新情報-NHK日曜討論・経済活性化の底力に「元気な高齢者」が登場

 NHK日曜討論 経済活性化の底力に「元気な高齢者」が登場
6月10日のNHK日曜討論スペシャル「消費増税と一体改革」の議論のなかで、肝心の経済活性化をすすめる底力として「元気な高齢者」がはじめて登場しました。「たちあがれ日本」の藤井孝男議員が経済成長をどう実現していくかで取り上げたもの。
藤井議員は、司会者から経済活性化への具体的提案を問われて、まずは財政出動によって老朽化したインフラ整備をおこなうこと、そして世界に例をみない高齢化社会なのだから、高齢者のみなさんが自立した環境をつくること、元気な高齢者が働くこと自立することによって、税収にもつながるし雇用の機会を増やすことにもなるという可能性を指摘したのです。
NHKの司会者もふくめて、各党の出演者が「社会保障」問題の根っこにまで想像力が及ばないなかで、高齢議員が政治生命をかけて国民に立ち上がりを求めている「たちあがれ日本」の藤井議員だからこそ、一歩先んじて高齢者の実態と実感に気づいているということでしょう。3000万人に達した高齢者(65歳以上)にとってこれからの展開に期待できる発言でした。いずれは潮流となってこの国を変えていくはずです。
他党の出演者があいかわらず高齢者は年金・介護・医療の対象としてしか見ていないなかで、「元気な高齢者」の存在に触れたことは画期的な発言なのです。それは「たちあがれ日本」には具体的で総合的な「高齢社会」設計ができあがりつつあることを推測させるものでした。
しかし司会者には藤井発言の意味合いが伝わらず、議論はその先には進みませんでした。藤井議員はまた高齢者・現役・将来世代という三世代の存在と負担配分のバランスの必要にも触れていたし、「社会保障・税一体改革」の必要は認めながらも、社会保障については1年ほどかけて議論して結論を出すべきであると提案していました。
増税と歳出カットは当然のこと、同時に経済成長をどうするかが熱く議論されなくてはならない時なのに、他党の議員からは具体的政策についてめぼしい提案はなく、民主党の前原議員は開国とくにアジアとの関係やイノベーション(環境と農業)に努力するという抽象的であいまいな答えしか用意できていなかったのが対照的でした。
本稿でも繰り返しますが、いま地域の再生、経済成長への潜在力は、若年層にではなく元気な高齢者層にあります。みんなが安心して暮らせる「日本長寿社会≧高齢社会」の形成とともに進める「内需」の展開にあります。「社会保障」を置き去りにして「消費増税」だけを先行させる議論は、将来の暮らしに不安を増すだけの「失政」であることを、全国の高齢者のみなさんは「衆心成城」の声として地元選出の「国会議員」に伝えてほしいと願っています。本誌は「警世の衆口一詞」の拠点として、政治家・官僚・学者・報道関係の方々に、本稿ほかを警醒の一石として投ずることといたします。
(堀内正範 2012・6・10)