丈人論―「強い高齢社会」へのイベントづくり<2>―

◎未来都市MAKUHARIウオーク
この秋11月15日・16日・17日に幕張メッセでおこなわれる「スーパー65プラス」は、3つのイベント構成の総合的な催しです。メッセで初めてであり、高齢先進国のフロント・ランナーである日本で初めてということは、世界で初の催しでもあります。何が初めてか。
65歳以上の元気な高齢者が対象であること。そして、
シニアの暮らしを支えるモノとサービスの展示会(3日間)
多彩な課題でシニアライフを語り合うフォーラム(3日間)
「元気に歩こう!」未来都市MAKUHARIウオーク(16・17日)
によって、すべての高齢者にそれぞれ関心のあるさまざまな出会いの場を提供していることにあります。参加者は歩いて、語り合って、展示を見て触れて、あすの素敵なシニアライフの糧を得ることになります。
ここでは9月1日にプレスリリースをおこなった「元気に歩こう!未来都市MAKUHARIウオーク」について見てみます。仔細には「s65+ホームページ・ウオーキング欄」をご覧ください。長い高齢期を元気で健康に過ごすためには、まず日常生活の動作が軽快であることが基本です。クルマ社会になってドア・ツー・ドアで“車行する人”は、気づかないうちに歩行をおろそかにして暮らしています。「開催概要」にあるように、手軽にいつでもできるウオーキングをおこなうことによって、日常の動作が改善されるだけでなく、高齢者に特有の生活習慣病や老年病の予防にも有効であることが実感されるようになります。
「未来都市MAKUHARIウオーク」は、幕張メッセをスタート・ゴール地点にして、参加者の体力と体調に応じたコースを歩いて、自分の健康を確かめると同時に、ウオーキング参加者でイベント会場を盛り上げようという試みでもあります。千葉県ウオーキング協会が全面的にバックアップしており、秋のウオーキング大会のひとつとして存在感をアピールする場となるでしょう。
日程とコースは、11月16日(水)の第一日目が東ルート(稲毛海岸方面)にAコース(22㎞)とBコース(17㎞)とCコース(7㎞)の3コース、11月17日(木)の第二日目が西ルート(谷津干潟方面)にDコース(20㎞)とEコース(15㎞)とFコース(8㎞)の3コースがそれぞれ設けられています。その中から一つを選んで気軽に参加することができます。今回は日本オリンピアンズ協会が特別協力していますから、知名のメダリストといっしょにゴールをめざすこともありそうです。
事前の参加登録費は1,500円(当日は2,000円)。そのうち500円が東日本大震災被災地の復興支援のため、日本赤十字社を通じて義捐金として届けられます。ウオーク終了後、そのまま展示やフォーラムの会場に入場できます。 
「S65+」ジャーナル 9月5日号
堀内正範(カンファレンス・スーパーバイザー) 

丈人論―「強い高齢社会」へのイベントづくり<1>―

◎総合イベント「S65+」のコンセプト
8月25日、東京築地・高連協事務局会議室で、「s65+フォーラム」の企画運営委員会がおこなわれました。次に引用する呼びかけは、そこで検討された「参加ご案内」の冒頭の一節です。
21世紀の日本は世界にさきがけて「長寿時代」を迎えています。その体現者である元気なシニアのみなさんが、ことし11月、「幕張メッセシニアの祭典」に集います。前例のない長寿社会で暮らす者同士として、安心してシニアライフを過ごすために、3日間にわたって、さまざまなふれあいのシーンを繰り広げます。来場されるみなさんが初めて体験する画期的な催しです。
前例のない長寿社会で暮らす者にとって、心躍る呼びかけです。「エキスポ スーパー65プラス」が画期的な催しであるのは、高齢期のくらしを支えるモノとサービスの展示会 新製品エグジビション を中心にして、メッセをスタート・ゴール地点とした「元気に歩こう日本!」 未来都市MAKUHARIウオーク 、そして高齢者が直面しているさまざまな課題をみんなで語り合う 素敵なシニアライフを語り合う広場 の三つを総合イベントとして同時に開催することにあります。
本稿はすでに「人生を支える三つのカテゴリー」で、高齢期の人生が先行き不明な「余生一途」になることなく、先行きを見通してみんなが安心して過ごせるための「場」や、利用しやすい「モノ」や新たな「しくみ」の創出を呼びかけています。「強い高齢者」の活動なくして「強い高齢社会」が形成されることはありえないからです。
健丈な高齢期の人生を支えるのは、「からだ、こころ(ざし)、ふるまい」という三つのカテゴリーでの経験です。これ以外にはありません。「健康」「専門知識」「専門技術」といいかえるとわかりやすいでしょう。「強い高齢社会」というのは、この三つそれぞれの領域で、高齢者のみなさんがそれぞれの経験を活かして自在に参画して、暮らしやすい「モノ」や「場」や「しくみ」を新たに創出していくプロセスでもあります。 
元気なシニアのみなさんが、前例のない長寿社会で暮らす者同士として、「エグジビション」「ウオーク」「語り合う広場(フォーラム)」に、それぞれの関心で集うこと。これからの「素敵なシニアライフ」を、さまざまなふれあいのなかから見出すこと。
そのために、エグジビションにはどんな企業・団体が先駆的・先導的なモノやサービスを構想し制作し出店するのか、ウオーキングにはどんな形で参加できるのか、語り合う広場(フォーラム)にはどんなテーマの「談論する場」が用意されるのか。これから発表される内容に注目です。11月、「s65+ 幕張メッセ シニアの祭典」が待たれます。
「S65+」ジャーナル 8月25日
堀内正範(カンファレンス・スーパーバイザー)

