温故知新
おんこちしん
北京天安門広場の東側に位置する中国国家博物館は三月に新装オープンするが、長安街に面した広場に「孔子立像」が建てられた。九・五メートルのブロンズの偉丈夫像である。「批林批孔」の時節をさまよいつづけた「国学大師」(題字)は、歴史と文化の殿堂の前に「温故知新」の象徴として立つことになる。
「故きを温ね、新しきを知る」と読んでよく用いられるこの成語は、『論語』に記されている。一方で先人の知恵・古例に学び、一方で現実の動勢をしっかり把握する。双方をきわめることによってはじめて時代を理解することができ、人の師ともなれる(以って師と為るべし)と孔子は説く。
書斎にこもって文献を漁り現実を知らない「温故型」、あるいは現実にのみ執着して先人の故事来歴から学ばない「知新型」。いずれも真実の姿をつかむことができず、人を教育し、リーダーとなる資格はない。
「孔子立像」は新中国がたどり着いたアイデンティティの本地を示している。
『論語「為政」』から