「月刊丈風」2013年2月号

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編集月旦2013年2月号
安倍所信表明演説を「高齢者参加」で読む
民主党再建への提言
藤井党最高顧問に聞く-1
藤井党最高顧問に聞く-2
賀寿期五歳層十五人会議a
緊急提案2013参院選
高齢社会対策大綱を読む3
長寿社会のまちづくり
起業情報ナノコーポ
ほん「頑張って!ご同輩」2012
ほん樋口恵子著「大介護・・」a
『現代シニア用語事典』分載4
賀寿期5歳層「米寿期」
賀寿期5歳層「傘寿期」
賀寿期5歳層「喜寿期」
賀寿期5歳層「古希期」
賀寿期5歳層「還暦期」
三世代年表・人口流行語流行歌
セミナー八重洲20120725
人口爆発から高齢化へ尾崎論文
人生2回時代の岡本モデルa
小論「長寿国の総理大臣」
藤井党最高顧問に聞くⅠ

四字熟語-粉骨砕身 

粉骨砕身
ふんこつさいしん

年末の総選挙で惨敗した民主党。党再生へ任を負った海江田万里新党首は、自作の漢詩を示して「粉骨砕身」というこの四字熟語に全てを託した。
わが国の報道にはこの詩(七言絶句)を掲げた記事を見なかったが、中国側の報道では全詩を示して作者の意志を伝えている。

臘月扶桑戦鼓鳴
寒天寡助計無成
将軍功盡萬兵斃
粉骨砕身全此生

(臘月扶桑戦鼓鳴り、寒天助け寡く計成る無し。将軍功盡き萬兵斃れ、粉骨砕身此の生を全うせん)
選挙戦に敗北の無念さを噛みしめ、議席を失った仲間を労い党再生の覚悟を述べる。見極めがつかない前途にわが身を捧げるという潔い表現である。

士人が君王の恩愛や知遇に報いる覚悟を述べる場面に用いられ、現代中国では革命精神を引き締めて事業を推進しようと訴える場面でいわれる。唐の顔真卿が用いた「粉骨之誠」でも意は通じる。中国では「粉身砕骨」 が一般的。

姚雪垠「李自成」など

新情報-安倍総理の所信表明演説を「高齢者参加」で読む

!!!安倍所信演説を「高齢者参加」で読むpdf
安倍総理の所信表明演説を「高齢者参加」で読む
演説は2013年1月28日。代表質問は 1月30日~2月1日
堀内正範 朝日新聞社社友 web「月刊丈風」編集人
世界一の長寿国であるわが国の内閣総理大臣は、なぜこうも短命なのでしょうか。7年に7人。新内閣成立の時からそう決めているわけはないのに、決まってそういう経緯をたどっています。これは異常事態ですし、これではまともな国政も外交も不可能です。まともな外国は、優れた日本民族のことだから「天災人禍」を乗り越えて復活するだろうと、時待ちをしてくれているかもしれませんが。
総理大臣が民主党野田佳彦代表(55歳)から自民党安倍晋三総裁(58歳)に変わって所信表明演説がありましたが、残念ながら「高齢者参加による社会改革」についての発言はありませんでした。
金融と財政によるアベノミクスの効果は一過性であり、その反動を食い止めて経済成長を持続させるには、国民の持続的な活力が必要です。その潜在力は、若者による「成長」活力ばかりでなく、年々増えつづけて3000万人に達した高齢者(65歳以上・23・3%)のみなさんによる「成長・成熟・継承」の活力があります。
史上に新たなそして国際的に成功モデルとなるような「日本長寿社会」(超高齢社会・三世代多重型社会)をつくるには、地域・職域での高齢者活力の参画が不可避な時期を迎えています。先人が残してくれた余沢によって、旧来の「人生65年時代」の「支えられる高齢者」として年金と貯蓄で余生が送れる時期は終わって、わが国は社会的にも財政的にも新たな形態を模索する段階に入っているのです。
昨年9月に野田内閣が閣議決定した新「高齢社会対策大綱」は、その課題解決の要件として、「人生90年時代」の「支える側の高齢者」(現役シニア)層の登場を指摘しました。青少年・中年とともに高年の現役シニアが、「三世代多重型」の新たな社会構造を創出するために、保持している「知識・技術・資産」を活かして参画することが求められているのです。ところが国政の側からはその呼びかけが聞こえません。
アベノミクスが行き詰まる前に、できれば参議院選前までに、高齢者層がもつ現役シニアとしての潜在力を、日本再生のためにどう活用できるかに自力浮揚の正否がかかっているのです。
以下は、「高齢者参加」の視点による安倍所信演説の読み込みです。()のような意識があってはじめて高齢者参加への呼びかけとなり、「支える側の高齢者」に出動の意欲が生まれるのです。(2013・2・2~2・10記)
・(増えつづける高齢者が参画した)持続的な経済成長を通じて(新たな)富を生み出すことができなければ「経済全体のパイ」は縮んでいってしまいます。
・(高齢者層のみなさんの参画をえて)これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージ(成長・成熟・継承)を提示します。
・大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして(とくに高齢者層による新たな)民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」
・「(すべての世代の)暮らしの安心・(高齢者のもつ知識・技術・資産の参画による)地域活性化」
・(とくに高齢者層による新たな)民間の投資と(増えつづける高齢者層の優れた国産品・地産品とサービスによる)消費が持続的に拡大する成長戦略
・「(生まれたばかりの子ども・育つ世代、生み育てる世代、生をいとおしむ世代のすべての国民が)健康で長生きできる社会」
・(これまでの歴史になかった)新たな富と雇用も生み出します。
・「(ライフ・)イノベーション」(<生から死までの人間存在にかかわる>技術革新)と(「三世代多重型社会」への)制度改革
・(「人生90年時代」の)未知の領域に果敢に挑戦をしていく精神
・今こそ、(国際的に先行する「高齢社会」形成で)世界一を目指していこう
◎若者もお年寄り(注:ここだけ。弱者の視点で)も、年齢や障害の有無にかかわらず、全ての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会。
・「(一人ひとりが生涯にわたって)自らの力で成長(・成熟・継承)していこう」という気慨を失ってしまっては、個人も、国家も、明るい将来を切り開くことはできません。
・(高齢者が)自らの中に眠っている新しい力を見いだして、これからも成長(・成熟・継承)していくこと。
・「強い日本」を創るのは、他の誰でもありません。私たち自身(青少年・中年と3000万高年者の参加)です。