「日本丈人の会」とは・・

日本丈人の会」とは・・
 高年期を内向的 余生型にすごす「老人」であるよりも、地域社会や地域産業の高齢化に対応し、また「自分がその木陰で憩うことがない樹を植える」といった次世代(三世代)への配慮もする高齢者(丈人=別項あり・「ご案内」など)として、自主参加するのが「日本丈人の会」です。
 みずからの人生をたいせつに豊かに過ごすとともに、国際基準のひとつとなる「日本型高齢社会」の体現者であることを自覚して暮らすみんなが集う場です。
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こんなふうに高年期を暮らしたらどうでしょう。
*提案1
「高年期のライフサイクル」を共有する
日また一日がたいせつですから、あまりくわしい期分けはいりませんが、60歳代~80歳代のみんなが「高年期のライフサイクル」を共有して「日本高齢社会」を支えていくこと。
「青少年期」    ~24歳  自己形成期  第1ステージ  2977万人
       (25歳~29歳  次期へのバトンゾーン)        743万人
「中年期」  30歳~54歳  社会参加期  第2ステージ  4252万人
       (55歳~59歳  次期へのバトンゾーン)       864万人
「高年期」  60歳~84歳       社会参加と自己実現期
                           第3ステージ    3574万人 
「長命期」  85歳~      自己実現期                        394万人
     (平成22年11月1日現在確定値。総務省「人口推計」から)
 とくに「高年期」を意識したみなさんが史上にまれな「超高齢社会」を担う主体者(丈人)として活動することで、これまでの「二世代+α型」社会にかわって、史上にあらたな「三世代同等型」社会を形成していくことになります。
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提案2
先方を見据えながらひとつひとつの「賀寿期(5歳層)」を過ごす。
老成一途の「高齢期」(余生・第二の人生)を漫然と過ごすのも人生ですが、先方を見据えながらひとつひとつの「賀寿期(5歳層)」を着実に迎えて暮らしていくこと。
                2011年では、      
百寿期(100歳以上)   明治44年以前       百寿100歳を超えて   
白寿期(95歳~99歳)  大正5年~大正元年     白寿99歳を含む
卆寿期(90歳~94歳)  大正10年~大正6年    卆寿90歳を含む
米寿期(85歳~89歳)  昭和元年~大正11年     米寿88歳を含む
傘寿期(80歳~84歳)  昭和6年~昭和2年     傘寿80歳を含む
喜寿期(75歳~79歳)  昭和11年~昭和7年   喜寿77歳を含む
古希期(70歳~74歳)  昭和16年~昭和12年  古希70歳を含む
還暦期(60歳~69歳)  昭和26年~昭和17年  還暦60歳を含む
<注>わたしの場合は昭和13(1938)年生まれなので、いま「古希期」の半ばにいます。平成23年は大正100年、昭和86年に当たります。
これまでも「賀寿」は個人的な長寿の祝いとされてきましたが、「高齢社会」では社会の構成メンバー(丈人)として年齢階層を意識することで、「歳を知り、歳に克つ」暮らしが可能になります。
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提案3
人生を支える三つのカテゴリーを意識する
「丈人」(高齢健丈者)の人生を支えるのは、「からだ、こころ(ざし)、ふるまい」という三つのカテゴリーでの活動です。これ以外にはありません。「高齢社会」の形成というのは、この三つそれぞれの領域で活動する高齢者が、自在に参画できる「場やしくみ」や利用しやすい「モノ」を新しく形成していくプロセスでもあります。 
