『月刊丈風 高年時代』(日本丈風の会) 2023年3月 記事 日々更新

きょうの丈風memo

2023年(癸卯) 令和(後平成)5年3月20日
睦月如月●弥生卯月皐月水無月文月葉月長月神無月霜月師走
立春2・4 雨水啓蟄3・6●春分3・21清明穀雨
月齢27:7 日の出5:46 日の入り17:52 東京
年初から79日ー286日年末まで
丈風  日復一日 アクセス数 178212

 =WEBの力を信じて=

史上初で国際先行事例となる
「非軍事・平和」の国づくり まちづくり 人づくり
 
「平和の100年・100年の人生」 
「三世代現役平等社会」 を達成し
高年期に必要な知識・技術・生涯の友人を得るための
「公立生涯大学校」を設けて「地域共生社会」 を
創出する

[ 朝 の丈風 ]
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3月20日 カレンダー calendar・・・・・
  上野動物園開園記念日(1882) 電卓の日(1974) LPレコードの日(1951)上野公園内帝国図書館竣工(1906) 上野公園東京大正博覧会開幕(1914) 大学で軍事教練が必須科目に(1939) 日本生活協同組合連合会設立(1951) 能代大火(1956) 地下鉄サリン事件(1995) 第1回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)日本優勝(2006) 去世 細川ちか子(70・1976) 五島昇(72・1989) いかりや長介(72・2004) 草森紳一(70・2008) 井口洋夫(87・2014) 多田美波(89・2014) 今江祥智(83・2015) Wikipediaほかから 

特集ニュース news・・・・・ 
コロナ感染状況(3月19日16:00 NHK)
19日の感染者は東京都549人。全国5938人。死者は計7万3511人(+34人)。ワクチン接種(人口割合) 第一回 81.3% 第二回 80.3% 第三回 68.4%。第7波下げ止まりのまま感染者が増加し第8波へ。死者7万人台に。マスク着用は3月13日から個人の判断に。5月8日から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行

ロシア軍のウクライナ侵攻と北方領土 
2022年
2月24日、国際平和を保持する立場(国連安保理常任理事国・大戦戦勝国)のロシア(プーチン大統領)が「特別軍事作戦」と称してウクライナに侵攻。3月2日、国連特別総会(193カ国)は軍撤退決議案を141カ国賛成で可決。3月23日、ゼレンスキー大統領が国会(オンライン)で日本に支援を訴え。ロシア軍東部制圧へ。予備役動員。東部南部占領地4州で住民投票しロシア領に編入。10月7日、ウクライナ議会が北方領土はロシア占領の日本領土と確認する決議採択。12月21日、ゼレンスキー大統領が訪米。
2023年
2月20日、バイデン米大統領がキーウ電撃訪問
2月23日、国連総会(193カ国加盟)は、「ロシア軍の即時安全かつ無条件の撤退」などを要求する決議案を141カ国の賛成で採択。反対はロシア、北朝鮮など7カ国、棄権は中国、インド、イラン、南アフリカなど32カ国

ニュース news・・・・
2022年
9月29日、日中国交正常化50周年の日(1972)
10月3日、国会(第210臨時会)開会。10月24日に山際経済再生担当相・11月11日に葉梨法相・11月20日に寺田総務相が辞任。12月10日、旧統一教会の被害者救済新法成立。閉会
10月22日、中国共産党20次大会が閉幕(10・16~)。習近平総書記が三期目に
11月17日、バンコクで3年ぶりの日中首脳会談
2023年
1月2日、「一般参賀」来訪者のコロナ感染を考慮し抽選により9000人が参賀
1月14日、日米首脳会談。岸田首相は「日米同盟についていっそう連携を強く確認することができた」と語る
1月23日、国会(第211回通常国会) が召集され岸田首相の施政方針演説 。 会期は 6月21日 までの150日間 
2月28日、新生児数が2022年は79万9728人に。統計開始1899年以来初めて80万人以下に。厚生労働省調査から 
3月7日、新型ロケット「H3」が再打ち上げにも失敗
3月10日、中国全人代(3・5~3・13)の全体会議で習近平国家主席を3選
3月14日、ノーベル文学賞作家大江健三郎氏が3月3日に去世、88歳。

