四字熟語-日復一日

にちふくいちにち 

「日復た一日」というのはなにげないことばだが見過ごしてはいけない。ひとかどの事業をなしとげてその継続をはかるには「日復た一日」怠ることのない姿勢が必要だからである。
後漢を興した光武帝劉秀は、皇帝になっても「日復た一日」の勤めを怠ることがなかった。深淵に臨むが如く(如臨深淵)、薄氷を履むが如く(如履薄氷)、日々を過ごした。皇太子の荘が勤労の過ぎるのをみて「優游自寧」を求めたときにも、「これを楽しんでいるのだから疲れはしないのだよ」といって聞かなかった。

西暦五七年正月に倭の奴国王の遣いの奉献を受け、金印を贈ってねぎらったのが最後の勤めとなった。二月初めに六二歳で崩じたからである。幸運にも最後に劉秀に会った外国客だったことで古代日本の事跡が歴史に残ったのである。
皇帝になっても日々務めて生涯を終えた人物は多くない。そんな遠い日のことではなく、わが先輩にもそれに似た人生を送って去っていった人の姿がある。  

『後漢書「光武帝紀」』から

『日本と中国』「四字熟語ものがたり」2011・9・5号
堀内正範 ジャーナリスト