姫路市立好古学園大学校

もうひとつ、兵庫県の
市立高齢者大学校には、
「姫路市立好古学園大学校」がある、
昭和45(1970)年の設立。
60歳以上の人で市外の人にも門戸を開いている。
キャッチフレーズは
「生きがいの創造 生涯学習の機会と場の提供
地域社会活動への参加」
で、学園の経緯を感じさせる。
4年制、2年制、大学院がある。
学科は「園芸科」「陶芸科」「書道科」「史学科」
「美術科(洋画・木彫)」「手芸科」「音楽科」(4年制)
で定員は600人。年額6000円。

明石市あかねが丘学園

兵庫県には市レベルでは、
「明石市あかねが丘学園」(高齢者大学校)と
「姫路市立好古学園大学校」がある。
「明石市あかねが丘学園」は、
昭和56(1981)年の設立。
市内に住む60歳以上が資格。
専攻コースは「景観園芸」「生活ふくし」
「ふるさとコミュニティ」「音楽交流」「健康スポーツ交流」で
定員はコースごとで30~40人。
3年制で授業は週1回、年間35日程度。
別にクラブ活動の日がある。年額1万5000円。
2000人を超える卒業生がおり、
OBボランティアは、社会福祉協議会や学校、福祉施設
などからの要望に応じて、ふれあい活動、イベント手伝い、
伝承活動、クリーン活動などをするほか、
常設のグループが、定期的に市内の高齢者施設、
障害者施設、病院、総合福祉センターなどで
活動している。
「姫路市立好古学園大学校」は、次回に紹介する。

高齢者大学「いなみ野学園」

兵庫県の 「いなみ野学園」の
「高齢者大学講座」(4年制)は、
生涯学習を通じて仲間づくりをするとともに、
新しい生き方を創造し、
地域社会の発展に寄与できるよう
総合的、体系的な学習機会を提供する。
資格は60歳以上。入学金6000円、年額2万4000円。
登校日は週1日、年間30回で120時間。
学科は「園芸」「健康福祉」「文化」「陶芸」の4学科。
学科別学習と教養講座を履修する。
「大学院」(2年制)は専門性の高い実践的な学習を通じて、
地域社会の課題の解決を支えるリーダーとしての人材を養成する。
県立高齢者大学を修了または卒業した者が資格。
週1日、年間30回程度。
「地域づくり研究科」、「生きがい創造研究科」を設置している。
学園の昼の食堂周辺は人生論に花が咲く。
週1回(水曜)はクラブ活動の日。

高齢者大学の現状

兵庫県が全国に先駆けて
昭和44(1969)年に開設した
高齢者大学が 「いなみ野学園」。
2年制の「地域活動指導者養成講座」と
4年制の「高齢者大学講座」、
それに2年制の「大学院」があり、
2300余人の高齢大学生が学んでいる。
「地域活動指導者養成講座」(2年制)は、
健康・福祉、地域教育活動などの
指導者を養成するため。
県内の市長・町長と
団体(自治会、老人クラブ、婦人会など)の長
から推薦された人びとが学習している。
年齢はおおむね56歳以上。
登校日は週1日、年間33回で
約132時間の講義と演習。
「健康福祉」系、「地域環境」系の2系群の
専門科目と教養科目を学習する。
「高齢者大学講座」と「大学院」は
次回に紹介しよう。

「シニアタウン」

一般の都市が
若年・中年者を中心に
形成されているのに対して、
高年者の要望を機能の中心に据えて
新たに形成される町が
シニアタウンである。
テニスコート、ゴルフ場、
公園、集会場といった
文化・スポーツ・健康施設や病院など
高齢者向け施設の充実がはかられる。
コミュニティのメンバーが
同世代という安心感がある。
アメリカでは「退職者の村」として知られる。
「日本初のシニアタウン」というのは、
1996年に福岡県朝倉市(旧甘木)にできた
「美奈宜(みなぎ)の杜」。
健康と生きがいのまちづくりがテーマ。
福岡市からも近く、
温泉のある田舎暮らしができることが魅力で、
平均年齢が63歳という高年者の町が成立している。

「高年化時代のライフ・ステージ2」

高年期人生を送っている
高年者にとって納得がいく
「ライフ・ステージ」というのは、
前項に提案したように
「三つのステージによる五階層」 である。
「三つのステージ」というのは、
「青少年期」「中年期」「高年期」であり、
「五階層」というのは、そのうちの「高年期」を
「高年前期」「高年後期」「超高年期」の
三つに分けたものである。
「青少年期」自己形成期 ~24歳 3129万人
「中年期」社会参加期 25~49歳 4284万人
「高年前期」社会参加と自己実現期50~74歳 4157万人
「高年後期」自己実現期 75~84歳 995万人
「超高年期」余生期 85歳~ 305万人
(人口は「国勢調査」2005・10から)
この表を眺めてたちどころに、
高年層に厚く分類していることに気づいてほしい。
「高年期」をすごす立場からは
これで窮屈さがなくなるはずである。
いささか恣意的ではないかと反論するより
まずは素直にご自分の「ライフ・ステージ」と
重ねあわせて納得していただきたい。