1 「からだ=体・身」に関して。
健康な「からだ」の保持はだれにとっても生涯にわたる最大の関心事です。
高齢者仲間の会話は、お互いの支障(持病)の問い合いからはじまります。目や耳や歯の機能保全のことから心臓、肝臓、胃腸といった臓器の症候、各部位のがんに関する最新情報。そして薬、サプリメント、予防法、健康体操、ウオーキングまで、「からだ」に関する話題はつきません。食生活・衛生・医療・介護の分野の進歩と充実は、「強い社会保障」と「強い高齢社会」の基盤となっています。
2 「こころ=心・志」に関して。
「こころ」のありよう、生きがいは人生を大きく左右します。
「こころざし」として強く意識するものとそうでないものとがありますが、だれもが心の拠りどころとしての目標を持って暮らしています。人間(自己と他者)への理解の深化、蓄えてきた知識による正確でバランスよい判断や洞察、そして歴史や伝統への関心の広がり、さまざまな文化活動など、内面的な充実は人生の大きな喜びであり、「こころ」の交流の豊かさが人生の成果ともいえます。
3 「ふるまい=技・行為」に関して。
生涯を通じてどこまでも進化する能力は、個人的には「ふるまい」として表現されます。
工芸技術の練磨、芸能芸術の巧みな表現などからは、ひとつひとつ到達した「ものづくり」技術の高みや磨きあげられた「所作」の粋を知ることができます。暮らしに身近かな家庭用日用品からは、「モノ」に込められた親わしさが伝わってきます。熟達した技術が形になったさまざまな制作品は触れて快く、年を重ねて洗練された挙措ふるまいは見て美しいものです。
 この三つのカテゴリーへの関心の度合いは個人によって異なりますが、「だれもが安心して暮らせる日本高齢社会」を創出するためには、この三つのカテゴリーで個性的で実現可能な目標をもちながら「素敵なシニアライフ」の日々を過ごす「丈人層」の存在が基本となります。そしてその総和が「日本高齢社会」の豊かさの表現となるのです。
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◎わたしたちが当面する四つの活動
それぞれができる範囲で。
〇余生型の「老人」としてではなく、社会参加型の「丈人」を意識してすごす。
〇力を合わせて「地域高齢者(シニア)生活圏」や「地域高齢者(シニア)文化圏」を形成する。
〇自治体に公立(官民協働)の「地域生涯(シニア)大学校」を設置する。
〇内閣府に「高齢政策担当特命大臣(専任)」を置くよう要請する。
日本丈人の会事務局
堀内正範
-mail  mhori888@ybb.ne.jp
tel&fax 0475-42-5673
299-4301  千葉県長生郡一宮町一宮9340-8
ブログ:らうんじ・茶王樹 南九十九里から

四字熟語「半部論語」

半部論語  はんぶのろんご  

『論語』のうち量の半分あるいは内容の半分の理解でよいというもので、『論語』を国学経典として敬う立場からは論外とされる。

この読み方でもっとも有名なのが北宋草創期の宰相趙普で、彼は『論語』しか読まない人物といわれ、政治家として学問の狭さを指摘されていた。そこで太宗(趙匡義)が彼に理由を問う。趙普は「むかしその半を以って太祖(趙匡胤)を輔けて天下を定め、いまその半を以って陛下を輔けて太平を致さんと欲す」と答えた。以後、「半部論語治天下」として用いられる。

近代日本でこの読み方に徹したのが渋沢栄一で、実業に就くことを嘆く友人に、その公益性を「半部の論語」(『論語と算盤』)の読み方で説得した。これまでに孔子学院は世界一〇二カ国・地域に四三九校(七月現在)が開設され中国語・中国文化への国際的関心は高い。が、現政権下ではなお「さまよえる孔子」であり、その間、実業家の理念を支える「半部論語」読みが底流することになる。 

羅大経『鶴林玉露乙編『』から

『日本と中国』「四字熟語ものがたり」2011・8・15号
堀内正範 ジャーナリスト