[ 昼 の丈風 ]
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*2023・3・6~3・13~ 
緊急記事
戦火の犠牲になった300万人の心火が
示してくれているわが国の前途


 日本の新型ロケット「H3」は3月7日午前、再打ち上げにも失敗し爆破司令を出して空中で爆破しました。先端技術への国際的信頼へのダメージは計りしれませんが、その上にいま日本の歴史的・国際的誇りである「非軍事・平和の国づくり」の灯火まで消そうとしているのです。

 戦火の犠牲になった300万人余の先人のあるべき人生を偲びつつ、全土の戦禍を引き受けて、みんなで営々として積み上げてきた戦後復興・高度成長・一億総中流の遺産を、保持し伸長することなく浪費してしまったといえる安倍政権と軍事力増強をすすめるその後継内閣をどうして評価できるでしょう。去世していった先人の心火によってこの国の前途を示してくれているのが「非軍事・平和」の国づくり・まちづくり・人づくりです。後人としてこれだけは守らねばならないのです。


*2023・2・20~2・27~
世界平和への灯火というべき
「非軍事・平和の国づくり」を
日本(岸田首相)は放棄することに

2022年2月24日にロシア(プーチン大統領)が「特別軍事作戦」と称してウクライナ(ゼレンスキー大統領)に侵攻。あれから1年。その間に、事態は解決に向かわずに世界規模での影響という悪化の状況にあります。

 日本(岸田首相)にも種々の影響が及んでいますが、なかでも重要なのが「非軍事・平和の国づくり」の変容への圧力です。
 先の大戦(敗戦)によってこの国の焦土に残された戦禍を引き受けて、70年余に及んで営々として築き上げてきた「非軍事・平和の国づくり」を、戦争を知らない首相の判断(独断)で変容させてしまうことなど許されない。真摯に”戦争の歴史”に学べば、後進的民主主義国という立場でとってはならない対処法であり、やってはならない暴挙なのです。(つづきます)

*2023・2・13~
緊急にどうすべきか 
まず国民が国を守る意志を確認するとき
 終戦(敗戦)のあと70年間、反省をこめて、戦争勝利国アメリカに”軍国化”を監視されながら、国民が支持しこしらえてきた「非軍事・平和」の国の姿を変えることになる決定を、国民の支持を失っている内閣が強行すべきではないでしょう。
 とはいえ、現状では「反撃能力敵基地攻撃能力)」の保有にかんしては70歳以上で賛成51%反対41%、18~29歳では賛成65%反対32%という世論の動向からすると、軍備増強と多大な軍事費については岸田内閣の意向がズルズルと既成事実化される公算が大きいのです。 多大な軍事費を先に決めてのちに予算化するというやり方は戦前と変わらず、決定の順序をまちがえているのです。

 緊急にどうすべきか。
 岸田内閣の独断を許さず、解散をして国民の国を守る意志を確かめ、そののちに国会で軍事力・軍事費を論ずるのが、歴史に学び歴史をつくる叡智といえるでしょう。
 野党と与党内の平和保持勢力と党派に属さない人びとが立ち上がり、マスコミを巻き込んで新たな潮流を起こす時なのです。後世の人びとが、われわれの姿を見ているのです。
 戦禍を体感・記憶している高齢者が「昭和の歴史」から学び、「兵役」を知らない若者が国を守る「公役」として何をしたらいいのかを議論して、何兆円もの軍事力増強のための増税など不要な国づくりを確認すること。地元民の創見・総意を託して新たな代表を国会に送ること。そのプロセスと結果なら、国連の多くの国々も賛同し支持してくれるでしょう。これが国際平和への日本の貢献です。安保理常任理事国はそういう平和への意志・活動を支えなければならない立場にあるのです。
 わが国にしごとで、会議で、観光で、留学でおとずれる人たちは、四季折々の美しい風土と平和で平等で分け隔てのない「おもてなし」に満足して再来を約して帰るのです。そういう国でありつづけたい。(つづきます)

