四字熟語 「伯楽相馬」

伯楽相馬 はくらくそうま 

オルフェーヴルが圧倒的な強さで日本ダービーを制した。競馬をみてもわかるように、馬の個性はさまざま。伯楽(孫陽。春秋時代の秦の人)は馬の良否を見分ける名人だった。「相馬」してすぐれた千里馬を見出した。「相」はくわしく観察すること。「相馬」は馬の特徴を見分けること。

「世に伯楽あり、然る後に千里馬あり。千里馬は常にあれども伯楽は常にはあらず」は有名な唐代の韓愈のことばだが、伯楽のような具眼の士によって次代の人材が発掘される。

南相馬市の千年行事である「相馬野馬追」の馬も被災した。津波にさらわれたり、放れ駒になった馬もあったという。会場は屋内退避区域(福島原発から二〇~三〇キロ域)にあり、被災者供養のためにもという声もあるが、例年の七月開催が危ぶまれる。失われた家畜やペットも多い。

「伯楽一顧」というのは、伯楽が近く寄って去りながら顧みた馬は、次の日に値が三倍に跳ね上がったということからいわれる。

韓愈「為人求薦書」から。

『日本と中国』「四字熟語ものがたり」 2011・6・15 号
堀内正範 ジャーナリスト