『月刊丈風 4月号』memo

シニア用語now

「令和(後平成)」は「三世代平等化」のチャンス

生前退位後は「令和(後平成)」期
高年世代の自立

「令和」への改元を機に、新たに高年世代が「自立」することで、これまでの「ゴムひも伸ばしの高齢化政策」(二世代+α)に変更を求めて立ちあがること。

明仁天皇の生前退位はみずからその政策に「ノー」をいわれて、みずからの高年期人生を確保されたもの。その人生の期間を「後平成」期と呼び、高年者同士がおたがいに支え合って、高年世代の“見える化”をすすめて、その存在を内外に示すチャンスとすること。

そのためには「老人」として遠慮しながら現存の社会のしくみに身を細めて頼るのではなく、仲間とともに潜在力(本稿の丈人力)を発揮して、保っている知識・技術・資産を活かして、みずからの生活感覚にふさわしい新たなモノ・サービス・居場所・しくみをこしらえること。
(ごあいさつ 「日本丈風の会」 第二期活動開始にあたって より)

新元号「令和」の典拠は漢籍と国書に

漢籍と国書双方を典拠とすべし
「国風」と「和風」

             20190421 堀

「春笋怒発」(四字熟語からのごあいさつ)

新元号「令和」の選定者(安倍首相)は、国書『万葉集』が典故であることをひたすら強調し誇りとしています。しかしながら下記したように、実情からいえば漢籍と国書の双方を典故として説明すべきだったでしょう。これまでの恒例であった漢籍と新たに国書を合わせて典故とすることで、“漢字文化圏”の広がりと豊かさを歴史的事実として示せたはずだからです。残念ですが、首相の脱中国の自国意識の過剰さと教養のなさが際立った一件になりました。

元号「令和」については異論はないのですが、連載中の「四字熟語の愉しみ」に3回にわたって書いたように、漢字文化圏に配慮せずに削いでしまった選定者の発言の偏りによって、古典にむかう国民の意識にズレを生じます。外来の優れたものを採り入れてより勝れたものにするという民族特性「和風」として語れれば、中国の知識人も納得できて、日本の首相としての令姿を示せたでしょう。昨今、際立つ外国人による「クールジャパン」は、歴史的ジパングでの「和風」鉱脈さがしなのですし、何よりいま最大の「和風」事業は、世界に例をみない「非軍事平和国家」の実現と継承なのですから。  以下おつきあいください。

連載「四字熟語の愉しみ」web「円水社+」 http://www.ensuisha.co.jp/plus/ から

◎「風和日麗」(ふうわにちれい)2019年4月17日

前回みたとおり「令和」の典拠になった『万葉集』(天平2年、730年)の「初春令月、気淑風和」の八字は、王羲之「蘭亭集序」の「天朗気清、恵風和暢」と『文選』にある張衡「帰田賦」の「仲春令月、時和気清」からの化用(借用)がいわれます。が、もうひとつ唐代高宗のもとで文学の発展に寄与した宰相薛元超の「諫藩官丈内射生疏」の文にある「時惟令月、景淑風和」が最も似た表現として指摘されます。当時、遣唐使が持ち来った新渡来の文献のなかからふさわしい表現として化用したことが想定されるのです。

日本語が「漢字かなカナROMA字混じり」であるように、外来の優れたものをより勝れたものにする日本文化の「和風」の多重性こそが民族特性なのです。「和」の意味合いは「平和」「昭和」「大和」「風和」で異なりますが、ここでは現憲法の国際的片務である「非軍事平和」が最大の「和風」事業であることに思いをいたしつつ、改元の年の五月の風暖かく陽光明るい「風和日麗」(沈復『浮生六記「二巻」』など)の休日を過ごすことに。

◎「令月嘉辰」(れいげつかしん)2019年4月10日

新元号の「令和」が大化(645年)から248番目で初めて国書『万葉集』から得たことで、令(よ)き大和民族の特性「国風」に語りつないだ安倍首相の発言に対して、日中双方から漢字文化圏の豊かさを削ぐべきでないとする意見が出ています。優れたものを採り入れてより勝れたものにする特性「和風」を言えれば首相は令姿を示せたでしょう。

