四字熟語 「年年歳歳」

年年歳歳
ねんねんさいさい

「大震災」の陰になって、例年のような花だよりが聞かれないまま桜の開花を迎えた。「年年歳歳花相似たり、歳歳年年人同じからず」という唐の劉奇夷の詩は、日本では桜花の華やぎの下での人事異動や入学式のあいさつで、年々歳々繰り返されてよく耳にする。

詩の花は桜ではなく、唐の東都洛陽の城東に咲き誇った桃李であった。花は毎年変わることなく咲くけれど、花の下に集う人びとは毎年変わっていく。むかし「紅顔の美少年」も、いまは白頭の翁に変わってしまった。過ぎし日に思いを馳せて、「人同じからず」とわが身を省みるのである。

ちなみに「花も同じからず」で、いま洛陽市の城北に咲き誇るのは牡丹である。四月下旬には「牡丹花会」が催され、全国からの訪客でにぎわう。

四季の移ろいを知る人は、新たな季の訪れに人生を省みる。春節もそうだが、花の季もそうである。ことしの桜前線のもとで、東北地方の人びとは心にどんな記憶を刻むのだろう。

劉奇夷「代悲白頭翁」より