◎「エキスポS65+出展社説明会」から(2)
東京国際フォーラムB5ホールで開かれた「エキスポS65+出展社説明会」で、運営事務局からはイベントの中心である展示会の開催概要について、仔細な説明がおこなわれました。そのなかで注目されたのは、シニアマーケットの現状についての報告です。
営業を通じて接した数百社の企業から得た感触として、メーカーに比べて消費者に近い小売企業のほうが、高齢化対応の緊急性を切実に理解しているということでした。消費者と距離のあるメーカーにはまだ「対岸の火事」とみてシニアシフトに遅れをとっているところもあり、そのことが展示会にも反映している旨の実情が伝えられました。
新たな展開としては、消費者から肌で感じたニーズを小売企業がメーカーに伝えて商品化をすすめるといった動向がみられ、そのことからも今回一足先に出展して多くの来場者と接することがエンドユーザーの要望をキャッチするチャンスになるという出展のメリットを合わせた指摘がなされていました。
高齢者の購買力に関しては、シニアは自分が使うものばかりでなく、子どもや孫世代に関するもの、たとえば家のローン、教育費、ランドセル、自転車、学習机、ケイタイ、パソコン、振袖、はてはクルマの購入や家族旅行まで支援することになるという将来予測の紹介もありました。広報については多種多様な媒体を組み合わせたきめ細かな手法の説明もなされていました。
設営事務局からは、出展企業に対しての施設概要、交通機関の案内、搬入搬出や出展コマでの営業のしかたなどについての説明があり、そのあと休憩をはさんで、団塊の世代である岡田晃氏(経済評論家・日経新聞OB)による「超高齢社会の企業戦略―シニア市場の可能性とマーケテイング」と題した講演がおこなわれました。
9月の東京フォーラムにいながらわたしは、3つのイベントの概要を一足先に知り得た立場で、11月のメッセ会場のざわめきを想像しておりました。青少年期・中年期をかけてともにこの国を築いてきて、なお元気で高齢期を迎えている65歳以上の人びとが集って、同時代人としての親わしさと懐かしさに溢れた談論の輪をあちこちに展開しており、わたしもひと時そのなかに紛れて、ともに幸せを感じているようでした。
「出展社説明会」に参加していた“若い企業人”のみなさんは、その渦のなかで、たくさんの高齢者から激励と期待のことばを浴びながら、その時はじめて「S65+」のめざすものが何であるかを知ることになります。これは初回に参加したものに許される出会いの喜びです。
それが幕張メッセで初めてのことであり、全国で初めてのことであり、世界の高齢者にむかって先進長寿国であるわが国が発信することができる「日本高齢社会」形成へのメッセ・メッセージなのです。(次回は10月15日)
「S65+」ジャーナル
堀内正範(カンファレンス・スーパーバイザー)