四字熟語 「百齢眉寿」

百齢眉寿
ひゃくれいびじゅ

「百齢」は百歳のこと。今年は大正百年だから、元年(一九一二)生まれの人が数え年で百歳になる。わが国では百歳以上の人が二万人を超えてなお増えつづけており、いかに史上稀な長寿国であるかが知られる。

唐代に杜甫が詩「曲江」で「人生七十古来希なり」と詠ったことから「古希」がいわれ、七〇歳が長寿の証として納得されてきた。とすれば百歳ははるか遠い願望だったろう。「眉寿」は長寿のこと。老齢になると白い長毛の眉(眉雪)が生えて特徴となる。初唐の書家虞世南は「願うこと百齢眉寿」と記して百歳を願ったが、八〇歳を天寿として去った。「七十古希」の杜甫は五九歳だったから願望は遠くに置いたほうがいい。

白髪が増えると老いの訪れとして苦い思いで納得するが、眉に白いものが見えた時は長寿への証として喜ぶほうがいい。協会にも眉雪の顧問がおられるが、いまや稀でない「古希」を迎えたら、次には「眉寿」をめざして日また一日を過ごしたらどうだろう。

唐・虞世南「琵琶賦」より