友好都市・産業の絆-東北・盆地・樹氷・物産が絆 

東北・盆地・樹氷・物産が絆 

山形市―吉林市(吉林省) 

 吉林市内には松花江が流れ、冬の河畔の樹挂(樹氷)で知られる。冬も凍らない松花江の水蒸気が河畔の松や柳に接して「夜は霧氷、朝は樹氷、正午は落花」と変化するのは壮観である。毎年一一月下旬から三月まで見られる。

山形市には蔵王の樹氷があり、蔵王の樹氷は、幻想的な冬の風物詩として有名である。
「樹氷」も絆のひとつとなっている。 

山形市は、国際的な蔵王スキー場をもつことから、「銀嶺の王者」トニー・ザイラーやスキー関係者との交流が縁でオーストリアのキッツビューエル市と姉妹都市(一九六三年)になり、その後オーストラリアのスワンヒル市、中国の吉林市、ロシアのウラン・ウデ市、アメリカのボルダー市と姉妹都市になるなど、「心と心を結ぶ架け橋」を合言葉に世界各地の都市と友好の輪を広げてきた。

中国の東北地区にある中心都市、吉林市との交流は一九七九年の「山形市日中友好『市民のつばさ』訪中団」が吉林市を訪れたのがはじまり。その後も山形県や山形市の訪中団が吉林市を訪問し、同じ東北にあること、周辺を山に囲まれた盆地同士であること、さらには前述したように樹氷の景観や物産の類似性などが親近感を深め、友好交流の発展をすすめる絆となった。

山形市が吉林市に友好都市提携の希望を伝えたのは、県日中友好協会の役員訪中団が吉林市を訪れた際に、金沢市長が李守善市長へ親書を手渡した八一年五月のことだった。
そして友好都市締結の調印式は、八三年四月二一日、吉林市の王雲坤市長ら代表団を迎えて市民会館でおこなわれ、終始、温かい拍手の中で議定書調印へと進んだ。山形市からは名産の鋳物工芸品である「友好の鐘」が贈られ、吉林市からは隕石や鹿の角が記念品として寄贈された。

吉林市は、観光都市であるとともに東北地区有数の化学工業都市でもある。「東北三宝」と呼ばれる薬用人参、鹿の角、ミンクの毛皮が特産である。人口は約四二五万人。

山形市は、最上藩の城下町として栄えてきた。「霞ケ城」の築城は一三五七(延文二)年で、二〇〇七年は山形城創建六五〇年に当たった。江戸時代には城下には商人、職人が多く住みつき、さかんに市が開かれた。「市日町」が八つそろっている。とくに紅花商人のまちでもあった。
現在の名産物はサクランボ、茶釜などの鋳物。春の植木市や夏を彩る「花笠おどり」、芋煮会、冬は蔵王のスキー客でにぎわう。人口は約二五万人。

両市の主な交流活動は、市友好代表団の相互派遣、農業・工業技術などの研修生の受け入れ、山形市立商業高校と吉林第二高級中学校(高校)および山形大学教育学部と吉林師範学院の友好校締結。名産品展示会の開催、留学生交流やサッカー親善交流、歌舞団の来日公演、吉林市を訪問しての芋煮会や花笠踊り実演など。二〇〇〇年には「山形・吉林友好会館」を開設した。山形市日中友好協会がおこなってきた中国語講座は、八六年に開始いらい市民の中国への関心を広げてきた。研修生や留学生、東北地区からの帰国者の暮らしなども支援している。

二〇〇三年に市が開設した「友好姉妹都市交流センター」は、情報提供、外国語放送番組の放映、パソコン・ネット可能な交流ラウンジ、民間団体活動室などを設けて、こまかなサービスを提供している。

夏の名物行事「花笠まつり」で踊る外国人衆の数も年々増えて、人気グループになっている。(二〇〇八年九月・堀内正範)