江戸期の契冲『万葉代匠記』には「梅の花の歌三十二首并序」は王羲之「蘭亭集序」の筆法を模したもの、「初春令月、気淑風和」の八字は張衡「帰田賦」の「仲春令月、時和気清」から、「気淑」は杜審言の詩から、「鏡前之粉」は宋武帝女寿陽公主の梅花粧から、「松掛羅而傾蓋」は隋煬帝の詩に負うなどの指摘がなされています。それらを借りて「和風」にするのが民族の特性といえるもの。「令月」にちなむ四字熟語に「令月嘉辰」(『大慈恩寺三蔵法師伝「巻九」』など)があって、令月はいい月、嘉辰はいい日で、あわせて「吉日」をいいます。『和漢朗詠集「巻下・祝」』に「嘉辰令月歓無極」が見えます。

◎「恵風和暢」(けいふうわちょう)2019年4月3日

新元号が「令和」と決まりました。安倍首相は漢籍でなく国書『万葉集』が典故であることを強調し誇りとしましたが、実情からいえば漢籍と国書の双方を典故とすべきだったでしょう。大宰府の自邸で、王羲之の蘭亭の宴に似せて梅見の宴を開いた大伴旅人が、『万葉集「巻五」』に載る「梅の花の歌三十二首并序」「初春令月、気淑風和」の八字を記すにあたって、王羲之「蘭亭集序」「天朗気清、恵風和暢」と張衡「帰田賦」の「仲春令月、時和気清」を念頭において、前者から「気」「風和」を、後者から「春令月」「和気」を得ており、後者は「令和」の典故でもありえます。それを知る提案者は、漢籍と国書を合わせて典拠とすることで漢字文化圏の豊かさを示そうとしたのでしょう。

「風和」について。日本では「雪月花」ですが中国では「風花雪月」です。柔らかい風が人を温かくつつむ「恵風和暢」からの「風和」には書き手の教養が示されています。東風に感じて白梅が花開く令月(二月)の大宰府天満宮の賑わいが想像されます。

『月刊丈風3月号』memo

シニア用語now

明仁天皇の生前退位と高年世代意識

「後平成」期の三世代平等化
8月15日「全国戦没者追悼式」おことば
「ゴムひも伸ばし」の「高齢化」対策  

  平成の明仁天皇(1933・昭和8年12月23日生まれ)が2019年4月30日に86歳で生前退位をされることになり、5月1日に徳仁皇太子(1960・昭和35年2月23日生まれ。59歳)が皇位を継承される。これは天皇の意向に沿うものという。
 国事行為はともかく、恒例になったさまざまなお仕事をどうするかはご本人の意向を受けて宮内庁が決めることであろうが、国民の側からも残してほしい行事が多々あると想定される。たとえば8月15日の終戦記念日の「全国戦没者追悼式」でのおことばは継承されるべきことのひとつだろう。戦争を知らない平和世代に対して「戦禍の記憶」が世代伝承されなければ平和は守れないからだ。
 わが国の政府が「高齢化社会」への対応を「ゴムひも伸ばし」に続けてきたゆえに、天皇みずからが新たな生き方で新たな人生と社会づくりに臨まれることになる。ここで広く「青少年世代」(~30)、「中年世代」(~60)とともに、史上に初の「高年世代」(~90+)が意識されて、生前退位された天皇の生涯とともに新たな時代(社会)を三世代が平等に形成することになる。 「シニア用語」としては、この状況を高齢者層による「三世代平等化」の契機として捉えて、これを「後平成期」の「三世代平等化」と呼んで、高年期を迎えて「百齢長寿」をめざす人びとの積極的な社会参加を呼びかける。
「丈風の会 堀」20190323

「季刊 傘寿期+米寿期」冬季号

2018・12・1 ~創刊準備号制作中~ 2・28

21世紀の国際的な潮流である「高齢化」。「人生100年」といわれる世紀マラソンのトップランナーであるわが国の高齢者(65歳以上・約3500万人)。その中核に位置する80歳代のみなさんの円熟期の姿が見えなくては「日本長寿社会」が達成に向かっているといえません。

「月刊丈風」 2019年1月号

2019・1・1 ~制作中1・20~ 1019・1・31

「人生100年」時代は、国民一人ひとりが青少年期(成長期)、中年期(成熟期)、高年期(円熟期)の「三世代三期」の活動期間を意識して、今をどう充実してすごすかを課題とする時代といえます。 とくにわが国は高齢者(65歳以上)が4人に1人(3500万人)をこえて新世代のボリュームに達して、世界初・史上初の「三世代社会」のモデル事例の形成を期待されています。 本稿は1999年「国際高齢者年」いらいのわが国の「高齢化」のありようを観察・検証してきた立場から、「三世代平等型の長寿社会」をさまざまな視点から提案しています。