*2023・1・2~1・30
岸田文夫のという政治家
「年頭所感」・「施政方針演説」から
 
「年頭所感」では課題として新型コロナ、ウクライナ侵略、エネルギー、円安による物価高、さらには安倍元首相の銃撃事件まで、「歴史を画するできごと」として羅列していますが、いつもながら岸田総理の発言は、政治(政界)用語がよく整えられているのですが、聞き終えたあとに何も残らず、時代の転換点に改革への「国民の覚悟」を求める政治家の心意が国民の心に響かないのです。政治(政治家のつとめ)はそれぞれの課題の陰あるいは狭間にある複数の解決法から最良の選択をすることですから、「”総理”としてこれでいいのだろうか」と問いつづける真摯さ・謙虚さに欠けているといわざるをえません。
「施政方針」から次の3点につきコメントをさせていただきます。

「施政方針演説」(1月23日)も、やれやれ、演壇で分厚い原稿が閉じられたあとに何も残らないのです。政治(政界)用語がよく整えられ課題もるる羅列されているのですが、課題についての質問ぜめに巧みに応じることが“総理”の役目ではないでしょう。課題の解決に向かって創意を感じさせる“岸田用語”がないのです。こういうタイプの政治家には、新たな時代を開く可能性は期待できませんし、それどころか、ことの本質を見抜けずに禍根を残す結果を招くのです。

1 軍事力増強・軍事費増大
 昨年らい岸田首相は、2023年のG7(被爆地ヒロシマで開催)議長国として、2023年から2年つとめる国連安保理非常任理事国の立場で、民主主義国の結束を呼びかけて「国際平和」外交を精力的につづけてきました。大戦後の日本国民が70年にわたって支持し、歴代の外相+外務省が貫いてきた「非軍事・平和の国づくり」を、いまこそ国際世論とせねばならないときです。安倍氏もその点では外交の一貫性を保持してきました。
 ところが岸田首相は「非軍事」という日本の国際的評価を変えようとしているのです。国際平和への外交力を支え裏付けとなる軍事力強化であり、民主主義諸国の賛同は得られているというのです。
 ここで“総理”として見定めねばならないのは、隣国の中ソ途上大国の動向です。その反応を黙視して、国際協調のバイデン政権下とはいえ自衛隊の「(敵基地)反撃能力」の所持で米軍に一体化し、軍事費の歴史的増額を訪米して約束しています。岸田首相は「日米同盟についていっそう連携を強く確認することができた」と「自鳴得意 」に語っているのです。が、このまま進めば、岸田氏は戦後平和期の日本を新たな“戦間期”に引き込んだ首相となるのです。「非軍事・平和の国ニッポン」の明日を決めるのは、「非軍事・平和の国づくり」に徹してきた国民の創見・総意以外にありません。

2 インフレ率を上回る賃上げ
 新世紀20年を現状維持が精いっぱいで、実質業務での収益に乏しく、地を這うようなゼロ成長で経過してきた日本企業が、どうやったらインフレ率を上回る賃上げができるというのでしょう。実現不能な要請であることは当事者ならずともわかること。企業が賃上げを優先して諸物価を上昇させればインフレがさらに進行するのはあきらかです。ここでも判断をまちがえているのです。若者・女性による成長力(アベノミクス)に頼るだけでなく、知識・技術・資産・人脈・労働余力を保持する高年世代に呼びかけて、その潜在力を活かした「地域共生社会」づくりの内需による伸長力(エイジノミクス)によって経済の活性化をはからねばならないのです。この発想の転回こそが、世界ダントツの「高齢化」を成し遂げた日本が指向し実現させねばならない「ジャパン・ファースト」の国際的役割なのです。

3 異次元の少子化対策
「少子高齢化」という現実をみずに「少子化」だけをとりあげる政策では「子そだて」課題の解決にはならないのです。「子そだて」に格差を生じるだけ。これも「地域共生社会」づくりのテーマとして、子どもたちと同じ地域で暮らす高齢者(祖父母)の力を合わせて家族・地域で取り組まなければ根本的な解決にならないのです。本稿が年来提案し憂慮しているように、「高齢社会庁」と「こども家庭庁」は同時進行すべき両翼の課題なのです。

文温の絆 いまを時めく四字熟語 三日復一語  
「曳尾塗中」(えいびとちゅう)
カメのように泥の中を自由に泳いで生きる人生

「曳尾塗中」(えいびとちゅう)  

