丈人論-「強い社会保障」とともに「強い高齢社会」を<2>-

◎「賀寿期」を生きる
 「強い社会保障」は現政府の主要政策ですから、大震災の影響があってもそう大きく後退することはないでしょう。それに応じて「強い高齢社会」を体現していく高齢健丈者としては、「日本高齢社会」はみずからの手で達成するという自覚を共有したうえで、存在感を明らかにしていく必要があります。
 なぜといって、アジア地域で最初の先進的な「高齢社会モデル」(モノ・場・しくみ)の創出が期待されており、自まえの経済・文化・伝統のもとで独自の手法を案出しながら形成にむかうからです。欧米の経験からえた外国モデルをもちこむような後進国的手法をとらないでいくことにしたい。
 そこで、「日本高齢社会」の体現者であることを意識するために、高齢者個人の長寿を祝う「賀寿」の慣習を、「賀寿期(5歳層)」の人生としてしつらえ直す提案をここに記しておきたいと思います。
2011年の「賀寿期(5歳層)」 
百寿期(100歳以上)  明治44年より以前   (100歳を超える)
白寿期(95歳~99歳) 大正5年~大正元年  (99歳=白寿を含む)
卆寿期(90歳~94歳) 大正10年~大正6年 (90歳=卆寿を含む)
米寿期(85歳~89歳) 昭和元年~大正11年 (88歳=米寿を含む)
傘寿期(80歳~84歳) 昭和6年~昭和2年  (80歳=傘寿を含む)
喜寿期(75歳~79歳) 昭和11年~昭和7年 (77歳=喜寿を含む)
古希期(70歳~74歳) 昭和16年~昭和12年(70歳=古希を含む)
還暦期(60歳~69歳) 昭和26年~昭和17年(60歳=還暦を含む)
・平成23年は大正100年、昭和86年に当たります。 
・戦後生まれ(昭和21年~25年。平和団塊)の人びとが還暦期に加わりました。
「賀寿」というのは、高齢期を過ごす人にとっては長寿へのステップ(一里塚)です。かつて幼いころに小学校に入り、中学校、高等学校と過ごして、大学で「社会人」としての準備を終えるという成長期の階層を刻んだように、「賀寿期」を5年ごとの階層として、日本伝来の慣習を熟年期を過ごす人生に活かそうという呼びかけなのです。
「老成一途」(余生)に漫然とすごす「老人」ではなく、日また一日を先方を見据えて「高齢社会」を築いている人びと(本稿では漢字表現として納得できる古語を援用して「丈人」と呼んでいます)。偉丈夫あるいは大丈夫といった高齢健丈者の姿は、TV画面や街なかや農村や漁港の海辺などでもよく見かけます。地方自治体の市町村長にも「老人」というより「丈人」と呼ぶにふさわしい頼り甲斐のある人が多く、被災地の町長さんや村長さんにも好例の方を見受けます。 2011・5・25