四字熟語-挙世皆濁

挙世皆濁
きょせいかいだく

二〇一二年の世相を示す「今年の漢字」は日本は二度目の「金」だったが、中国の「漢語盤点二〇一二」は「夢」(字)と「釣魚島」(詞)で、尖閣列島の国有化による日本批判がいかに根強いかを示している。

「今年の四字熟語」では、住友生命の「創作四字熟語」(五十選)に「税途多難」「党奔政争」「共存競泳」などが登場。そして韓国の大学教授六〇〇人余が選んだのが楚の愛国詩人屈原の「挙世皆濁」。世の中が皆濁っているという意味。

忠臣屈原が国の将来に絶望して世俗の塵埃を避けて去る際に残したことば「挙世皆濁」は「漁父辞」に出てくる。「挙世皆濁我独清、 衆人皆酔我独醒」(世の中が皆濁っている中で私ひとりが清らかである、人々が皆酔っている中で私ひとりが醒めている)

李明博大統領実兄の収賄疑惑などが背景にあり、清より濁に傾く世相を見据えての選定であろうが、その学者たちこそ「皆濁皆酔」の世を改める責務があるのではないだろうか。

『楚辞「漁父辞」』から

民主党再建への提案

民主党再建への提案 pdf
民主党再建への提案              2013・2・5
尾崎美千生 元毎日新聞政治部副部長 高齢社会NGO連携協議会参与
堀内正範  朝日新聞社社友 元『知恵蔵』編集長 web「月刊丈風」編集人
新世紀10年余にわたる「高齢社会対策」の不在
世界一の長寿国であるわが国の内閣総理大臣は、なぜこうも短命なのでしょうか。7年に7人。新内閣成立の時からそう決めているわけはないのに、決まってそういう経緯をたどっています。
これは異常事態ですし、これではまともな国政も外交も不可能です。まともな外国は、優れた日本民族のことだから「天災人禍」を乗り越えて復活するだろうと、時待ちをしてくれているのにちがいありません。
2012年の年末に政権交代があって、総理大臣が民主党の野田佳彦さん(55歳・1957年~)から自民党の安倍晋三さん(58歳・1954年~)に変わりましたが、残念ながらどちらの為政者にも、優れた先達に援軍を求めて難局を乗り切るという「高齢者参加による社会改革」構想はないようです。
人口比率で23・3%、3000万人に達したわが国の高齢者層(65歳以上)は、長年かけて培った技術・知識・経験・健康、そしてほどほどの資産を保持しています。もちろん医療・介護・福祉・年金といった基本的な「高齢者対策」は継続したうえでのことですが、これらの潜在力を社会的に有効に活かす暮らし方を提案するのは「高齢社会対策」であり、政治の側の役割です。
新世紀10年余にわたる「高齢社会対策」の不在が国力萎縮(デフレーション)の主要因だと説いても、国会議員のみなさんには理解がいかないようです。安倍総理の所信表明演説(2013・1・28)にも「高齢社会対策」はありませんでしたし、自民党政権の「負の遺産」としてなお解消されないまま。史上初・国際的に先行する「日本長寿社会(高齢社会)」の行き先を見定めえず、10年余の間みんなで霞が関の信号を渡ってきたものですから、「10年の失政」とは気づかず、その間に大きくなった潜在力を持つ高齢者の参加をだれも呼びかけないできたのです。
 「人生90年時代」の「支える側の高齢者」(現役シニア)の登場
昨年6月に衆議院で、8月に参議院で「消費税増税」法案が採択されましたが、国会の際立った増税論議の一方で、目立たずに有識者と内閣官僚によって11年ぶりに新たな「高齢社会対策大綱」が閣議決定(9月7日)されました。
この改定大綱には、すべての高齢者が知るべき重要な指摘がなされています。それは、これまでの「人生65年時代」の「支えられる高齢者」像を改めて、「人生90年時代」の「支える側の高齢者」(現役シニア)を登場させて、高齢社会に関するさまざまな課題を解決する要件としていることです。