『荘子』は人と共生するいきものにかんする成語をいくつも提供してくれています。「荘周夢蝶」をはじめ「鵬程万里」「害群之馬」「涸轍之鮒」「井底之蛙」「朝三暮四」(サル)「蝸角之争」「沈魚落雁」「呑舟之魚」「木雁之間」「白駒過隙」などが知られます。なかでも荘子らしい成語がこの「曳尾塗中」(秋水篇)です。
 宋国の蒙(河南省商丘の近く)にいた荘子は、南の新興国楚の王から招請を受けます。遣いの者がきたとき釣りをしていた荘子は、遣いの者に、楚の宮殿には長寿の形見としてカメが収蔵されているようだが、宮殿ですごすよりどろの中を自由に這いまわっているカメのほうがいいといって断ります。カメは身の危険に際しては戦わずに甲羅のうちに身をかくすという平和主義者です。荘子らしいエピソードです。
 野ではウサギ。敵の多い原野で暮らしながら、戦うための武器になる器官をもちません。危険を察知する耳と「脱兎」となって逃げる後ろ足と逃げこむ三窟だけで。戦うことをしない平和主義者のウサギとカメを競走させるなど、争いずきの人間の考える哀れな発想なのです。
(連載「web円水社+」から) 

[ 晩 の丈風 ] 
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未公開トーク 
追悼:半藤一利・藤井裕久 対話
国家の品格は「平和」を守ること 
歴史探検家と政界顧問が憂慮する「平和から新戦間期へ」の萌芽

緊急公開 半藤・藤井対話本文  ダウンロード

 ともに胸の奥に深く「戦禍」を蔵しつづけた 半藤一利氏(1930昭和5年~2021令和3年)と 藤井裕久氏(1932昭和7年~2022令和4年)による対話は、近代史、現代政治、戦争と平和、憲法百年、国家の品格まで、亡羊を求めて多岐にわたりました。今を読み解く示唆に満ちています。穏やかな「浦霞」の薫香をかよわせて酔余問答は大学時代のボート(半藤)と野球(藤井)にまで及びました。(2018・6・5 芝白金台・藤井裕久事務所にて)

藤井 平和を守ってきたのは自衛官だけじゃない。世の中の人みんなが守ってきた。
半藤 それを知って自衛官になっていますからね。
藤井 このことを憲法に書いたら新しい自衛官になった連中はおれたちが国を守っているということに必ずなる。
半藤 「平和憲法」を100年守りつづけること、それしかない。世界のたくさんの小さな国が日本の憲法をこれはいいと認めてくれればいい。
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藤井 アメリカばかりに頼っていて逃げられたらどうするのか。北東アジアの平和は中国・ロシアも含めて成り立っている。
半藤 かつてアメリカが国際協調から引いたときに世界中がわが国オンリーになっちゃって、その影響でウオール街の暴落が起きたんです。
藤井 歴史的に第一次大戦のあとに似ている。
半藤 アメリカは損をしてまで世界のリードをとる必要はない。
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半藤 戦争は天から降ってくるわけではないんですから、自分たちの生活の中で戦争の芽が出たらプチンプチンつぶしていくことが大事なんであって、芽をつぶせば戦争まではいかないですよ。
藤井 ほんとうです。なんとかやりましょう。

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記事・月曜掲載・日々更新・・・

*2022・12・26~
「ニッポンの夢」は
どこにも敵がない国づくり

 ◆外国が日本を攻撃しようとした場合に、その国のミサイル基地などに打撃を与える能力を自衛隊がもつことに賛成ですか、という質問を『朝日新聞』が12月中旬(17日、18日)に実施した世論調査でしています。相手の領域内を直接攻撃するいわゆる「敵基地攻撃能力(反撃能力)」の保有にかんする質問です。世論調査として成立しているとはいえ、これほど深刻で多岐にわたる影響をもつテーマをわずか1000余のサンプルで結論を得ることなどできないのですが。

