特集 「日本長寿社会」のパラダイムシフト

特集パラダイムシフトa
堀内正範 朝日新聞社社友・「月刊丈風」編集人  史上初・国際的に先行する「日本長寿社会=超高齢社会=三(四)世代多重型社会」の新たな内容を盛るために、本誌では新しいことば(器)を用いています。世紀をまたいで21世紀の初頭にわが国の65歳以上の「支える側の高齢者」(現役シニア=昭和丈人)層が中心になって、わが国独自の文化、伝統、暮らし方を活かして「成熟」した姿の「モノ・居場所・しくみ」をつくること。「自立・参加・ケア・自己実現・尊厳」(国連「高齢者五原則」)を体現しながら独自のプロセスを案出し、平和裏に国際的成功モデルを達成すること。そして青少年・中年・高年者それぞれが「人生の豊かな成果」を享受できる新たな社会が「日本長寿社会」です。「20世紀後半期の人生65年社会」から「21世紀初頭の人生90年社会」へ。わたしたちの活動は新たなパラダイムシフトによって展開いたします。
 

四字熟語-陽春白雪 

陽春白雪

ようしゅんはくせつ

外は雪のストックホルム。市庁舎内のノーベル賞晩さん会会場には、山中伸弥教授の隣に文学賞の莫言氏。日中の名士が並んだ。一二月一〇日のこと。

その前日、恒例のストックホルム大学でのスピーチで、中国文学の現状を問われた莫言氏は、「陽春白雪と下里巴人」といって会場の笑声と掌声を誘った。通訳には意味が分からず、自ら「高級な白酒を好む人もいれば普通の白酒を好む人もいる。それぞれ味わいがあるように文化の受容は多様化している」と補足した。

春の明るい陽光と白雪。この美しい四字熟語は、高尚な楚の音曲の名に与えられている。一方の卑俗な音曲は「下里巴人」(巴蜀のひなびた里人)。対比には文学者らしく気をつかって格差ではなく多様性といった。「下里巴人」は数千人が和して歌えるのに「陽春白雪」は数十人。自分の作品がどちらにも受け入れられている現状へのとまどいもみられる。双方を理解できる「雅俗共賞」の人は実はもっと少ないからである。

楚辞「宋玉対楚王問」

現代シニア用語TODAY--「成長戦略」と「成熟戦略」

TODAY「成長戦略」と「成熟戦略」
堀内正範 朝日新聞社社友・「月刊丈風」編集人 「国民の活力」には、これまでのように青少年・中年者の「成長活力」とともに、高齢化が進み3000万人に達した高年者が保持する「成熟・継承活力」があることを、ほかならぬ高齢者自身が体験的に率直に認識することが何より必要です。わが国に活力を与える将来構想には「成長戦略」と「成熟戦略」とがあって、後者は高齢者によって新たに展開されることになります。