長寿として享受している65歳からの高齢期(65+25年)を、旧来のままの「余生」として送るのではなく、保持している知識・技術・経験・健康・資産を活用して、地域・職域に新たな「モノ・居場所・しくみ」をこしらえることを提言しています。一つひとつは小さくとも、これが総体としての「地域社会」の活性化、「日本長寿社会」の達成に寄与するという将来像を示して、一人ひとりの高齢者に「支える側の高齢者」(現役シニア)としての社会参加を求めているのです。
「ライフ・イノベーション」としての高齢社会
2009年の民主党大勝利は、高齢者層の期待の表現でもありました。
「官僚主導から国民主導へ」、「コンクリートから人へ」を訴えて政権党になった民主党は、「マニフェスト」では「ライフ・イノベーション」といいながら、残念なことに高齢者層の潜在力を重視した参画の呼びかけをせず、期待していた「支える側の高齢者」(現役シニア)層にとっては何のメッセージもありませんでした。
2009年10月の所信表明演説で、鳩山由紀夫首相は、「無血の平成維新」といって党の勝利を誇ったものの、ご自分もその一人である還暦・定年期の “若き高齢者”に参画を呼びかける発言はしませんでした。翌年1月の施政方針演説でも、「誰にもみとられずに死を迎える」いたましい事例を取り上げましたが、「支える側の高齢者」が参加する「日本長寿社会(高齢社会)」構想には触れずじまいでした。その後の党の「ライフ・イノベーション」の展開にも実質的進展はありませんでした。
菅直人首相もまた「強い社会保障」をいいながら、若い世代に後を託して去ることになりましたし、野田首相は「社会保障」の安定財源のための「消費税増税」には奮戦しましたが、実質的な「医療」「介護」「年金」「少子化対策」などの議論は有識者の「社会保障国民会議」にまかせざるをえませんでした。
「高齢者参加」による持続的な経済成長
安倍政権が掲げる金融と財政によるアベノミクス効果は一過性のものであり、その反動を食い止めて成長を持続するには、国民の持続的な活力のフォローが必要です。これは衆目の見るところです。
その潜在力はこの国のどこにあるのでしょうか。
成長力というと、若者による「成長」活力ばかりが強調されますが、年々増えつづけて3000万人に達した高齢者のみなさんによる「成長・成熟・継承」への活力を軽視・黙止していないでしょうか。
政治の側からの後押しのない中で、熟年技術者は個別には国の内外で力を発揮しています。それぞれの分野で保持している“ものづくり”技術は、海外進出企業の現地社員への技術伝授に活かされていますし、さまざまな個別の“匠”の技術はアジア途上国の人びとの生活を豊かにしています。国内では、「百均商品」にあきたりない生活感性の高い需要者のために、優れた国産品(地産品)の開発が進み、ケアやサービスや新しい居場所づくりも展開しています。それらは次の世代の資産となるものです。
史上に新たな「高齢社会」の形成には政治の側のフォローが欠かせません。
「高齢者参加」を得て初めて「日本経済全体のパイ」は安定した姿をとりもどし、持続的な経済成長が可能になります。その時、内閣総理大臣は青少年・中年そして高年世代から敬愛されて、7年に7人という異常事態を脱して、「4年なお短し」として施政に取り組むことができるようになるでしょう。
その時にようやく、世界最速で高齢化が進んだわが国が、21世紀の潮流である「高齢社会」形成への成功モデルとして国際評価を得ることになります。

四字熟語-和而不同

和而不同
わじふどう

衆議院選挙に一〇余党が乱立し、それぞれに公約を掲げて、この国の将来を決定する政権獲得をめざすこととなった。
「和して同ぜず」は、君子(政治リーダー)の要諦とされてきた。「和」するけれども「不同」であるというのはどういうことか。