高年化時代のライフ・ステージ

ふつうには
「ライフ・ステージ」というと、
「幼年期」「少年期」「青年期」
「壮年期」「老年期」
という五階層にわけて説明されている。
この五階層は、だれもが体験として
納得できる分け方として認められている。
しかし、史上にまれな状況とされる
「少子・高齢化時代」にあって、
社会の実情をつぶさに観察してみると、
上の「ライフ・ステージ」の分け方では
実情をうまく把握できない。
なぜといって、三つまでが「青少年期」で、
若年層に厚く片寄って分類されているからである。
そこで「日本高年化社会」を体現している
高年者の実情をよく観察した上で、
本稿が独自に採用することにした
「高年化時代のライフ・ステージ」を提示しよう。
次のような 「三つのステージによる五階層」 である。
「三つのステージ」というのは、
「青少年期」「中年期」「高年期」であり、
「五階層」というのは、そのうちの「高年期」を
「高年前期」「高年後期」「超高年期」の
三つに分けたものである。

[市立高年大学校]の時代

「平成の大合併」ののち
新自治体は地域発展のため
人材を育成せねばならない。
地域性を加味した講座をもつ
独自のカリキュラムを競いあうのが
公立の高等教育機関
「市立高年大学校」 であろう。
そのすみやかな設立なくして
地域の「高年化社会」は成立しない。
就学するのは50歳をすぎた
活動的な高年者層の人びとである。
老い先長い人生を「自分らしく」すごす
知識や技術を習得する。
必修となる科目は、
「地域の歴史と伝統」「地域の地勢と産物」
「予防医学」「法律知識・遺産と遺言状」
選択科目やクラブ活動には、
「陶芸」「盆栽」「仏像彫刻」「書道」
「囲碁・将棋」「俳句・川柳」
「短歌」「謡曲」「民謡」「ダンス」・・・
活動的な高年者が学びあう「市立高年大学校」は、
ひとりひとりに豊かな人生を、
そして地域には新しい暮らしの場と活力を創出し
新たな地場産業を起こす原動力となるだろう。

「平成の大合併」のシンボル

市町村合併のたびに
新自治体は地域の一体感をつくり
将来を担う人材を育成するために
学校を設けたのだった。
「明治の大合併」のときには、
わが村の尋常小学校が
合併のシンボルとなり、
子どもたちに新時代への夢を与えた。
その夢はいつしかお国のためとなり、
半世紀の後には覇権戦争へと
子どもたちを駆り立てていったのだったが。
「昭和の大合併」のときには、
わが町の新制中学校が
合併のシンボルとされた。
町立中学校を卒業すると、
子どもたちは地元に残るより都会へ出て
高度成長の担い手となったのだった。
さて 「平成の大合併」 で、新しい自治体は
何を教育のシンボルにしようとしているのか。
合併ごとのステップからいうと、
公立の高等教育機関である
「市立高年大学校」 のように推測される。
50歳をすぎて知識も経験も豊かな高年者が、
地域の発展のために就学する。

市町村合併と高年者参画

「平成の大合併」といわれた
全国規模の市町村合併は、
3200ほどあった自治体を
1800ほどにまとめて一段落した。
合併をすすめた総務省や県は、
その主な理由として、
「分権化の進展」「生活圏の広域化」とともに
「少子・高齢化」 の到来をあげている。
高齢者人口が30%を超えて、
医療費・福祉対策費が増える一方で
生産年齢人口が減少して税収が減り、
財政がきびしくなっていき、
小さな自治体では現在と同じ行政サービスが
保てなくなるというのである。
ではどうしたらいいのかという段になると、
具体的なものが示されていない。
シルバー人材センターの充実や生涯学習の振興、
退職者ボランティア活動などが進むであろうが、
新たな社会構造の創出というわけにはいかない。
「高齢化社会」の到来とともに、
「介護者」や「ひとり暮らしの老人]が増えることによる、
医療費・福祉対策費増を危惧するだけでなしに
知識も技術もある健丈な「高年者の参画」を掲げて
新たなしくみや施設や物産をつくり出していくことが
「特性ある地域の創出と発展」に必要になる。