 これに対する答えでは、男女別では男性は賛成66%反対29%で、女性は賛成47%反対47%でした。年齢別に見た場合では、18~29歳は賛成65%反対32%で、70歳以上は賛成51%反対41%でした。ここで注意すべき傾向がふたつあります。ひとつは「平和ぼけ」か、戦禍・戦後のきびしい暮らしや安保闘争・学園紛争を体験している高齢層で賛成が上回っていること。もうひとつは若者の3人に2人が賛成だということです。戦争の記憶がなく、兵役を知らず、武器に触れた経験もない「平和づけ」の若者たちが、将来の「平和」への不安を解消するために、自分が担う意識をもたずに現実的な軍事力増強を選んでいること。軍事力を増強せずに「平和」を保持する後人として育っていないという経緯です。高齢者を越える「保有反対」が若者にあってこそ将来の「平和」は確保されるのですから。
・・・・・・・・・・・
 質問の趣旨からいって、外国(隣国)との関係の悪化を想定してのもので、回答者は北朝鮮・中国・ロシアを仮想敵として答えたのでしょう。前記の若者の答えに見るとおり、70年間の「平和日本」は世代伝承として平和指向の後人を育てられなかったというのが現実です。
 本稿がここで指摘したいのは、マスコミは多く触れていませんが、本当の相手はアメリカだということなのです。民主主義の擁護を声高に語りつつ軍事力増強という自衛隊の「米軍との一体化」と軍需産業への資金注入が隠密裏に進行していくのです。大戦後、日本の軍国化を監視してきた戦勝国アメリカの変化に気づかなければならないのです。短くは指摘しずらいのですが、アメリカ軍を支えているのはアメリカ国民であり、その「国際協調」のリーダーとしての強い国論でした。それが「アメリカ・ファースト」という横波を受けて揺らいでいるのです。

 超1000兆円の債務を積み重ねたうえに、将来、何千何万ともしれない戦死者を生じる軍国化に踏み出す政権を、国民は静観してやりすごすことはないでしょう。新世紀20年の現在、「世代交代」の末に、長期的視野に立って“歴史的現在”(のちに歴史が証明する)を見通せる政治家がいなくなっているのです。言い過ぎないように言いますと、戦前の経験から学んで、マスコミ・野党、学生・無党派層の人びなどがいっせいに声をあげないと、歴史は繰り返されることになります。わが国が戦前の経験から学べず、国際的に他国もまた学べなければ、戦争の歴史は繰り返されることになります。想像もつかない限りなく大きな犠牲を払って。(2022・12・26)

*2022・12・19~
「安保関連3文書」のようにすすむなら
「戦後平和」は新たな「戦間期」に

「戦後日本の安保転換」(『朝日新聞』2022年12月17日朝刊)という見出しを前にして、早送りテープのようにではなく、ピチパチ跳ねる油滴のようにして、胸の奥に鎮まっていた切れ切れの「戦後」の映像や音声が次々に跳び出してきました。「戦争」の記憶をもつ人なら同じような反応を起こしたことでしょう。

 それにしても77年ものあいだ先人が努めて保ってきた「戦後日本の安保」の態様が変わろうとするとき、世情はどうしてこんなに静かなのでしょう。かつて将来の日本のために「60年安保闘争」を体験した高齢者は「平和ぼけ」したのでしょうか、兵役を知らない若者は「平和づけ」で、振り子がむかう対極にあたる「戦争」の実態が不確かなためでしょうか。動きはじめたら、もうだれにも戻せないのです。

「安保関連3文書」のようにすすむなら、この国の「戦後平和」は新たな戦間期」にはいることになります。310万人という犠牲者を出して、大戦後に軍備を放棄し、戦勝国(国連安保理常任理事国)であるアメリカによる軍国化への監視下にあって、「平和国家」づくりに徹した日本を、世界の多くの中小国は評価しているはずです。観光で、会議で、留学で、しごとで訪れる人びとは、平和で平等で四季の風物の美しい日本の「おもてなし」に満足して再来を願って帰るのです。そういう国でありつづけたい。

国民の決意」は、「敵」を想定し「敵基地攻撃能力」を保持して抑止力を強めるといった軍備増強ではなく、敵をつくらず、友好交流し、専守防衛(国土保全)に努めて「非軍事平和の国づくり」に徹することにあるでしょう。

 岸田首相は、ヒロシマ選出の議員としてG7を成功させたいなら、保守派の支持を期待して党総裁でありつづけようとするのではなく、国民の要望をしっかり受け止めて、来年の地方選に勝って与党を強くすることが本筋でしょう。