自分の主体的な立場や意見を保ちながら、相手の主体的な意見や立場を認めて「和」の姿を示すことにある。主要課題である脱原発、TPP、社会保障・財政、憲法、外交・防衛などでどういう「和」の姿をつくれるか。「附和雷同」では政権はつくれない。

前記のどの課題によって「和」の姿をつくるかでこの国の将来が決まる。重要でも国論を分断する脱原発やTPPではなく、国論を一つにし、国民の活力を呼び起こす課題は何なのか。国民みんなで形成し国際的にも先行する「長寿社会」(社会保障・財政)が「和」の基盤となるにふさわしいのだが。自分たちと後人のためにそれを掲げて訴える党と人物が見当たらない。

『論語「子路」』から

安倍総理の所信表明演説を「高齢者不在」で読む 2

安倍総理の所信表明演説を「高齢者不在」で読む 2
(演説は2013年1月28日。代表質問は 1月30日~2月1日)
堀内正範 「月刊丈風」編集人
総理が民主党野田佳彦さん(55歳)から自民党安倍晋三さん(58歳)に変わりましたが、残念ながら58歳の為政者の意識に、「高齢者参加による社会改革」構想は不在です。衆参の代表質問を終えましたが、「日本長寿社会」(超高齢社会・三世代多重型社会)構想を本格的に取り上げた議員はいませんでした。
金融と財政によるアベノミクスの効果は一過性であり、その反動を食い止めて経済成長を持続させるには、国民の持続的活力が必要です。その潜在力は、若者による「成長」活力(これまでの社会)ばかりでなく、年々増えつづけて3000万人に達した高齢者(65歳以上・23・3%)のみなさんによる「成熟・継承」の活力(史上に新たな「高齢社会」の形成)があります。
史上に新たな「日本長寿社会」(超高齢社会・三世代多重型社会)をつくる地域・職域での参画が不可避な時期を迎えています。旧来の「人生65年時代」の「支えられる高齢者」として年金と貯蓄で余生を送るのでは、もはやわが国は社会的にも財政的にも安定した姿を保てない段階になっているのです。
昨年9月に野田内閣が閣議決定した新「高齢社会対策大綱」はその課題解決の要件として、「人生90年時代」の「支える側の高齢者」(現役シニア)層の登場を指摘しましたが、国会からはその呼びかけが聞こえません。安倍人気と施政は先細りとなり、自力での浮揚はいよいよむずかしくなります。参議院選までに、国際的に注目されている日本の自力再生のために、戦後をつくった高齢者層がもつ現役シニアとしての潜在力をどう呼び起こすかに成否がかかっています。
以下は高齢者参加の視点による安倍演説の読み込みです。こういう意識が表明されてはじめて高齢者への呼びかけとなり、支える側の意欲が生まれるのです。(2013・2・2記)
・(増えつづける高齢者が参画した)持続的な経済成長を通じて(新たな)富を生み出すことができなければ「経済全体のパイ」は縮んでいってしまいます。
・(高齢者層のみなさんの参画をえて)これまでとは次元の違う大胆な政策パッケージ(成長・成熟・継承)を提示します。
・大胆な金融政策、機動的な財政政策、そして(とくに高齢者層による新たな)民間投資を喚起する成長戦略という「3本の矢」
・「(すべての世代の)暮らしの安心・(高齢者のもつ技術・知識・資産の参画による)地域活性化」
・(とくに高齢者層による新たな)民間の投資と(優れた国産製品とサービスによる)消費が(増えつづける高齢者層によって)持続的に拡大する成長戦略
・「(生まれたばかりの子ども・育つ世代、生み育てる世代、生をいとおしむ世代のすべての国民が)健康で長生きできる社会」
・(これまでの歴史になかった)新たな富と雇用も生み出します。
・「(ライフ・)イノベーション」(<生から死までの人間存在にかかわる>技術革新)と(三世代多重型社会への)制度改革
・(「人生90年時代」の)未知の領域に果敢に挑戦をしていく精神
・今こそ、(国際的に先行する「高齢社会」形成で)世界一を目指していこう
◎若者もお年寄り(注:ここだけ。弱者の視点で)も、年齢や障害の有無にかかわらず、全ての人々が生きがいを感じ、何度でもチャンスを与えられる社会。
・「(一人ひとりが生涯にわたって)自らの力で成長(成熟・継承)していこう」という気慨を失ってしまっては、個人も、国家も、明るい将来を切り開くことはできません。
・(高齢者が)自らの中に眠っている新しい力を見いだして、これからも成長(成熟・継承)していくこと。
・「強い日本」を創るのは、他の誰でもありません。私たち自身(3000万人高齢者の参加)です。