四字熟語 「一衣帯水」

一衣帯水
いちいたいすい

「四字熟語ものがたり」のその一は、日中交流の場で親しい「一衣帯水」からはじめたい。

かつて隋の文帝が目前にした衣帯(おび)ほどの水は長江だった。「一衣帯水を限りて之を拯わざるべけんや」といって兵を率いて長江を南に渡った。
行き来に支障がないわけではない水域が隔てているが、それを障害としないで進もうという意思と展望が込められている。

日中間に眼前するさまざまな課題を「衣帯ほどの水」の隔たりとして対応できるのは、命がけで海を渡り往来の歴史を刻んできた幾多の先人の営為が背後で支えてくれているからだ。

一九七二年九月に、「日中両国は一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する」という日中共同声明と田中角栄首相・周恩来総理の力強い握手の姿は今なお新しい。双方にその思いがあって、なしえない課題などありえない。衣帯の間で切らずに「いち・いたいすい」と読むのが自然。

*『南史「陳後主紀」』