*2022・12・5~12・12~
70年つづいた「専守防衛」こそが
わが国への国際的評価をつくる

 防衛費を減らすならともかく、防衛費を大幅に増やして平和を守ることなどできません。何兆円もの資金が、平和で豊かな暮らしを支える車や家電や教育・・といった分野から軍需産業へと重心を移すことになるからです。

仮想敵」を想定して対抗する措置として、軍備を増強することになれば、やがては軍と少数の関連大企業が国民の目の届かないところで癒着して、自己増殖していきます。使用不能の米ソの核弾頭所有がその事例です。産業ですから使えるものは消耗(局地戦争)させて新しく置き換えていきます。防衛費増を望んでいる企業の事情を熟知している政治家が、「仮想敵」の脅威を声高に言いつのって実現させるのです。

軍備増強」にかんするあまりにも露骨な動きを3点取り上げておきます。
1 EU諸国と同じ2%という基準に合わせてはならないこと。先の敗戦後に戦力の放棄を憲法に記して、干戈を見ずに70年余りを過ごしてきた日本。それと複雑な事情のある欧州とでは、平和を守る姿勢に大きな差があって当然なのです。

2 実態を究明し、国民に対してていねいな説明もなしにまず資金ありきは論外なこと。とりわけ無理強いして賃上げを要請している企業にさらに法人税での増税などありえない。すでに超1000兆円という国債も、これ以上の発行による後代への押し付けはむり。子育てや高齢者医療での出費増も迫ります。自衛力の増強は一内閣の拙速な判断ではなく巧遅をいわれても国民に問うのが国づくりの基本です。

3 ヒロシマとの違い。原爆被災者の尽力で、国際的な平和運動の聖地となったヒロシマ。そこでの来年のG7で、軍事費大幅増税をおこなった政権がどう内実をつくろって国際平和へのメッセージを発信できるのでしょうか。観光で、会議で、留学で、しごとでこの国にやってくる人びとは、軍事増強をせずに自衛ができる国と知って、平和と風物と「おもてなし」を満喫して帰っていくのです。国際的な評判を崩すことがあってはならないのです。

 来年から2年間、わが国は国連の「非常任理事国」を務めます。国連は設立以来の機能からいって、「戦後平和」が新たな戦前に向かうことを許すわけにはいかないのです。日本(とドイツ)や他の軍国化を監視し、国際平和を守るのは、アメリカだけではなく、5戦勝国(安保理常任理事国)はどこもその責務を負う立場にあります。「非軍事・平和の日本」を守る責務を、隣国である中国やロシアも負う立場にあるのです。それを確認し、世界の中小諸国の「平和日本」への賛同と支持を固める外交を展開する、これこそが来年から非常任理事国を務める日本独自の重要な国際的任務なのです。2022・12・12

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*2022・11・21~11・28~
新世紀20年に際立つ劣化(国際比較)
G7どころかG20もあやうい将来
 日々の暮らしで気づくことはないのですが、新世紀20年のあいだにわが国が国際比較で渋滞・劣化しているいくつかの問題点を指摘してみます。

国民一人あたりのGDP  GDP国別比較では米中についで3位を保持していますが、国民一人当たりのGDPでは27位(2021年)で、上向く気配がない。増えつづける高齢者が保持している技術・知識・資産・人脈などを経済伸長に活かせなかった。

技能劣化  「技能五輪国際大会」(第45回、ロシアのカザン、2019年8月)には62か国・地域の1348人が参加、56職種の競技が行われ、日本は42職種に48人が参加し、情報ネットワーク施工、産業機械組立てで金メダル2個(国別7位)、銀3個、銅6個、敢闘賞17個でした。56職種で金メダル2個で技術立国といえるでしょうか。工業高校・農業高校の充実をはからず、大学進学の教育に偏っている。

知能劣化 「世界大学ランキング」(英誌タイムズ・ハイヤー・エデュケーション2022年版)によると、99カ国・地域の1662校のうち東京大学35位(昨年36位)、京都大学61位(昨年54位)にランクイン。アジアでは北京大学・清華大学16位、シンガポール国立大学21位、香港大学30位、ソウル大学54位に。レベルの高い学術国家の評価は得られていないようです。風潮としての”愛痴化(バカ化)”が助長していなければいいのですが。

