てんかいこう
世界各地で「辛亥革命一〇〇年」を記念する行事が行われている。立場によって評価は多様だが、中国史に二〇〇〇年余も続いた封建制(一家族が代々権力を引き継ぐ)を打破した民主革命であったことに異議はない。あとは優れた将相名賢をどう選び出して「天下を公と為す」かにある。
「大道の行われるや、天下を公と為し、賢を選び能を与し・・故に外戸をして閉じず、是を大同と謂う」
外戸を閉じないですむ大同の社会は、政治を志す者の目標とされる。門戸を閉ざすことのない世の中なら長くはなかったが経験してきたような気がする。
この「天下為公」を孫文はよく揮毫した。有名なのは南京・中山陵正門の雄渾な筆遣いのもの。この原筆は台湾の故宮博物院に所蔵されていて、その博物院正面にも掲げられている。
日本では神戸・孫文記念館にある直筆の碑が有名。麻生太郎元首相は「為公会」を結成して公のための政治を唱えたが、政権は短命に終わってしまった。
『礼記「礼運」』から
『日本と中国』「四字熟語ものがたり」2011・10・15号
堀内正範 ジャーナリスト