四字熟語「好好先生」

好好先生 ハオハオせんせい

中国の友人たちの快い「好(ハオ)」という応諾の声が耳に残る。しごとがスムーズに進むことになる。 

劉備に諸葛亮を薦めた司馬徽(号は水鏡)は人の短所を談ずるのをよしとせず、善にも悪にも、美にも醜にも「好好」(ハオハオ)といって応じたという。
わが子の死を悲しんで伝える人に対してまで「大好(ダーハオ)」と応じた時には妻がたしなめた。徽はすかさず、あなたの言うことは「大好だ」と妻を誉めてかわしたという。司馬徽が「好好(ハオハオ)先生」として納得されたのは、「好(ハオ)」が逆の「不好(プーハオ)」まで伝えるニュアンスを兼ね備えていたからだろう。
わが国では田中角栄首相だろうか。田中さんの「よっしゃ、よっしゃ」には、清濁あわせて時代を動かす宰相の迫力と魅力があった。

襄樊市の玉渓山中に、司馬徽を記念する「漢水鏡棲隠處」があって、劉備・諸葛亮の出会い「三顧草廬」にちなむ古隆中とともに観光名所となっている。 

『世説新語「言語」』から

『日本と中国』「四字熟語ものがたり」 2011・7・15号
堀内正範 ジャーナリスト