・食料受給率  カロリーベースの食料自給率は38%。飼料自給率は25%。生産額ベースの食料自給率63%。飼料輸入額や原料輸入額が増加すると生産額ベースの食料自給率は低下します。世界中に広がる「わが国ファースト」の影響を受ける前に、すみやかに食料自給率を回復する必要があります。製品を輸出して食品を輸入する”飽食の時代”は終わっているのです。2022・11・21

*2022・10・31~11・7~
100年の先を見通す中国 
あすの展望が見えない日本
 焦点距離の短いレンズで日本の現状を見ている人びとには、遠景のような中国の100年先の姿を望み見ることはできないでしょう。これまでの100年の経緯を確認し、第二の100年に向かおう 、と習近平総書記は、全党、全国の各民族人民、同志に呼びかけているのです。(10月16日、「中国共産党20次全国代表大会」報告)

 中国の歴史は、およそ300年をつないだ断代史ですから、現代の「人民共和」の国家体制300年の歴程を、およそ考察することができるのです。その「史不絶書」の観点からすると、紆余曲折はありながらも毛沢東、鄧小平、習近平期の3つの経緯は、その初期に当たるとみているのです。これから100年の盛期に向かって、伝統を活かして、偉大なる中国の復興(「民為邦本」、中国特色社会主義)を実現しようというのです。
 
 そのために活かす中華文明の智恵の結晶(10古語)として、「天下為公」「民為邦本」「為政以徳」「任人唯賢」「天人合一」「自強不息」「厚徳載物」「講信修睦」「親仁善隣」とともに「革故鼎新」をとりあげています。故(ふる)きを革(あらた)めて新たに鼎(たて)る「革故鼎新」(『周易「雑卦」』から)ことではじめて具現化されるからです。唐王朝の初期にも叫ばれて大唐盛世を現出し、近代にも『新青年』第一巻第一期 に掲げられています。「日進月歩」より速い「日新月異」の勢いですから、だれにもその姿は定かではありませんが、確実にありつづけるのです。
 
「革故鼎新」を掲げて「前無古人」の事業を展開する中国と「親仁善隣」の立場で、日本としては今後100年を付き合う覚悟をせねばならないのです。
どう付き合うか。長期的にみると定見を持たずに外来の”良きもの”を移入して”和風”に仕立てて活用してきた日本が、中国(2000年の)、ロシア(300年の)、アメリカ(200年の)という隣接3大国と向き合って、短・中期的に全容を見渡して、対立を解消するような平和外交がどこまで可能かということ。

 どうすべきか。コロナ禍対応では後手にまわり、旧統一協会問題で政権基盤をゆさぶられ、後人にツケをまわす超1000兆円の負債を積み上げた現政権にはとても不可能なこと。無党派層も参加し、街なかで「大隠」している長老や「山中宰相」の達見にも耳をかたむけ、「世代交代」ではなく「世代交流」に努めて、国民が持つ潜在力を発揮して国政を根本から築きなおす改革の正念場なのではないでしょうか。
 制定70年を迎えた憲法の全国民参加による論議は今そのときの到来というべきでしょう。本当の「黄金三年」を迎えるために、「解散」もふくめて、野党やマスコミはその風をあおる役目を果たすときなのです。2022・10・31

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*2022・10・17~10・24~
安倍元首相による「国葬」のあり方が 
岸田政権の命取りになる
 歴史的国家的セレモニーである「国葬」として、安倍晋三元首相の葬儀は、 “ヒロシマ” がそうであるように、日本からの「国際平和へのメッセージ」を発現する舞台となりえたのでしょうか。

 繰り返して述べていますが、国際平和を守る役割の国連で、戦争を回避するための軍事力と「恒久的権限(拒否権)」を付与されているのが国連安保理常任理事国(戦勝5カ国)です。あろうことか、その立場にあるロシアによる武力侵攻というゆゆしき事象に直面しているのです。
 ここでこそ今、平和国家の「新事例」を実現している日本からの「国際平和へのメッセージ」は重要であり、とくに来年から安保理非常任理事国を務める日本にとっては外交信条でもあるのです。
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 ところが葬儀を主宰する岸田首相は、その根幹である”国民的総意”の形成を考慮せず、個人的見解を優先して「国葬」としたことで、「国葬でないほうがよかった」という国民の過半の評価を生じることになりました。際立って賛成が反対を上回っていた30代以下の若年層までが支持を減らしてしまったことで、安倍政治の継承や憲法論議、岸田政権(黄金三年)の存続への影響は避けられないでしょう。

