里から
主人・堀内正範
[丈人]について
「丈人」
ということばを
ご存知でしたか。
「尊老」という意味合いの
レッキとした古語なのです。
同じ高年齢者をいう「老人」とは
異なるニュアンスをもっています。
個人の胸の中では「丈人」と「老人」は
同時に同居しています。
高年齢者であることを認めつつ、
「老人」と呼びたくない、呼ばれたくない場面で
「丈人」と呼んでみてください。
「大丈夫!」といってみてください。
知って胸の中に暖めておいたことばが、
時に心をなごませ、時には生きる意欲だって
沸き立たせてくれます。
街なかを歩いているときに、
「いよう丈人!」 と大向こうから声がかかるような
高年者でありたいと願っています。
みんなが「高年者=丈人」として
尊厳をもって暮らすことで、
「丈人の時代」が見えてくるのが楽しみです。
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らうんじ・茶王樹・南九十九里から
主人・堀内正範
丈人峯と茶王樹
1
999
年10月の
「国際高齢者の日」から
たいせつに手入れをしてきた
・茶王樹・ の根元に籐椅子を据えて、
やや唐突に話をはじめます。
中国の五岳のひとつである
東岳・泰山の頂上の西北の角に
「丈人峯」と名づけられた
巨石がすっくと立っています。
●「岳父(丈人)」● です。
妻の父、あるいは娘のつれあいからみた自分。
頼りがいのある年長者を「岳父」と呼びますが、
そのいわれになっているのがこの「丈人峯」です。
わたしは2004年の秋の誕生日に、
泰山の「岳父」に挨拶をしてきましたので、
「岳父の会」(泰山丈人の会)のメンバーでありますが、
雲南にある「茶王樹」をたずねたことがありません。
ツアーもあるようですが、ほんとうの「茶王樹」かどうか。
ほんものはもっと奥地に人に知られずにあるように思います。
それはさておき、天をも摩するわが・茶王樹・の下で、
ひと時を、達意の高年者=丈人同士が味わい深く
高年期の人生を語り合おうというのが、
本欄の趣旨ですから、なんなりと語ってください。
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らうんじ・茶王樹・南九十九里から
主人・堀内正範