左右逢源 さゆうほうげん
考察を深く左に右におこなえば淵源にあるものを自得できるという。わかりやすくいえば、左岸を行っても右岸を行っても最後は同じ水源へたどり着けるというのが「左右逢源」である。めざす水源(目標)がひとつであれば、途中での手法の違いなどから生じる左右対立があっても、信頼の筋を失わずに経過するうちに、ともに最終目標に到達することが可能となる。
「左右逢源」という四字熟語に、「東日本大震災」の復興という目標にむかう政界諸党派の姿が重なる。立場はちがっても、最良の方途をともに模索しながら一丸となって対処する争いなら国民は安心していられる。
ところが「逢源」の大義がみえず、「同室操戈(同室で武具をあやつる)」とでもいった抗争の姿をみるのはつらい。「一定のめど」でやめると誓約した首相は、なんと「四国お遍路」にといった。身軽になったら東北の被災地に向かうというのが、「左右逢源」を貫く指導者の発言というものだ。
『孟子「離婁章句下」』から
『日本と中国』 「四字熟語ものがたり」2011・6・25号
堀内正範 ジャーナリスト