 安倍氏が「地球儀を俯瞰する外交」を自負して訪れた国・地域は80、のべ176に及ぶといいます。これは日本国民と歴代首相たち+外務省」がつちかってきた戦後の「平和外交」のラインに重なる実績として評価できるもの。
「軍事力なき国」に暮らす国民と「平和・自由・立憲・民主」をめざす政界の諸会派が、合わせて「恒久平和の国づくり」への賛同と共有の場としての「国葬」に参集できれば、「日本国と日本国民」への敬意の表現として訪れる世界の国々の代表に「国際平和へのメッセージ」は納得されたでしょう。

 大局観に立った首相のリーダーシップのもとで国民的総意を形成して、「成熟した民主主義国」での「国葬」でありえたならば、一歩すすんだ姿を発現する歴史的国家的パフォーマンスとなりえたのです。
 この一点に政治生命をかける政治家岸田文雄の言動が国論を左右する局面として注目されたのです。残念ながら新局面は開かれず、岸田政権(黄金三年)はありえなくなりました。「国葬」にあらざる「国葬」ゆえに、遺骨をかかえて右往左往している昭恵夫人の姿は痛々しいかぎりです。 2022・10・17

再録 「10月1日 国際高齢者デー」 
   「三世代平等長寿社会の日」宣言 日本丈風の会

 平和裏に迎える「高齢化」を21世紀の国際的潮流と見通した国連は、20世紀末の1999年を「国際高齢者年」とし、10月1日を「国際高齢者デー」と定めて、世界の高齢者が自立して「すべての世代のための社会をめざして (towards a society for all ages)」の活動に参加するよう呼びかけました。
 わが国も当時の総務庁を中心にして、自治体や民間団体が参加して、全国で1084件の事業を実施しています。

 その日から20年余、この間に際立ったことといえば、世代交代、GDP・賃金の停滞、非正規社員化、日用品の劣化、格差の定着、”愛痴”化(バカ化)も・・などでした。
「高齢化」で先行するわが国(高齢化率29.1%)には、「高齢社会」の国際的モデル事例が期待されているのです。ですが、高齢者の潜在力(知識・技術・資産・人脈・・など)を活かせず、現状はその達成に向かっているといえません。
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 政府の高齢化対策としては、「医療・介護・福祉・年金」といった「高齢者(ケア)対策」においては、欧米と比較しつつ成果を収めてきました。
 しかしどこにも先例がない「高齢社会(参加)対策」については、基本構想として「高齢社会対策基本法」(1995年に村山内閣が制定)を掲げて、対策内容としては「高齢社会対策大綱}(1996年に橋本内閣が閣議決定、5年ごとに見直し)を検討していても、実現する「高年世代」(アクティブシニア)が広範に登場するまでは進展をみませんでした。
 この間20年余、未萌の姿を模索しながら活動した先人は、将来を憂慮しつつ去っていきました。惜別の声が聞こえます。
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 これからの20年、世界最速で高齢化率25% (65歳以上の人口4分の1に、2013年) に達したわが国は、青少年世代、中年世代とともに第三の現役である「高年世代」を成立させて、平和を保持するとともに、潜在力(知識・技術・資産・人脈・・など)を活かして新たな「高齢社会」(モノ・サービス・しごと・しくみ・居場所・住環境・移動・高齢社会庁・・など)を創出し、世代交流、GDP伸長、賃金安定、正社員化、日用品地産化、格差是正、文化熟成に向かわねばならないのです。
 一人ひとつの人生をかけて。
 細目:略  2019年10月1日~2022年10月1日
 国連の「高齢者五原則」は 自立・参加・ケア・自己実現・尊厳  20191001~20221001

上の宣言にご賛同のうえお仲間に転送してください。一人ひとつの人生でどれほどのことが可能かは知れませんが、小さくとも水玉模様のように重なり広がれば・・

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